本社言葉から、会社が好む人を知る

2021.11.29更新

 

出世をめざすとき、会社が好む行動を考えることは、きわめて重要だ。

 

そのときに参考となるのが、「本社言葉」だ。
「本社言葉」は本社にいる人たちがよく使っている言葉である。

 

なにか「本社言葉」という表現を使うだけで、むかむかしてきそうだが、柳田國男先生の「方言周圏論」ではないが、
問題は、その「本社言葉」がどこから伝播したかということだ。
つまり発信元はどこかということである。

 

私は「本社言葉」の発信元はトップだと思っている。
トップの身近にいる本社の人たちがトップの言葉を聞き、広まったのではないかと考えている。

 

たとえば、会社では、急に「アジリティー」(敏捷性)のような言葉が流行るときがある。
それは、きっとトップが「行動を迅速に取れ」という意味で誰かに話したのだろう。

 

また、急に「愚直」という言葉が脚光を浴びるときもある。
これもトップが「愚直に成果を追い求めている人が大事だ」などと誰かに話したのだろう。

 

こうした「本社言葉」は行動基準を示すだけではない。
仕事のやり方のようなものを示すときもある。

 

たとえば本社の人は、ときとして「スキーム」とか「マター」という言葉を使う。

 

思わず「ちゃんと日本語で話せ!」と叫びたくなるが、これもそのときのトップが使った言葉なのだろう。

 

 

「本社言葉」を取り上げたのには訳がある。

 

それは、「本社言葉」の発信元がトップだとしたならば、それはトップが好んでいる言葉だからだ。

 

また、仮に発信元がトップでなかったとしても、やはり本社の人たちが好んでいる言葉だからである。

 

その言葉が使われるということは、そのときのトップや会社が好む行動基準や仕事のやり方が示されているからでだ。

 

考えてみれば、会社が好む人物像や仕事のやり方という意味では、会社の「職能要件」に近いのではないだろうか。
そう考えると、「本社言葉」には、会社が好む解答例が示されていることになる。

 

だから、その解答例をしっかり頭に入れておくことが必要なのだ。

 

綾小路 亜也

 

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