本を読むほどリターンが :『レバレッジ・リーディング』の真髄

2024.02.02更新

レバレッジ・リーディング

本田 直之

東洋経済新報社 2006-12-01

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レバレッジは「てこの原理」だ。

てこの原理を活かし、本を読むことで、何十倍、何百倍も、成功への道に近づくことが「レバレッジ・リーディング」である。

言い換えれば、本を読めば読むほど、リターンが大きくなるということだ。

 

すると、どう多くの本を読むかという問題が残る。

それが、この本の中身だ。

 

 

まず、「レバレッジ」の意味を明確にするために、著者の説明を引用しておきたい。

著者は次のように述べている。

 

私を含めた99%の人間は、誰が成功した人のやり方を学んで、そこに自分なりの応用を加えるのが、成功への近道だと思います。

試行錯誤に時間や労力を使うのではなく、結果を出すだめに時間や労力を使うことができるようになるからです。

(略)

つまり、自分の「やる気」に他人の知恵や経験というレバレッジをかければ、何十倍、いや何百倍もの結果を出すことができるというわけです。

 

 

続いて、この本の要約をお話ししたい。

詰まるところ、この本は、

「他人の知恵や経験というレバレッジをかけるわけだから、ビジネス書を効率的かつ戦略的に考えて読まなければない。

また、よりリターンを大きくするには、より多くの本を読むことが必要になる。

すなわち、ビジネス書を最初からリターンを考えた投資活動と考える」

と言っている。

 

本を読むことは当時活動

 

そうした考えの下、ビジネス書の選定から、読み方、読書後のフォローについて書かれているのが本書の中身だ。

ビジネス書を読むことは、投資活動だから、つまらないと思ったらすぐに読むのをやめる、また本の最初から最後まで丁寧に読むことはないというわけだ。

 

この本が長い間読み続けられている理由は、この思い切った投資活動としての割り切りが読者に衝撃的に映ったからだと思う。

 

 

本書は、テーマをビジネス書の読書術に絞り込んでいるため、内容的にはいま述べてきたことで完結している。

 

そこで本書の中身を、読者のみなさんの読書方法と対比することで、ちょっと深掘りしていきたい。

 

まず、本書は「多読=投資」と考えるから、本を斜め読みどころか横読みしてしまう方法を紹介している。

必要なところを抽出して読む方法だ。

 

この方法は、多読という前提があるから、成せる技だと思う。

その方法ではやはり頭に入りにくいという人は、自分なりの方法を貫いた方がよいかもしれない。

 

次に、みなさんも実施している「心に留めておきたい部分にぶつかったときの対処法」だ。

著者は、ページの角を折っている。

付箋を貼る人も多いはずだ。

目的は、あとで「あの部分、どこだっけ?」といった際に、すぐにページを開けることにある。

どちらでも構わないと思うが、付箋を貼る方法をとっている人は、付箋を貼るページが多くなると、探しにくくなることに注意してもらいたい。

 

 

著者は「レバレッジメモ」と称して、読んだ本のポイントをパソコンで打ちこんでメモを作成している。

そのメモを携行し、眺めつづけることで、実践に活かそうという意図だ。

じつは、私もそれと同じようなことをやったことがある。

たとえばドラッカーの『経営者の条件』や『現代の経営』を読んだあと、カードに自分が重要と思ったポイントを記入し携行していた。

メモを作成することは、有効な手段だが、時間と労力が必要だ。負担感も大きい。

 

そんなことを考えると、一般のビジネスマンは、本自体をサインペンなどでマークしまくり、教科書的存在にしてしまう方が現実的だと思う。

それでもポイントをまとめたいなら、本当にポイント数を厳選した方がいい。

 

ビジネス書の選定について、この本も書評を一つの判断材料にしているが、私も買おうと思った本はAmazonで書評を参考にしている。

そうすると意外なことがわかったりする。

たとえば、新聞などで大々的に宣伝されている本の書評数が、ほんの2-3件ということがよくあるからだ。

それは、本の内容より宣伝が勝った本なのだ。

 

本書で「レバレッジメモ」を推奨しているのは、時間の経過とともに、本の記憶が薄れていくこともあるからだと思う。

そんなとき、思い切って、Amazonなどでカスタマーレビュー(書評)を書くのも一手だ。

ここで自分の読後感を書くのだ。

書くには、自分の頭の中で、読んだ本を整理、要約するはずだから、自分の血となり肉となりやすい。

そんなことを試していただきたい。

 

 

2006年初版ながら、いまだに根強い人気がある

レバレッジ・リーディング

 

 

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2015年5月31日