『超一流の雑談力』

超一流の雑談力

安田 正

文響社 2015-05-20

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この本はおすすめしたい本である。
それは、確かに、ビジネスの世界では、「雑談力」が大きな決め手になっていると思うからである。
どんなに営業スキルを学んでも、「雑談力」がなければ、話はぎこちなくなるし、相手の警戒感は消えない。話自体も、プツリ、プツリ途切れ、妙に冷めた雰囲気も流れ、いっこうに発展しない。ーこれは、ビジネスマンなら必ず経験していることだと思うのである。
そんなことを経験し、感じ取っているビジネスマンには、本書は打開策として有効に機能すると思うのである。

 

著者は、前に紹介した『仕事の哲学』の著者でもある。
同書では「平社員と部長と役員の違い」「三流の仕事 二流の仕事 一流の仕事」「平社員で終わる人 部長どまりの人 役員まで行く人」の特徴が書かれていた。正直、読む側からするとかなり抵抗感を覚えたが、この『超一流の雑談力』にも、超一流というタイトルがついてはいるが、そんな嫌味を感じることなくすんなり読める。
それは、本書が非常にわかりやすく、ソフトに書かれていることもあるが、「それは絶対にある!」という真実が書かれているからだと思うのである。

 

まず、この本がすばらしいと思うのは、構成にある。

 

第1章 「超一流の雑談」の始め方

第2章 何を話題にすれば、雑談は盛り上がるのか?

第3章 思わず心を許してしまう聞き方

第4章 出会ってすぐに距離を縮める方法

第5章 さらに距離を縮める二度目の雑談

第6章 相手によって話し方や話題を変える

第7章 雑談から本題への移り方

第8章 今日から始める雑談トレーニング

 

章の見出しを見ただけでも、みなさんが知りたいことが書かれているのではないだろうか?
しかも、雑談の始め方から、相手との距離の縮め方、本題への移り方など、雑談の決め手となることが順序だって書かれているので、ものすごく頭に入りやすいのである。

 

私は、この中でも、特に第5章「さらに距離を縮める二度目の雑談」が非常に大事だと思っている。
本書は次のように言っている。
「たいていの人は1回目のコミュニケーションでせっかく距離を縮めることに成功しても、2回目でその関係性をリセットして、また初めから関係を作り直すことが多いからです」(P115)

 

どうだろう? この点は、まるで、多くのビジネスマンの現実を見透かしたのような指摘ではないだろうか。
「雑談力」がないと、相手と何度会っても、いっこうに距離感を縮められない、したがって、ビジネスが発展しない、これは多くのビジネスマンが経験し、悩んでいることだと思うのである。

 

その他本書で、参考となる見出しを紹介しておきたい。

 

5 開口一番は「よろしくお願いします」から

 

「不思議なもので、『よろしくお願いします』と言われると、人はこれを好意的に受け取ってくれます」(P45)

 

10 なるほどですね、そうですね、は「話を聞いていない人」の反応

 

「大事なのは、その話を受けて『自分はどう感じたのか』を相手に伝える言葉を選ぶということです」(P80)

 

15 「なぜですか?」は愚問

 

「『なぜか?』を考えるのは人間にとって大きな負担になります」(P108)

 

24 高価なものでなく、500円のてみやげを

 

「品物を渡すのではなく、手間を渡す」(P149)

 

33 「ところで本日は~」は最悪の出だし

 

「雑談でできた雰囲気そのままで本題へ」(P185)

 

34 あくまでも雑談からヒントを得た体(てい)で

 

「とにかく重要なのは、雑談がヒントになって『そういえば……』という体で本題に移ることです」(P190)

 

さて、本書の内容は、もちろんビジネス全般の話だが、ちょっと営業ということに限定して考えてみたい。
私は、「営業力」というものは、実にさまざまな能力で成り立っていると考えている。
目標に対する完遂力、精神力、問題を見極める力、プレゼン力、クロージング力、その他経験から積み上げた状況を判断する能力………。
そして、その中で、本書が内容とする「雑談力」も非常に大きなウエイトを占めると思うのである。
それは、「営業の達人」と言われている人を見ると、用件などは、面談中のほんの一部分を占めるだけであり、それも、本書が指摘するように雑談と区切りがつかない形で伝えていることが多いからだ。
また、相手との関係も会えば会うほど、深まっていく。そして、その流れで、懇親会などに発展し、個人的なつながりまでも作ってしまう……。
ビジネスで成功するか否か、あるいは営業で成果を上げられるかどうかは、この「雑談力」にかかっていることは事実だと思うのである。

 

私は先日ある営業マンに同行した。
その営業マンは、相手との間合いが怖くて、雑談なしに本題に入り、しかも、口早に説明し訪問先を辞去した。
こんなことは、多くのビジネスマンがやっていることだと思うのである。
それは、雑談に入れる話題がないこと、そして、雑談の中でのキャッチボールが苦手だからだと思うのである。
これでは、やはり、ビジネスが進行することはないと思うのである。
ビジネスは、相手に、「この人と会えば楽しい」と思わせる部分がないと、進行しないと思うのである。

 

それでは、こうした多くのビジネスマンはどうしたらいいか? ということになるが、その人たちのための本が本書だと思うのである。
そして、本書の第8章「今日から始める雑談トレーニング」の中で、「エレベーターで『何階ですか?』と聞く」、「お会計のときに店員さんとひと言話す」、「行ったことのないバーに行く」、「タクシーの運転手と話す」「初めての美容院に行く」などを試してみたらどうかと書かれてあったが、確かにコミュニケーションが上手な人は、いつも、人への語りかけを行っている人であり、しかも、その「切り出し」が自然で上手い人だと思うのである。
そんなことから始めると、必ず、「雑談力」は上がると思うのである。
そして、それも、私は、訓練だと思うのである。

 

 

 

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