「完璧主義」より「完結主義」 ー ビジネスでの理由は?

2024.11.15更新

 

「完璧でなくてもいい」と言いますが、なぜ完璧でなくてもいいのでしょう? その答えは「会社は、社員に何を求めているか」を考えると見えてきます。

こんな光景から見ていきましょう。

 

あなたは、会社に残り、報告書の作成に取り組んでいる。

もう少しで完成だ。

全体を見直し、「いまひとつだな」と思う箇所を修正していく。

文字ずれも気になる。

こっちの文字を揃えたと思うと、違う箇所の文字ずれが生じたりする。

 

そんな作業をしているときに、ふと壁にかかった時計に目がとまる。

時計の針はとんでもない時刻を指している………。

 

 

 

このようなことは誰もが経験している。

なにか学生時代を思い出す。

 

勉強ができた人なら経験していることだが、

「90点くらい取れればいいな」と思う人と、100点をめざす人とは、試験勉強に割く時間がまったく違う。

たかが10点の差だが、されど10点の差なのだ。

 

また、90点を獲得するまでに割く時間よりも、それから先の10点に割く時間の方が長いということはなかっただろうか。

経済学でいう「限界効用逓減の法則」に似ている。

 

 

 

先ほどの例のように、文字ずれ等の細部が気になって気になって仕方がない人は、きっと学生時代に100点志向の人だったと思う。

 

もちろん100点をめざす、完璧な書類を作り上げるということは、すばらしいことであり、称賛されることはあっても、非難される筋合いはない。

 

しかし、そのことにより、毎日遅くまで会社に残り、身も心も疲れ果てているなら、やはり問題なのだ。

 

 

この問題の結論から言う。

 

ビジネスの世界では、だいたいができていれば○である。

 

たしかに完璧な書類作成や仕事ぶりは賞賛され、仕事に向かう姿勢、緻密さも評価されることは間違いない。

また、「こいつに頼めば、安心だな」という信頼感も得られる。

しかし、それよりは、どちらかと言えば「早くできたか」の方にウエイトが置かれる。

 

 

違う角度から考えれば、学生時代は、90点~100点の差は確固とした基準があった。

正答数という動かざる基準だ。

 

しかし、ビジネス現場では、「これは、よくできた書類だ」と言われることはあるが、確固とした基準はなく、感覚によるところが大きい。

だから、だいたいができていれば○なのだ。

 

 

だが、誤字脱字はダメだ。

確認ができていないということは、いい加減とみなされる。

また、その矛先があなたの性格にまで及んでしまうからだ。

必ずチェックしてもらいたい。

 

 

さて、ここからが重要だ。

それでは、会社は、社員に何を求めているのだろうか? 

 

いろいろな答えが出て来ると思うが、

長年サラリーマンを経験した私の答えは「多くの仕事をしてもらう」ことだ。

 

かみ砕いて言うと、「さまざまな仕事」「給料を超える仕事」をこなすことを会社は求め、そのための「効率性」「生産性」を求めている。

 

 

会社が社員に求めているものは何か?

 

この観点から、この問題を考えてみると、

完璧さをスピードをもって成し遂げられるなら、何の問題もなく、理想的だ。

 

しかし、ほとんどの人はそうはいかない。

完璧をめざすと、時間を要してしまう。

そうなると、他の仕事ができない。ここが問題なのだ。

会社が期待する「多くの仕事をやってもらいたい」という期待に添えなくなるからである。

 

 

もう少し掘り下げてみよう。

 

一つの課題に対して完璧を期しているということは、他の課題や、やるべきことが停止いる状態かもしれない。

すると、問題、課題が横に並んでしまう。

そう、トラブルの元になるのだ。

 

 

会社社会には、「オレは学生時代は勉強もできて、いい学校を卒業した。なぜなんだ?」とすっかり自信をなくしてしまっている人がいる。

こうした人は、学生時代の自分を引きずっていることが多い。

自信をなくす前に考えてもらいたいことがある。

 

 

学生時代とビジネスの現場は違う。

 

ビジネスの現場では、やるべきことを早く終え、次の仕事に向かえる人が評価されている。

 

すなわち、完璧主義より、完結主義が求められているということだ。

 

綾小路 亜也

 

 

ポイント

①ビジネスの現場では、だいたいができれいれば○である。

あまり細部にこだわらない方がいい。

 

②会社は「多くの仕事をしてもらうこと」を望んでいる。

早く一つの仕事を終え、次の仕事に向かうことが重要である。

 

 

ビジネス社会では、早いエンディングが求められている

 

 

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