プライバシーに踏み込むのは、初対面で親しくなろうと思うとき

2024.10.18更新

 

初対面の人との会話で親しくなろうと思うと、住所や出身地、家族構成や出身校などをたずねます。そんな質問の多くはプライバシーに踏み込んでいます。

相手は妙に立ち入ってくる人、土足で人のテリトリーに踏み込む人と思います。

それでは初対面の印象は悪すぎます。

 

ビジネスでは、初対面の人との会話では、どんなことに気をつけなければならないのでしょうか?

 

名刺交換が終わった場面から見ていきましょう。

 

名刺交換のあと、いただいた名刺を見て話の糸口を見つけることをすすめているビジネスマナーの本は多くあります。

 

相手の肩書や氏名を確認したあと、珍しい名字や読みにくい名前があれば「なんとお読みするのでしょうか」とたずねるほか、名刺のデザインやロゴの感想を述べたりすることにより、話のキッカケをつかもうとするのです。

 

このようなことを聞いたり感想を述べたりすると、相手は必ず答えてくれます。


もちろん氏名の読み方を教えてくれるますし、会社のロゴを作り直した経緯などを話してくれます。

またその周辺のことにも触れてくれ、逆にこちらに質問を投げかけてくれることもあります。


まさに話の糸口がつかめたことになりますが、たいがいはこの辺で話が終わってしまいます。

 

 

 

問題はここからです。

ビジネスマナーの本のなかには、ここから一歩踏み込み、

「〇〇様という名字の方に初めてお目にかかりました。ご出身はどちらでいらっしゃいますか?」

「次郎様ということはお兄様がいらっしゃるのですか?」

などと続けるのもよいと述べている本もあります。

 

ここで、プライバシーに踏み込んでしまうのです。

 

 

 

もちろん、このような質問にも「出身は〇〇県です」「そう、兄がいるんです」と答えてくれる人は多いとは思います。

 

しかし、その質問に嫌な思いをする人もいるかもしれません。


たとえば最愛のお兄さんを亡くしていたり、反対にお兄さんをよく思っていなかったとき、お兄さんに関する質問に不快を覚えたり、傷つく人がいるかもしれないのです。

 

これがプライバシーです。

 

そんな人にとって、その話題は、プライバシー権の基礎概念のとおり「放っておいてもらいたい」のです。

 

この「放っておいてもらいたい」ことは人それぞれ違います。

 

だからこそ、人を不快にさせたり、傷つけるおそれがある質問をしてはいけないのです。

 

 

ここで紹介した質問にはそれほどの意図はなかったと思います。

単に名刺に記載されていることから話を広げ、親しくなろうと考えたのだと思います。

それだけにつらいのです。

その質問は、とても初対面の人にする質問ではなかったのです。

 

 

また、親しくなろうとする思いが強いと、共通点を探るといった動きも出ます。

 

相手と共通点があるとグッと距離感が縮まるからです。

このことは多くの本で言われていることです。

 

すると、「お住まいはどちらですか?」「出身地はどこですか?」「趣味は何ですか?」「出身校はどこですか?」という質問が飛び出します。

 

そのことを放っておいてもらいたいと思う人はきっといるはずです。

 

このような質問は、いずれも親しくなろうと思って出た質問です。

初対面から親しくなろうと思うと、プライバシーに踏み込む質問が出てしまうのです。

 

 

親しくなろうと思うと、共通点を探る質問が出る

 

どうしたらよいのでしょうか?

 

初対面の人との会話では、こちらからは、いただいた名刺をもとに、会社のこと、部署のこと、仕事のことに徹した方がよいのです。

 

ビジネスを軸にしている限り、プライバシーに踏み込むことはないからです。

 

これが初対面の人との会話の王道です。

 

正直、会社のこと、部署のこと、仕事のことで会話を続けるのはキツイです。

慣れていないからです。

雑談力ばかりを重視してきたツケが回ってきたとも言えます。

しかし頑張ってもらいたいのです。

 

そうは言っても、会社や仕事の話ばかりではあまりにも味気なく、それでは親しくなれないと思う人は多いはずです。

では、親しくなるということはどういうことでしょう?

 

仮にプライバシーの領域に踏み込み、話が弾んだとしても、それは話が弾んだということであり、親しくなったわけではありません。

 

もちろん話が弾むと、打ち解けたような感じがしホッとします。

そのことで次回訪問しやすくなります。

しかし、それは自分の満足なのです。

相手がどう考えているかは別問題です。

ここがポイントです。

 

一般的には、最初から出身地や家族のこと、趣味などを聞いてくる人を、「妙に突っ込んでくる人」「変な人」と思うはずです。

 

つまり初対面の印象はきわめて悪いということです。

 

 

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親しくなるためには時間が必要であり、その人との信頼関係の構築も必要です。

こうしたことを私たちは知っているはずです。

実際にそのようにして親しい人ができたのです。

 

最初から気が合った人がいたかもしれませんが、それでも親しくなるためには時間を要し、親しくなるための条件をいろいろクリアーしていったのではないでしょうか。

 

そう考えると、最初から親しくなろうと思うこと自体、少し無理な発想かもしれません。

併せて、ビジネスの関係で親しくなるとはどういうことかについても考えてください。

必ずビジネスをベースにしているはずです。

 

綾小路 亜也

 

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※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント 

 

①初対面の場では、会社や仕事の話を軸にし、その枠組みからはずれない

 

②ビジネスで親しくなるとはどういうことか考える

 

 

その質問は、プライバシーの領域

 

 

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