2024.10.28更新
仕事の引き継ぎを受ける側にはどんな心構えが必要か? それは、事実をハッキリさせる、書類で確認する、鵜呑みにしないの3点だ。
いい加減な引き継ぎを受けないために、引き継ぎを受ける側の言い方を考えてみよう。
1.事実をハッキリさせる
引き継ぎは前任者の「思い」を語る場でもある。
前任者は自分が苦労したことを話したいのだ。
そして、その「思い」で全体像を括ろうとする。
引き継ぎでは、とかくそんな前任者の「思い」が中心になる。
「思い」が中心となった引き継ぎは要注意だ。
それは前任者の気持ちにすぎない。
だから、引き継ぎでは、どこまでが事実なのか、どこからが前任者の気持ちなのか、峻別することが大事だ。
そのことを引継ぎを受ける側は口に出してきくことだ。
事実を疎かにすると、在任期間中、ずっと事実に基づかない前任者の「思い」に引っ張られる。
その結果、間違った判断を下してしまうのだ。
どこまでが事実なのか、どこからが気持ちなのか?
2.事実にどう対応したかを書類で確認する
事実と事実に対する前任者の思いを峻別したら、
事実に対し、どういう行動をとったか確認することが重要だ。
それを書類で確認するのだ。
「言葉だけではよくわからないので、書類を見せてください」と言えばよい。
書類が残っていれば、実際の行動がわかる。
書類が残っていなければ、それは口先だけの行動かもしれない。
行動がとられていないことだってある。
いい加減な引き継ぎは、実際の行動が明らかになっていない、あるいは故意に隠した引継ぎだ。
引き継ぎで一番注意しなければならないのは、ごまかそうとする引継ぎだ。
それを書類の有無、書類の内容から見破るのだ。
特に注意したいのは、懸案事項の引継ぎだ。
その懸案事項を、今度は、あなたが解決しなければならない。
だから、どこからどこまでが事実か、前任者はその事実にどのような行動をとったか、書類で確認する必要がある。
その結果、懸案事項に対し手を打っていなかったということも、十分考えられる。
3.人についての情報は鵜呑みにしない
前任者の主観が一番現われるのは、人についての情報だ。
じつは、人についての情報は、前任者が語りたくて仕方がないのだ。
そこに自分の「思い」があるからだ。
また、上手く行かなかったことを、人のせいにしたいということもある。
だから、いい加減な引き継ぎは、人についての情報ばかりということが多い。
ここでも、その人について、どんな「事実」があったのか、その「事実」をどう解釈したのか、確認することが重要だ。
ここも口に出してきくのだ。
「事実」を疎かにすると、あなたの在任期間中、ずっと間違った先入観を持ち続けることになる。
気をつけたいのは、部下についての情報だ。
過去の評価などの事実は受けとめるが、語られる人物評には注意が必要だ。
前任者の価値観に合わなかった、折り合いが悪かったということが十分に考えられるからだ。
会社社会では管理職が代わったことにより、蘇った部下は星の数ほどいる。
預かった部下を活かすには、部下についての情報を鵜呑みにしないことだ。
人についての情報はあてにならない
4.いい加減な引き継ぎは、上司に報告
いい加減な引継ぎを受けて困ったときは、直属の上司にのみ、その「事実」を報告するのだ。
しかし、このことは意外に難しい。
いい加減な前任者のことを、職場の人みんなに知ってもらおうと考えるからだ。
前任者のことを感情的に許せないのだ。
だが、よく考えてもらいたい。
あなたが新任地で前任者から引き継ぎを受けた場合、前任者と職場の人とは付き合いは長いはずだ。
前任者と親しかった人もきっといる。
そんな中で、前任者の悪口ばかり聞かされたら、職場の人はどう思うだろうか?
「今度来た人は……」ということになりかねない。
ここは、職場の人と前任者との人間関係がわかるまでは、
前任者が行った事実、あるいはやっていない事実のみを、あなたの直属の上司にのみ報告し、指示を仰いだ方がいい。
サラリーマン社会は複雑な社会だ。
前任者問題で悩んだ人が、前任者のリカバリーに努め、上司からも職場の人からも評価され、栄転した人は多い。
前任者がやったことを、つつがなく踏襲しようと思うのではなく、前任者を超えようと思ってもらいたい。
綾小路 亜也
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