「仕事の優先順位」で言われていることは本当に正しいか?

2022.09.25更新

 

「仕事の優先順位」で必ず出て来るのは、「緊急度」と「重要度」の二つを横軸と縦軸に置いた「時間管理のマトリックス」だ。

それを受けて、会社や上司は「重要なことから取り組みなさい」と言う。

 

しかし、何が重要で、何が重要でないかは、わかったようでわからない。

また、重要でないことを後回しにしたら、しっぺ返しがあるような気がしてならない。

 

会社社会で重要なことは何か、「仕事の優先順位」で言われていることは本当に正しいのか、考えていきたい。

 

 

1.「重要なことから取り組みなさい」の大元になっている本

 

「重要なことから取り組みなさい」は、ビジネスの世界でもよく言われるが、それには理由がある。

大元の本があるからだ。

その本はあまりにも有名な『7つの習慣』である。

まず、この本に書かれていることを整理してみよう。

 

本に記載されている「時間管理のマトリックス」は広く知られている。

活動を「緊急度と重要度」を基に次の4つの領域に示したものだ。

 

第一領域 緊急で、かつ重要なこと

第二領域 緊急でないが、重要なこと

第三領域 緊急だが、重要でないもの

第四領域 緊急でなく、かつ重要でないもの

 

このうち、第一領域と第三領域は仕事の優先順位を考えるうえで、議論の余地がないだろう。

 

第一領域は、すぐにやらねばならないということであり、第四領域はそこに時間をかけてはいけないということに違いないからだ。

 

問題なのは、第二領域と第三領域だ。

 

本には次のような例が示されている。

第二領域:人間関係づくり 健康維持 準備や計画 リーダーシップ 真のレクリエーション 勉強や自己啓発 品質の改善 エンパワーメント

 

第三領域:突然の訪問 多くの電話 多くの会議や報告書 無意味な冠婚葬祭 無意味な接待やつき合い 雑事

 

この第三領域に割く時間を、第二領域に回す。

 

つまり、緊急ではないが、重要なことをやることが、会社や上司、ビジネス書が言う「重要なものから取り組みなさい」の源になっているのだ。

 

 

7つの習慣

『7つの習慣』

 

2.なぜ重要なことから取り組まなければならないのか?

 

このことについて、『7つの習慣』の著者スティーブン・R・コヴィーは次のように言う。

 

重要度は結果に関連している概念である。

重要なものというのは、「あなたのミッション、価値観、優先順位の高い目標の達成に結びついているもの」である。

 

 

平たく言えば、第二領域は「目的」に直結しているからだ。

また、第二領域に時間をかけることで、副次的に第一領域の問題を軽減できる。

(※第一領域の本の記載例:締め切りのある仕事 クレーム処理 せっぱつまった問題 病気や事故 危機や災害)

 

つまり、第二領域は、目的を達成するための「根っ子」の部分なのだ

 

だから、会社や上司は「重要なことから取り組みなさい」と言うのだ。

『7つの習慣』は個人の成功を念頭に置いているが、企業や組織にも目的があり、存続上、不可欠な部分があるからだ。

 

 

「第二領域」は幹を支える根っ子の部分だ

 

3.会社社会ではどのようなことが重要なのか?

 

前述のスティーブン・R・コヴィーの言葉を参考にすれば、

それは、組織や会社のミッション、価値観、目標に結びつくことだ。

また、間接的に、第一領域の記載例の、締め切りのある仕事 クレーム処理 せっぱつまった問題 病気や事故 危機や災害を防ぐことだ。

 

これらのことを考えると、営業基盤の拡充、企業目標の達成、顧客との信頼関係、クレームや事故を防ぐ業務品質の構築といったところだろうか。

 

 

営業現場では、よく次のように言われる。

「販売網拡大を最優先しろ」

「新規開拓に力を入れろ」

 

このことが、なぜ重要なのか?

今の数字は、過去の販売網開拓、新規工作の結果の上に成り立っている。

それゆえ、組織や会社の存続には、販売網開拓、新規工作が不可欠だからだ。

また、数字を伸ばすという目的にも直結している。

 

また、営業現場にいる人は、第一領域の記載例のように、

締め切りに追われ、切羽詰まっている。

そんな状態に陥るのを防ぐには、販売網開拓、新規工作が必要だからだ。

 

会社や上司が言う「重要なこと」は、企業存続に不可欠な要素と言うこともできる。

 

 

会社が言う「重要なこと」はBCPと捉えることもできる

 

4.「重要なことに時間をかけなさい」と言うべき

 

問題は、「重要なことから取り組みなさい」は仕事の優先順位のことを言っているから、後回しにする仕事が出るということだ。

 

第三領域の記載例をもう一度、見てみよう。

第三領域:突然の訪問 多くの電話 多くの会議や報告書 無意味な冠婚葬祭 無意味な接待やつき合い 雑事

 

もちろん、無駄や無意味なことは排除しなければならない。

しかし、実際のビジネスでは排除できないものも多い。

たとえば、得意先への電話対応、依頼事項への回答、資料作成、社内への書類提出などだ。

これらのことは組織や会社の目的には直結していないかもしれないが、後回しにすると、問題が発生することが多い。

まさに「重要でないが、緊急」な領域なのだ。

また、現場で働く人にとっては、これらのことも「やらなければならない」仕事であり、後回しにすると精神的に落ち着かない。

 

 

「重要なことから取り組みなさい」と言う趣旨はわかる。

そのような気持ちでないと、「重要でないが、緊急」なことに時間をつかい、結局は重要なことをやらなくなるからだ。

 

だが、元々は「時間管理」の問題なので、会社や上司は「重要なことに時間をかけなさい」と言うべきではないだろうか。

この方が、よほど現場で働く人の腹に落ちる。

 

 

後回しにすることに、耐えられるか?

 

5.組織で「重要なことに取り組む」には何が必要か?

 

組織や会社の「重要なこと」、また、「重要なことから取り組みなさい」に対する従業員側の受けとめ方を考えてみた。

最後に、「重要なことに取り組む」には何が必要か、組織側、従業員側の両視点に立って、考えていきたい。

(1)「重要なこと」、なぜ「重要か」を共有する

まず、「重要なこと」の認識も、受けとめ方も、人よって違うということを頭に置くべきだ。

組織で「重要なこと」に取り組むには、「重要なこと」、なぜ「重要か」を明確に示し、共有する必要がある。

「重要なこと」、なぜ「重要か」かは、説明しなければわからない。

この部分がないと、従業員は腹落ちしないから、行動に移せない。

 

ほとんどの組織や会社で疎かになっていることだ。

よくあるのが、「会社や上の人が言っているから」という説明だ。

それだと、「重要なこと」をまるでノルマのように受け取ってしまう。

そのような形で「重要なこと」に取り組んでいる組織も多いはずだ。

(2)「重要なこと」を変えない

実際によくあるのが、上からの指示で、「重要なこと」がころころ変わってしまうことだ。

つまり、その時、その時の「重要なこと」があるのだ。

だから、「重要なこと」をあたかもキャンペーンのように受け取っている従業員も多い。

このように「重要なこと」がころころ変わるのは、本当に「重要なこと」ではないからだ。

 

一度決めた「重要なこと」は変えないことだ。

「重要なこと」を変えないことで、日々の業務に落とし込める。

この「日々の業務に落とし込む」ということが最も重要だ。

それこそが、「重要なこと」に向かっている姿だ。

 

そもそも、優先順位をあれこれ考えること自体、「重要なこと」の認識が低いのかもしれない。

(3)「重要なこと」以外の仕事を思い切って簡素化する

従業員が「重要なこと」に向かえないのは、会社や組織は「重要なこと」以外の業務にウエイトを置いたり、「重要なこと」と同様の管理をしているからだ。

だから、従業員の「重要なこと」と「重要でない」ことへのエネルギーのかけ方は同じになる。

 

従業員に「重要なこと」に集中させたいのなら、会社や組織は、業務や手続き、報告などを思い切って、簡素化する必要がある。

そうすれば、従業員は体で何が重要かを知る。

(4)職員は身の回りを軽くし、「重要なこと」に向かう

どのビジネス書にも書かれていないが、従業員は「重要なこと」を認識していても、身の回りが整理できていないと、「重要なこと」に向かえない。

気持ちで迎えないのだ。

それを防ぐには、従業員側の努力も必要だ。

常日頃、すぐ片付けられる仕事は、その場で片づけるようにすることだ。

些細な仕事でも、仕事は仕事だ。そのことが頭を離れなくなる。

 

組織側、会社側も、重要でない仕事の完璧度を求めないことだ。

 

綾小路 亜也

 

「重要なこと」を組織で共有

 

 

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