2024.05.01更新
応接室の長椅子の上座は、「一番偉い人が真ん中」と教わったような気がする。しかし今のビジネスマナーの本では、入り口から見て奥の席が上席となっている。
今のビジネスマナーでは、奥の席が上席(左の図)
PRESIDENT (プレジデント) 2016年5/2号 「金持ち父さんの『マナー』入門」から
上の記事では、長椅子の上座は、真ん中から入り口から見て奥の席に変わったことを示している。
長椅子のビジネスマナーは変わったのだろうか?
紹介した記事を解説している篠原あかね氏は、その理由を、
「案内されて室内に入る際、身分が上の方から入室することが多いから」と説明している。
つまり、一番役職が高い人が長椅子の真ん中に座るためには、どこかで二番目に役職が高い人と体を入れ替えなければならない。
それだと、スムーズな着席とならないのだ。
腹に落ちる説明だ。
それに加え、私は、一番役職が高い人が真ん中に座ると、窮屈感が出てしまうからだと考えている。
しかし、みなさんは、どこか納得感を持てないのではないだろうか?
その理由は、依然として、役職が高い人が長ソファーの真ん中に座ることが多いからだ。
なぜだろう?
その方が「収まり」がよいからだ。
中心軸が定まるからである。
それが、役職が高い人が奥の席に座っていた場合、
その人に視線を合わせるために、みんながその人に頭を向けなければならない。
また、役職が高い人も、部下が発言しているとき、横から聞くような感じになる。
つまり訪問する側、受ける側とも、真正面を向いた会話にならないということだ。
役職が高い人が長椅子の真ん中に座っている場合に比し、話しにくく、聞きにくいのだ。
そんなことから、私は、役職が高い人が窮屈な状態、スムーズな着席とはならないという問題は残るものの、
役職が高い人は、真ん中の席に座るということが原則ではないかと考える。
ちょっと下の画像を見ていただきたい。
訪問する側、受ける側双方が肘掛け椅子になっている応接室の光景だ。
こんな応接室にはめったに案内されることはないが、こうした仕様の応接室やよく存在する。
こんな応接室の場合、役職の高い人は迷わず、真ん中の席に座る。
その方が、収まりがよく、面談も引き締まるからだ。
このことは、接待の席でも同じだ。
接待の席では、ほとんどと言ってよいほど、役職が高い人が真ん中に座っている。
重要なことは、長椅子に座る位置は、誰が決めているかということだ。
それは訪問側だ。
訪問側が、役職が一番高い人を真ん中にして座っているならば、それは訪問側のフォーメーションだ。
だからビジネスマナーとして合っている、合っていないの問題ではないのだ。
たとえば、訪問の目的が「お願い」だった場合、
おそらく、役職が一番高い人は、窮屈だったとしても、長椅子の真ん中に座るはずだ。
そんなときは、同行者のフォローも必要だ。
その際、奥の席から、視線を横に送り、発言を促す光景はどこかおかしい。
訪問を受ける側からすれば、とても一体となってお願いしているようには見えない。
お詫び訪問の場合も同じだ。
つまり、目的に合った座り方があるということだ。
ということは、
長椅子の席次は一律ではないことになる。
長椅子の奥に役職が高い人が座る場合もあれば、真ん中に座る場合だってあるのだ。
どちらが、ビジネスマナーとして合っているかという問題ではない。
綾小路 亜也
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