手土産は先に渡したほうがいいのか、帰り際に渡したほうがいいのか?

ビジネスマナーの本には、手土産は「あいさつのすぐあと」に渡すと書かれている。
この点に関しては、ビジネスマナーの本は一致している。
本当だろうか?

 

あなたは、きっと、帰り際に手土産を渡す人を多く見ている。
特に役職者が得意先などを訪問するとき、あるいは他社の役職者から訪問を受けたとき、帰り際に手土産を渡すことが多いはずだ。
また、「お詫び訪問で、最初に手土産を渡すってどうなの?」とも考えている。
実際のところ、あなたは手土産を先に渡したほうがいいのか、あとで渡したほうがいいのか、迷い続けているのではないだろうか。

 

手土産は、あいさつのすぐあとに渡したほうがいい場合と、帰り際に渡したほうがいい場合とがある。
そこに絶対的基準があるわけではなく、訪問の趣旨から考えると、そうしたほうがいいと思われるケースである。
ビジネスマンやビジネスウーマンが得意先に手土産を持参するケースを考えてみよう。

 

 

1.あいさつのすぐあとに渡したほうがいい場合

 

(1)転勤後最初の得意先訪問

(2)帰省や旅行などで留守中迷惑をかけたと思うとき

(3)差し入れ的要素が強いとき

 

手土産を渡すことが主になっている訪問の場合である。

 

(1)転勤して最初の得意先訪問のときの手土産には「これからよろしくお願いします」という意味がある。
手土産を持ったまま、会話に入るのは違和感がある。
こんな場合は、あいさつのすぐあとに、手土産を渡すことだ。
手土産から前任地や出身地がわかり、話がはずむことも期待できる。

 

(2)帰省や旅行が終わった際の手土産には「留守中ご迷惑をおかけしました」という意味がある。
この場合も目的がハッキリしているから、あいさつのすぐあとに、手土産を渡すことだ。
こうした手土産は自分も相手の気持ちもスッキリさせる効果がある。
また、手土産から帰省先、旅行先がわかり、話がはずむことも期待できる。

 

(3)得意先との関係ができているときや、できつつあるときの差し入れ的な手土産は、さらに相手との関係を深める効果がある。
この場合も、得意先を喜ばせること、日頃お世話になっているお礼の気持ちが主であるから、あいさつのすぐあとに、手土産を渡すことだ。

 

 

2.帰り際に渡したほうがいい場合

 

(1)お詫び訪問

(2)役職者による表敬訪問

(3)契約のお礼

 

 

(1)訪問前にお詫びの内容を相手が十分に承知・納得しているときは、あいさつのすぐあとに手土産を渡してもいいと思うが、それ以外の場合は手土産を渡すタイミングは慎重に考える必要がある。

 

お詫び訪問の趣旨は、なぜそのような事態が起きてしまったのか、そのことについてどう考えているのか、そのうえでどう対処するのか、説明することである。
そんな説明もなしに、あいさつのすぐあとに、手土産を渡すと、「これで帳消しにしようと考えているのか」と思う人はきっといる。
手土産を突っ返されるときは、たいがいそんな場合であり、火に油を注ぐことにもなりかねない。

 

実際、相手からすれば、手土産を受け取っていいものかどうか、説明を聞いてみないとわからないのだ。
説明を終え、相手の考えを聞いたうえで辞去する際、重ねて「この度はたいへんご迷惑をおかけしました」と言い、手土産を渡すことが筋だと思う。

 

現実には、説明を尽くしても、相手は納得せず手土産を受け取らないことも多い。
この場合は、手土産を持ち帰ることだ。
お詫び訪問の際は、手土産を渡し丸くおさめたいという気持ちを捨てることが必要である。

 

 

(2)上役が得意先を表敬訪問することは、ビジネスの世界ではよくあることだ。
このようなケースでは、相手方も役職者が出てくることが多い。また、役職者同士の面談ということでアポを入れていることも多いはずだ。
この場合、あいさつのすぐあとに、手土産を渡すことには少し違和感がある。

 

上役が訪問する趣旨は、日頃のお礼と、あまりお会いできない相手の上席者と面談することである。
面談が終わり、「今後ともよろしくお願いいたします」と言い、辞去する際に手土産を渡すほうがスマートだ。

 

こうしたケースの場合、こちら側の役職者、相手方役職者の地位が高ければ高いほど、帰り際に渡す傾向が強まる。
すでに双方の上席者が親密な場合、たまに、あいさつのあとに手土産を渡すこともあるが、そうでない場合は、あいさつのすぐあとに手土産を渡すと訪問自体が軽くなる。

 

役員、支店長、部長などの役職者は面談し、相手のことを知ることが仕事なのだ。双方の役職者はそのことを望んでいる。

 

もっとも、上役が訪問するときは、日頃お世話になっている部下が同席することが多い。こんなときは、部下が手土産を持っているという面があることを述べておきたい。

 

 

(3)人や企業を紹介してもらった、ちょっとした契約をいただいたといったケースでは、お礼を述べたすぐあとに、手土産を渡してもかまわないと思うが、相手が検討を重ねた結果、契約をいただいたというケースは少し考える必要がある。

 

相手が望むものは、手土産をもらうことではなく、契約後の納得感である。
手土産を渡して、さあ終わりと思われないことが必要だ。
そんなときは、お礼とともに、相手の納得感を充たすような会話を少しして、フォローも約束し、帰り際に手土産を渡すほうがいい。

 

 

3.手土産のタイミングを考える意味

 

私たちは手土産を、渡す立場で考えがちだ。
しかし、手土産の趣旨からすれば、手土産をもらう立場で考えることが必要なのだ。
つまり、手土産を渡すということは、ビジネスの本質である相手の立場になって考えることに他ならない。

 

私は35年間サラリーマンを経験し、いまもビジネスの現場にいる。
35年間を振り返れば、いつも手土産を渡すタイミングに悩んでいた。
とてもビジネスマナーの本に書いてあるように、「あいさつのすぐあと」とは思えなかった。

 

しかし、次第に手土産を渡すタイミングをつかむようになってきた。
渡すということに重点を置くのではなく、その場の空気を考えるようになってきたからだ。
たとえば、応接室に相手が笑顔で入ってきたときは、その場で手土産を渡した。
あるいは、「今日は暑いですね」などと言って相手が入ってきたときも同様にした。
だが、なにか相手に話したい様子がうかがえるとき、こちらから相手に伝えたいことがあるときは、帰り際に渡した。

 

手土産を渡すタイミングに迷い続けていたことはムダではなかった。
迷いながら、ビジネスの本質に一歩ずつ近づいていったからだ。
ビジネスは自分より、相手がどう思うかで決まる。また、ビジネスにおいて重要なことは、その場の空気である。
そんなことが、次第にわかってきたのだ。

 

 

ビジネスマナーの本に書かれていることが、必ずしも正しいとは限らない。
また、ビジネスマナーの本に書かれていることと、実際のビジネスとは異なるということも、よく言われることである。
重要なことは、ビジネスマナーの本に書かれていることを題材にして、自分の頭で考えることである。

 

最近のビジネスマナーの本は、人と違った存在になることをめざしているような気がする。
しかし、ビジネスマナーの本に書かれていることを鵜呑みにし実行したとしても、人と違った存在にはなれない。
まったく皮肉な現象だが、そこに自分がいないからである。
自分の頭で考えた人が、人と違った存在になるのである。

 

綾小路亜也

 

 

 

(参考)手土産を渡すタイミングについて書かれているビジネスマナーの本

 

最新ビジネスマナーと 今さら聞けない仕事の超基本

完全図解 仕事ができる! 男のビジネスマナー

仕事で恥をかかないビジネスマナー (日経文庫)

ビジネスマナー大全 (日経BPムック)

 

 

 

 

 

 

◆新百合ヶ丘総合研究所のキャリアアップを実現する本のシリーズ

 

出世するビジネスマナー
『「出世しぐさ」のすすめ』

「出世しぐさ」のすすめ

本の目次

 

スマホで読む方法

 

 

 

なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか

なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか

本の目次

 

 

 

こっそり読まれ続けています
ビジネスマンが見た出世のカラクリ 出世はタイミングで決まる!

ビジネスマンが見た出世のカラクリ 出世はタイミングで決まる!

本の目次 をご覧ください

 

 

 

企業で働く 営業女子が輝く35のヒント

 

印象アップに踏み切れない人が、ある日突然注目を浴びるハンコの押し方

 

 

 

◆メルマガ「出世塾」の情報(まずは発刊内容をご欄ください)
https://shinyuri-souken.com/?p=28756

 

 

◆ビジネス書紹介一覧
あなたに必要な本があるかもしれません
https://shinyuri-souken.com/?page_id=46062