2024.11.26更新
「ゼネラリストでは生き残れない」と言われる。ビジネス書もスペシャリスト一辺倒だ。ゼネラリストは本当に時代遅れなのか。いらない存在なのか?
ゼネラリストとスペシャリストの今後を考えていこう。
このことを考えるうえで、参考となる本がある。
一冊目は、堀場製作所を設立した故堀場雅夫氏が書いた『仕事ができる人できない人 』(堀場雅夫 三笠書房)だ。
2000年発行と少し古いが、当時からゼネラリストかスペシャリストかの問題は論議されていたことがわかる。
著者は次のように言う。
私が言うゼネラリストとは、世間で考えられているような意味のものではない。一般的にスペシャリストは「狭く深く」、ゼネラリストは「広く浅く」といったイメージで解釈されているようだが、それは大きな誤解である。
ゼネラリストになるには、まず″一芸″に秀でることが大前提なのである。
つまり、ある分野でスペシャリストになり、そこで得た方法論をほかの分野にも活かして、そこでもスペシャリストになる。そうしてはじめて「広く深い」、本来の意味でのゼネラリストになることができるのだ。
この本は一般のビジネスマン向けに書かれているが、ゼネラリストとスペシャリストは対立する概念でなく、両立することを示している。
スペシャリストになることを積み重ねることで、本来の意味でのゼネラリストになると述べているのだ。
これが、堀場氏が考える、企業で働くビジネスマンのめざすゼネラリスト像なのだ。
注意しておきたいことは、「専門性」という言葉を使っていないことだ。
二冊目は、渡部昭彦氏が書いた『日本の人事は社風で決まる』だ。
著者は本のなかで、次のように言う。
事業環境が激しく変化するこれからの状況を想定すると、どんなに優れた専門家であっても、それがずっと役に立ち続けるとは思えない。むしろ新しい環境に対応する点において、足かせになる可能性すらある。
そのような「機を捉えた」専門家よりも、「腹を据えて」新しい事業に挑んでいく懐の深い人間のほうを、会社の将来を支える人材として重視する考え方はこれからも主流であり続けるだろう。
渡部氏が「『腹を据えて』新しい事業に挑んでいく懐の深い人間」とは、ゼネラリストのことである。
私たちは、「専門性」は未来永劫に活きるものと考えているが、そんなことはないことをこの本は示している。
それゆえ、会社の将来を長いスパンで考え、支えるゼネラリストが必要なのだ。
けっして、「ゼネラリストいらない」といったことにはならない。
このことは、ゼネラリストとスペシャリストの今後を考えるとき、重要だ。
ゼネラリストの存在意義は確固としてあるのだ。
それでは、堀場氏が言う「ある分野でスペシャリスト」になるということはどういうことだろうか?
いろいろな表現ができるが、ある分野に精通し、「そのことならアイツだ!」と言われる存在になるということではないだろうか。
私は、それを『コロナ後の「たった一つの出世の掟」』のなかで、「特定の分野を極めたリーダー」と表現した。
(下記記事を参考にしてください)
問題は、どう特定の分野を極めるかだ。
それは、企業で働くビジネスマンの場合は、そのときの業務においてだ。
そのとき、そのときの業務に一所懸命取り組み、精通し、自分だけのものを作り上げるということである。
これがスペシャリストなるということだ。
だから、「ゼネラリストのままで生き残れるか」と心配するより、今の業務に邁進することが大事なのだ。
企業で働くビジネスマンは、スペシャリストであり、ゼネラリストでもある。二者択一の問題ではないのだ。
綾小路 亜也
関連記事:企業で働くビジネスマンはどっちをめざすか?
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