「空気を読め」と言うが、その空気はどんな空気なのか?

いままで、空気を読んで、周りの人たちと仲よくやっていける協調性のある人が、重んじられてきた。

 

しかし、新型コロナウイルス感染を契機に、「空気を読む」とはどういうことか議論されるようになった。

 

「空気を読む」は自分をその場に合わせることであり、表現を替えれば、同調するということである。

 

そして「空気を読め」は同調圧力であることがわかってきた。

 

だが、その「空気」がどんな空気なのか、見破ることは非常にむずかしい。
そのことを象徴しているのが、今世紀最大の企業破綻と言われたエンロンでの出来事ではなかったかと思う。

 

エンロンは元々は、天然ガスのパイプライン業を主業務としていた。
しかしエンロンは次第に商社化していった。
つまりエネルギーを買い、売るという価格差で儲けるようになった。

 

エンロンの行く末を決定づけたのは時価会計の導入だった。
時価会計自体は認められているが、エンロンの場合は、期間が10年、20年といったエネルギー取引にも導入するようになった。
その目的は予想利益の計上にあった。

 

利益の予想があれば、実体は伴わなくても、ドンドン利益が上がる仕組みを構築していったのだ。
このことはマッキンゼー出身のCEOであるスキリングの下で進められた。

 

エンロンの経営はキャッシュフローとは無関係だったのだ。
負債は多数ある特別目的事業体(SPE)に振り替えられた。

 

しかし、実体のない経営が上手く行くわけがなく、エンロンは破綻した。

 

エンロンの破綻については、『エンロン 巨大企業はいかに崩壊したのか?』という映画がある。

 

この映画は、エンロンの元社員やエンロンの高収益に疑問をもった証券アナリスト・投資会社社長・経済誌記者の証言、内部資料として残されたビデオ映像や音声テープなどを基に構成されているドキュメンタリータッチの映画だ。

 

『エンロン 巨体企業はいかに崩壊したのか?』

 

 

エンロンではどのような空気が流れていたのだろうか?

 

エンロンのスローガンは「ask why?」だった。
この「なぜとたずねてみよう」は、変革するエンロンを象徴していた。
のちになって考えれば、「ask why?」はエンロンの利益至上主義への言葉だったのだ。

 

エンロンの株価は、将来利益を組み込むことでドンドン上がっていた。
従業員は会長兼CEOのケン・レイや同じくCEOのジェフ・スキリングの言葉をうっとりするように聞いていた。
また変革するエンロンに誇りも感じていた。

 

スキリングはリスクに快感を覚える性格だったが、私生活でもモーターバイクによる危険なツアーを好んだ。
興味深いことは、そのモーターバイクのツアーに社員も参加し、実際に負傷した人までいたということだ。

 

やがて、エンロンは意図的にカルフォルニア州の送電を調整することで膨大な利益を上げるようになった。
ここでも需要と供給により価格が決まることに着目し、供給を調整することで電力価格を上昇させた。

 

カルフォルニア州は最終的に700万ドルの支出を余儀なくされたのだ。
映画の社員たちは「やったぞ」「ぼろいもんだ」という顔をしていた。

 

エンロンは「儲けるためにはなんでもやる」という空気に満ち、そのためにアイデアを出せる人がエンロンでは尊重された。
元々はCEOのケン・レイとジェフ・スキリングの姿勢だったが、それが幹部に広まり、従業員にも伝わっていったのだ。

 

しかし、従業員からすれば、その「空気」の中身までを見破ることはむずかしかったに違いない。

 

 

集団の価値観が表出したものが「空気」だ。
そうすると、集団の価値観が本当に合っているのか、考えなければならないことになる。
また、これからは自分の価値観に合っているのか、ということも考えなければならないだろう。

 

私たちは、いままで「空気を読む」というと、「場に従う」ことと解釈してきたが、その言葉は今後は集団の価値観を考えてみるという意味に置き換えなくてはならない。

 

企業で起きる不祥事も、不祥事を起こした人に焦点が当てられるが、その背景には集団の空気がある。
集団の空気が不祥事を起こしたとも言えるのだ。
その空気はどこから来ているのかを学習するうえで、映画『エンロン 巨大企業はいかに崩壊したのか?』を研修材料に取りあげることを、おすすめしたい。

 

 

なお、エンロンについては、さまざまな観点から考察できる。

 

その一つはマッキンゼーとの関係だ。
CEOだったジェフ・スキリングがマッキンゼー出身だったことを横においても、マッキンゼーは、エンロンがつぶれるまで、コンサルティングとほかの専門サービスを合わせて、エンロンから年に7億5000万ドルの収入を得ていた。

 

上記からわかるとおり、マッキンゼーはエンロンと深く関わっていたのだ。
そしてエンロンの戦略と業務を承認した。
エンロンの会計手法に疑問が呈されると、マッキンゼーはいままで以上に熱烈に支持を表明した。

 

上記は、ジャーナリストであるダフ・マクドナルドが書いた『マッキンゼー』に記載されている。

 

その他、紹介した映画では、エンロンの不正に関与したと言われる会社として、大手監査法人・会計事務所のアーサー・アンダーソン(エンロンの会計粉飾や証拠隠滅に関与していたことが発覚し信用失墜し、2002年解散へと追い込まれた)、メリルリンチ、JPモルガン・チェース、シティグループの名が挙がっている。

 

 

 

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