2025.09.16更新
傾聴しようと思うと、不思議なことに、傾聴できなくなります。頭の中が傾聴しようとする自分でいっぱいになるからです。
傾聴を難しく考えず、相手の話を聞き切ろうと思うことです。
すると、相手は話し切ります。
この相手が話し切ったと思う状態こそが、傾聴なのです。
しかし、傾聴は黙って相手の話を聞くことではありません。
相手が話したいことを促すことが、傾聴です。
相手が話したいことを促していくと、人は自分に起きた出来事や、自分が大事にしているものを話したがっていることに、気づきます。
その例として、『コロナ後の「たった一つの出世の掟」』では、次のような部下と上司の会話を載せています。
下線を引いた箇所に着目してください。
部下 「つくづく職場のみんなが嫌になったんです」
上司 「嫌になったということなの? もう少し詳しく聞かせて」
部下 「昨日も課長がいないときに、大騒動があったのです」
上司 「大騒動って?」
部下 「そう、AさんもBさんもルールを守らないから注意したのです」
上司 「ルールって?」
部下 「4時までに会社に戻るって、みんなで決めたじゃないですか」
上司 「そうだね。4時までに会社に戻るって決めたよね」
部下 「それなのに、Aさんが戻ってきたのは4時半、Bさんは5時だったんですよ」
上司 「Aは4時半、Bは5時に戻ってきたんだね」
部下 「それから書類をチェックすると、子供の夕飯の支度が遅れるじゃないですか」
上司は部下が使った言葉に注目し、その意味を知ろうと同じ言葉を返しています。
これが言語的追跡です。
記載例を、もう一度見てください。
人は出来事を話したがっていることがわかります。
そして、出来事を丹念に拾っていくと、その人が大事にしているものに必ずぶつかります。
このケースでは子供の夕飯の支度をしなければならないということです。
大事にしていることを阻害されたから、上司に訴え、大騒動という言葉まで使ったのです。
重要なことは、人は自分が大事にしているものを話せないと、聞いてもらったとは思わないことです。
一見、簡単そうな言語的追跡ですが、なかなかできません。
つい、「なぜ?」と原因をきいてしまいます。
「なぜ?」ときくと、相手は追い込まれたような感覚になります。
話したいことを話せなくなってしまうのです。
言語的追跡はカウンセリング技法の一つですが、そんなことを横に置けば、相手が話したことにくらいつくということです。
今、会社の昇進基準は大きく変わりました。
ウエイトが高いのは、傾聴力です。
部下の話を聞くことができるかどうかを、問われているのです。
それゆえ、多くの上司は傾聴に努めます。
ところが、多面評価などの結果を見ると、部下は「話を聞いてもらえていない」と言います。
それは、部下が話し切れていないからです。
自分に起きた出来事や自分の大事なものを話せていないのです。
傾聴を難しく考えると、傾聴することに頭がパンパンに膨れ上がってしまいます。
それでは傾聴できないのです。
出世で大事なこと5選 ④言語的追跡から
綾小路 亜也
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