2024.07.16更新
「信頼」というと内容的なものをイメージする。
「あの人の仕事ぶりは間違いない」「あの人に任せておけば安心だ」といった具合だ。
しかし内容的なものは、ずっとあとの話だ。
その前に大きな「信頼への入口」がある。
頼まれたらすぐやるということだ。
人は頼んだことへの早さで、信頼度を決めているというのが、長年のサラリーマン生活からの実感だ。
信頼の入り口は?
ちょっと会社のことを離れて、私生活での依頼というものも考えてみたい。
会社以外で、私たちはどんな依頼をしているかということだ。
地域活動や親睦団体で、役割や電話連絡等の分担。同窓会での連絡の分担。ちょっとした頼みごとだ。
家庭でも、けっこうある。
「会社の帰りに、買ってきて」
「学校に連絡しておいて」
「役所に届出を出して」
「犬の世話をして」
「直しておいて」
「整理して」
「捨てておいて」
「書類を出しておいて」
「連絡して」
などだ。
そんなときに思うことはないだろうか?
すぐにやってくれると有難いと思い、
頼んだことをやってくれない人を「あてにならない」と思うことだ。
会社生活でもまったく同じだ。
仕事をすぐにやってくれる人をあてにし、頼んだことをやってくれない人をあてにしない。
この「あてになる」ということが「信頼」の始まりなのだ。
私たちは、この「すぐにやってくれる」という部分で、
ほとんど人への信頼度を決めている。
このことは、あなたが会社の人を思い描くとき、容易に想像できる。
内容的なものはずっとあとの話なのだ。
拙著『サラリーマンの本質』でも、この「すぐにやる」ということに大きな焦点を当てている。
本中で2つの例を挙げている。
一つは、上司からの「○○さんへ電話をしておいてくれ」という指示を受けた場合
二つ目は、お客さまや得意先から質問や要望を受けたケースだ。
会社社会でこのよう指示や依頼は本当に多い。
ところがだ!
これが、けっこうできていない。
そして、ここからトラブルが始まる。
『サラリーマンの本質』では、「『手離れ』を早く」という項目で、その対処法を説明している。
(余談だが、この「手離れ」という言葉は、読者のみなさまからウケて広がった)
サラリーマン社会でのトラブルは、「人を待たせている」ことから生じるトラブルが本当に多い。
あなたが管理職だったら、今までに起きたトラブルを思い浮かべてもらいたい。
そのほとんどが、すぐにやらなかったこと、遅かったこと、人を待たせておいたことではなかっただろうか。
「信頼」は、まず「あてになる」という入口から始まる。
この部分がないと、絶対に先に進まない。
「あてになる」の大部分を占めるのが、「早くやってくれる」ということだ。
ここを意外に勘違いし、あくまでも内容にこだわり、シッカリしたものを仕上げてから、依頼主(上司など)に報告しようとする人がいる。
違うのだ!
これだと、その前に「勝負あった」の状態になってしまう。
このことは考えてみればわかる。
依頼主(上司など)は、仮にあなたがシッカリ取り組んで依頼をこなしていたとしても、その状態を、どのようにしてわかるのだろうか。
そんなことはわからない。
それより、早く回答を欲しいのだ。
あなたが、依頼にシッカリ取り組んでいるならば、この「やっている」という動作を依頼主に報告すべきである。
「いま、ここまでやっていますが、なかなか難しくて」
「ここまで進みました。ここから先は少し時間がかかるかもしれません」
など何でもいい。
「やっている」という動作を知らさなければ、人はわからない。
人は、このわからない状態の中であなたに判断、評価を下す。
「あてにならない」ー こう思われたらアウトだ。
その後に、内容あるレポートが出たとしても、時すでに遅しだ。
人は、「あてになる」かで信頼度を決めている。
信頼度が高い人は「あてになる」ということであり、信頼度が低い人は「あてにならない」ということだ。
この「あてになる」の入口は、頼まれたことを早くやることだ。
すなわち、人は頼んだことへの早さで信頼度を決めている。
綾小路 亜也
詳細は、『サラリーマンの本質』第一議題「ピンチのあとにピンチが来る」組織の考察の中の3.「手離れ」を早くを参照願いたい。
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