2024.11.21更新
自分で「穿った見方をすれば」と言う人が、会社には多くいます。「ひねくれた見方をすれば」と言いたいのでしょうが、穿った見方は「本質を捉えた見方」です。
「穿った見方」は「本質を捉えた見方」
「穿つ(うがつ)」には「掘る」「突き通す」といった意味があるからです。
したがって「穿った(うがった)」は「深く掘り下げる」という意味になります。
結果、「穿った見方」は「本質を捉えた見方」となるのです。
会社では口論するときに、「穿った見方」が使われます。
「それは穿った見方だ」
「いや、あなたこそ穿った見方をしている」
と言い争うのです。
互いに「ひねくれた見方をしている」と言いたいのです。
本来の意味に戻せば、「あなたの意見は本質を突いている」「いや、あなたの意見こそ本質を突いている」と激しく褒め合っていることになります。
滑稽ですよね。
「穿った見方」は口論の際に使われる
会議でも「穿った見方」がよく使われています。
ある事象にコメントを述べるとき、「穿った見方をすれば」と自分で言うのです。
「ひねくれた見方」ができる自分をアピールするためです。
ここも本来の意味に戻すとおかしいですよね。
自分で「本質を捉えた見方」と前置きしていることになるからです。
最初から、自画自賛していることになります。
口論の際の使われ方より、さらに滑稽かもしれません。
自分で「穿った意見」と言うのはおかしい
じつは「穿った見方」は本のなかにもよく登場します。
著者が自説を展開するときに使われるのです。
この場合も「ひねくれた見方」ができる自分を、アピールする狙いがあります。
それが著者のウリだったりします。
みなさんも本のなかでこの言葉を目にしたはずです。
どういう使われ方をしているか、再確認してみるとおもしろいかもしれません。
私もかなり有名な作家が誤用しているのを見て、驚いたことがあります。
本のなかにもよく登場する
なぜ「穿った見方」が会社で誤用されているのでしょう?
それは上司や先輩が使うのを聞いて覚えた言葉だからです。
かく言う私も、上司や先輩がこの言葉を使うのを聞いて「こういう場合に使うのか」と覚えました。
そしてなかなか使い勝手がよい言葉だったのです。
私の言葉を聞いた私の部下もきっと「使える言葉」と考え、ボキャブラリーの中に入れたことでしょう。
このような形で伝わった言葉は広まりやすく、誤って伝わりやすいのです。
この言葉には教訓があります。
何気なく覚えた言葉は、一度、辞書で意味をシッカリと確認するということです。
しかし、いちいち辞書で確認するのは現実的ではありません。
おすすめの方法は、パソコン内で辞書を呼び出すことです。
私もちょっと言葉の意味を再確認したいときは、weblio辞書を活用しています。
文書を作成するときなどに、活用してみてはいかがでしょうか。
綾小路 亜也
パソコン内で辞書を呼び出す
この本にも「穿った見方」が紹介されていました。
『大人の語彙力が面白いほど身につく本 (青春新書プレイブックス)』
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