応接室の長椅子の上座は? ー 奥の席か、真ん中か

2024.07.31更新

 

「一番偉い人が真ん中に座る」と教わった気がしますが、今のビジネスマナーの本では、入り口から見て奥の席が上席となっています。

今のビジネスマナーでは、奥の席が上席(左の図)

PRESIDENT (プレジデント) 2016年5/2号 「金持ち父さんの『マナー』入門」から

上の記事では、長椅子の上座は、真ん中から入り口から見て奥の席に変わったことを示している。

 

応接室の上座は変わったのでしょうか?

 

写真の記事を解説している篠原あかね氏は、長椅子の上座の理由を「案内されて室内に入る際、身分が上の方から入室することが多いから」と説明しています。

 

つまり、一番役職が高い人が長椅子の真ん中に座るためには、どこかで二番目に役職が高い人と体を入れ替えなければならないということです。

それだと、スムーズな着席とならないのです。

 

腹に落ちる説明です。

 

それに加え、私は、一番役職が高い人が真ん中に座ると、窮屈感が出てしまうからだとも考えています。

 

 

 

しかし、みなさんは、どこか納得感を持てないのではないでしょうか?

 

その理由は、依然として、役職が高い人が長ソファーの真ん中に座ることが多いからです。

 

なぜでしょう?

その方が「収まり」がよいからです。

中心軸が定まるからです。

 

それが、役職が高い人が奥の席に座っていた場合、その人に視線を合わせるために、みんながその人に頭を向けなければなりません。

また、役職が高い人も、部下が発言しているとき、横から聞くような感じになります。

 

つまり訪問する側、受ける側とも、真正面を向いた会話にならないということです。

 

役職が高い人が長椅子の真ん中に座っている場合に比し、話しにくく、聞きにくいのです。

 

 

そんなことから、私は、役職が高い人が窮屈な状態、スムーズな着席とはならないという問題は残るものの、

役職が高い人は、真ん中の席に座るということが原則ではないかと考えるのです。

 

 

ちょっと下の画像を見てください。

 

訪問する側、受ける側双方が肘掛け椅子になっている応接室の光景です。

こんな応接室にはめったに案内されることはありませんが、こうした仕様の応接室はよく存在します。

 

こんな応接室の場合、役職の高い人は迷わず、真ん中の席に座ります。

その方が、収まりがよく、面談も引き締まるからです。

 

 

 

このことは、接待の席でも同じです。

接待の席では、ほとんどと言ってよいほど、役職が高い人が真ん中に座っています。

 

 

重要なことは、長椅子に座る位置は、誰が決めているかということです。

それは訪問側です

 

訪問側が、役職が一番高い人を真ん中にして座っているならば、それは訪問側のフォーメーションのです。

 

だからビジネスマナーとして合っている、合っていないの問題ではないのです。

 

 

たとえば、訪問の目的が「お願い」だった場合、おそらく、役職が一番高い人は、窮屈だったとしても、長椅子の真ん中に座るはずです。

そんなときは、同行者のフォローも必要です。

その際、奥の席から、視線を横に送り、発言を促す光景はどこかおかしいのです。

訪問を受ける側からすれば、とても一体となってお願いしているようには見えません。

 

これはお詫び訪問の場合も同じです。

 

つまり、目的に合った座り方があるということです。

 

ということは、長椅子の席次は一律ではないことになります。

長椅子の奥に役職が高い人が座る場合もあれば、真ん中に座る場合だってあるのです。

 

どちらが、ビジネスマナーとして合っているかという問題ではありません。

 

綾小路 亜也

 

 

 

 

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