2025.05.06更新
相手が不在だった時に置く名刺に「効果があるのか?」と思っている人は多くいます。単刀直入に言えば、一定の効果があります。ただし置き方にもよります。
どんな名刺の置き方が効果的なのか、考えてみましょう。
1.取引先担当者の上司に置く名刺
取引先の担当者との打ち合わせが終わり、辞去する時に、実行したいことがあります。
「○○課長(△△部長)にご挨拶させてください」と言うことです。
先方の上司が在席ならば、「お世話になっております」「✕✕さんと打ち合わせさせていただきました」とひと言、言えばよいです。
不在なら、名刺を取引先の担当者にお渡しするのです。
すると、上司の机の上に置いてくれます。
そんな名刺には効果があります。
「よく来てもらっている」「よく打ち合わせしている」と上司の頭に刻み込まれるからです。
そして、部下の業務を「あの案件、予定どおり進んでいるか」「協力業者と上手く打ち合わせできているか」等と、心配している上司に安心感を与えます。
その安心感は、新事業での取引業者決定など重要な局面で、形として現れます。
「よく来てもらっている」「よく打ち合わせしている」は、これからも「よく来てもらえる」「よく打ち合わせしてもらえる」という期待感につながるからです。
外資系コンサルタントが聞けば、驚くかもしれませんが、日本の企業はこのような形で取引業者を決定することが多いのです。
考えてみれば、このことは理に合っています。
事案を先に進める力を持っているのは、取引先の上司です。
取引先の上司に置く名刺は効果が高いのです。
先方の上司に置く名刺は効果が高い
2.訪問趣旨が伝わる名刺
訪問趣旨が伝わる名刺も効果が高いです。
たとえば、ちょっとお世話になったときに置く名刺です。
そんなとき、お礼訪問というと大げさになるので、アポをとらないのが普通です。
それゆえ、相手は不在なことが多くあります。
しかし相手はすぐに名刺の意味を汲み取ります。
「わざわざ来てくれたのか」と思います。
それだけでも効果大です。
こんなときは、名刺に「先日はお世話になりました」「先日はありがとうございました」と一言メッセージを加えてもよいでしょう。
また、依頼されたものを届けた際に置く名刺も効果的です。
この場合も、「早く届ける」が目的なら、通常アポは取りませんので、相手が不在のことが多いです。
そんな時は、「ご依頼の書類を持参しました」と、一言名刺に書けばよいです。
相手は「出来上がってすぐに届けてくれた」と感謝するに違いありません。
相手が不在だった時の名刺への一言例は多数紹介されています。
「お伺いしましたが不在でしたので名刺を置かせていただきます。またお伺いさせていただきます」といった内容です。
しかし相手からすれば、訪問されたことも、名刺が置かれたことも、再訪問を告げられたことも、自分とは関係がない一方的な話です。
そんなメッセージに相手は気を留めることはありません。
最大の問題点は、訪問趣旨がわからないことです。
ということは、置いた名刺には、自分と相手とを結ぶ何かしらの関係が必要ということになります。
日頃お世話になっているならば、「お世話になっております」と書いた方がよほど効果的ということです。
もっとも、そんな場合は一言書かなくても、相手は表敬訪問ときっと察するでしょう。
名刺を置く場合は、お世話になっていることへの感謝、お礼、報告といった訪問趣旨を持つことが必要なのです。
訪問趣旨が伝わる名刺か?
3.名刺を積み重ねても、工作は進まない
訪問趣旨が伝わるような名刺の置き方が大事と述べました。
ところが、なぜか日本のビジネス社会では、訪問自体が伝わることに重点が置かれます。
それが一番現われるのは、新規工作の場面です。
ひたすら訪問し、名刺を置いて帰るのです。
それだと、訪問し続ける熱意は買われるかもしれませんが、先に進みません。
進む材料がないのです。
言うまでもありませんが、新規工作は訪問回数に意味があるのではなく、提案する中身に意味があります。
しかし、提案の中身をなかなか説明できる機会を持てません。その機会を窺うために訪問を繰り返すのだと思います。
こうしたスパイラルから脱出するには、いかに訪問するかではなく、提案の中身を説明する場をいかに作るかに発想を変えてみたらどうでしょうか。
このことも現実には難しいかもしれません。
しかし、そう考えると方策が見えてきます。
取引先から紹介をもらうという手段もありますし、名刺を置くよりは、先方が食いつきやすい一枚物の資料を置く戦術に切り替えるという手もあります。
名刺をただただ置くは効果がない
4.相手から電話が来るようなら、訪問は成功
机の上に置かれた名刺を見て、相手から電話がかかってくることがあります。
「ご訪問いただいたのに、申し訳ございませんでした」といった内容です。
このような電話がかかってくるようなら、訪問は成功です。
こんな場合、「ご用件は何でしょう?」ときかれることはありません。
相手は訪問の趣旨をよくわかっているからです。
そんな電話から「今度ゆっくりお話ししましょう」などと話が発展することが多くあります。
このことが、ビジネスの訪問の意味なのです。
考えてみれば、なぜ相手は電話をかけてきたのでしょう?
訪問した人のことが気になったからです。
そこには、「わざわざ訪ねてくれた」「お忙しいのに」「お礼を言うのはこっちなのに」「そういえば最近お会いできていない」「一度ゆっくり話したい」など、さまざまな思いがあります。
みんな思いが電話をかけさせたのです。
「置いた名刺は効果があるか」から出発しましたが、名刺にはその人の顔が写っています。
その人の顔が浮かぶような置き方が、上手い名刺の置き方ではないでしょうか。
綾小路 亜也
相手から電話をもらうようなら、訪問は成功
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