2024.11.21更新
「頑張ります」は、ビジネスではNGと言われています。「どう頑張るか」が示されていないからです。しかし意外に目上の人に無難な言葉です。
「頑張ります」と言われた人は心では怒っていません。無理に言い換える必要などないのです。
1.「頑張ります」はどんな時、使われるか?
そもそも、「頑張ります」はどんな場面で出てくる言葉でしょう?
上司が指示事項や目標を伝達し、「〇〇君、どうだろう?」と部下に確認したときに出るケースが一番多いのではないでしょうか。
すなわち、「頑張ります」は咄嗟に答えなければならないときに出る言葉なのです。
この点を、多くのビジネス記事は見失っているように思えます。
たしかに会議の席や、上司との面接で、「頑張ります」ではあまりにも心許ないです。
やる気も疑われます。
そんなときは、どう頑張るかを示さなければなりません。
ただ、「頑張ります」がどんな時に出る言葉なのかは押さえておく必要があります。
「頑張ります」は咄嗟に答えなければならない時、出る言葉
2.上司は「頑張れるか」「頑張れないか」を問うている
会議の席や、上司との面接では、どう頑張るかを示さなければなりませんが、確認の意味で、「どうだろうか?」と訊くとき、上司はどんな答えを求めているのでしょう?
詰まる所、「頑張れるか」「頑張れないか」を問うているのではないでしょうか。
「やれるか」「やれないか」に置き換えてもかまいません。
そんなとき、「頑張ります」は答えになっているのです。
私はビジネス社会で、上司から「どうだろうか?」と訊かれて、難色を示す人を見てきました。
その人たちは「キツイですね」と答えることが多かったと思います。
しかし、その後に出る言葉はやはり「頑張ります」だったのです。
つまり、「キツイけと、努力します」と、その人たちは言っていたのです。
ここに「頑張ります」の本質があります。
「頑張ります」は努力することだからです。
上司が問うているものは?
3.「頑張ります」は目上の人にNGか
目上の人への「頑張ります」の言い換えは、数えきれないほどネットに掲示されています。
主なものは、次のとおりです。
「精一杯頑張ります」
「一生懸命頑張ります」
「ご期待に添えるよう、全力を尽くす所存です」
これらの言葉の前に、「目標達成に向けて」「ご要望に応えるために」などと付け足す例も紹介されています。
たしかに、目上の人には、このような表現が望ましいかもしれません。
しかし、「頑張ります」とどこが違うのかと首を傾げる人は多いと思います。
そう、基本的には「頑張ります」と同じなのです。
じつは、紹介されている言い換え例でも、「何をどう頑張るか」は示されていません。
「何をどう頑張るか」を示そうとすれば、それを表現するのに時間を要します。
会議の席や面接の場なら可能ですが、すぐに答えなければならないとき、それを示すことは難しいと思います。
また、その部分を示すと簡潔な答えにもなりません。
むしろ、「頑張ります」と答えた方が「場」に合っているのです。
4.大事なことは、声のトーンと表情
「頑張ります」は簡潔で、意外にその「場」に合っている言葉であることをお話ししましたが、本当に大事なことは、「頑張ります」の声のトーンと表情です。
蚊の鳴くような声で「頑張ります」と言われたら、不安になりますし、暗い表情で「頑張ります」と言われたら、「本当に頑張れるのか」と思います。
それが、ハッキリとした言葉で、しかも明るい表情で「頑張ります」と言われれば、「きっと期待に応えてくれる」と思います。
そう考えると、「頑張ります」という言葉の適否が問題ではなく、声のトーン、表情といった「答え方」が問題なのです。
「頑張ります」は実は言い方の問題
5.工事費で使われる「頑張る」という言葉
家の新築、リフォームした際、建設業の人が「頑張る」という言葉を使っていなかったでしょうか?
「頑張る」は、工事費の値引きをお願いしたとき、建設業界の人から出てくる言葉でもあります。
私は会社員時代、ある時期不動産部門に所属したことがありましたが、工事費の値引きを要請したとき、建築業の人から返ってきた言葉は、やはり「頑張る」でした。
自宅のリフォームをお願いした際にも、この言葉が返ってきました。
その意味は、「要望に沿うよう努力する」という意味です。
問題は、この「頑張る」といういう言葉を聞いて、どう感じたかです。
けっして悪い感情を覚えなかったはずです。
むしろ頑張ってくれることに感謝し、期待に胸を膨らませたのではないでしょうか。
ここにも「頑張ります」の本質があります。
「頑張ります」は努力することを表明することだからです。
そう考えると、この言葉が悪い意味を持つわけはないのです。
工事費の見積もりの際、「頑張る」という言葉が使われる
6.「頑張ります」は無難な言葉
私が長年勤めた会社のトップは、「頑張るのは当たり前だろ。どう頑張るかを訊いているんだ」が口癖でした。
まさにビジネス記事の内容そのものです。
しかし、私はその言葉に反発を覚えたことがあります。
というのは、トップは忙しく、「どう頑張るか」を話す時間などあまりなかったからです。
今考えると、トップはそれを承知のうえで「頑張る方法が大事」と説いたのだと思います。
その後、私はサラリーマン社会で一定の役職まで進み、自分が管下組織を回ることになりました。
私は店に入ってすぐに、職員に「頑張っているか?」と訊いたものです。
その後に、「〇〇の件、どうだ?」とも尋ねました。
その際、職員から決まって返ってきたのは「頑張ります」という言葉でした。
正直、その言葉に悪い印象はもちませんでした。
むしろハッキリその言葉を言われると、何か嬉しくなりました。
私はその言葉を聞いて、安心してその職場を後にしました。
そこには、述べてきたように、「頑張ります」の言い方の要素が存在したのかもしれません。
ただ、「頑張ります」とハッキリと言われたときは、悪い方向には進まなかったことはたしかです。
「頑張ります」はけっして使っていけない言葉ではないのです。
同時に、意外に無難な言葉であることを身をもって知ったのです。
「頑張ります」については、机上での議論が多すぎるような気がします。
重要なことは、この言葉を言われた人がどう受けとめるかです。
現場には、その場、その場に合った言葉があります。
言葉を考えるとき、「場」に合っているかどうかということが、一番大事なのです。
綾小路 亜也
「頑張ります」は無難な言葉?
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