「話し方の本」に載っていないエリートたちの表現力 ー その理由は?

2024.04.02更新

 

話し方は出世に直結する問題だけに、多くのビジネスマンが話し方の本を読んでいる。
しかし話し方の本に載っていない表現もある。
耳にするエリートたちの表現は本に載っていない。

 

 

エリートたちの表現は彼らだけで共有されるからだ。

 

そんな集団の存在を感じさせる言葉ゆえに、彼らの表現に微妙な感情を抱くのだ。

 

エリートの表現については、長い間、私のテーマだった。

私はエリートたちが使う言葉を、

サラリーマンの本質のなかで「本社言葉」と表現した。

 

「本社言葉」については、

ビジネスマンが見た出世のカラクリ 出世はタイミングで決まる!のなかで、

「スキーム」「マター」を例に挙げた。

 

エリートたちの間では、「早くスキームを示せよ!」とか、

「それは君のマターじゃない!」といったやり取りが行われていることを、会社社会のなかで確認したからだ。

 

会社により使われる言葉は異なるが、このような言葉は必ず存在する。

 

 

 

もう少しエリートたちが使う言葉を取りあげてみよう。

 

私が耳にした言葉で、「ちょっと直球ですね」という言葉もあった。

 

話の相手が、あることを第三者に申し入れようとするときに使う言葉だ。

 

言葉自体、何の変哲もないが、「ちょっと直球ですね」という表現を考えてもらいたい。

「ちょっとストレートですね」と言っていない。

「ちょっと直球ですよね」とも言っていない。

「ですよね」を「ですね」にしている。

 

そんな微妙な違いなど、どうでもいいように思えるが、相手に与える印象がまるで違う。


「ちょっとストレートですね」「ちょっと直球ですよね」と言うと、
自分の考えが相手とは違うことを示してしまう。

 

いわば、「ちょっとストレートすぎませんか」「ちょっと直球すぎませんか」と言っているのと同じだ。


そうすると、相手は自分の意見にコメントされたわけだから、「このくらいで当然だ!」と反発するかもしれない。

 

そうなれば、言ったほうも「それでは、ストレートすぎると言っているんですよ!」と語気を強めなければならない。

 


ところが、「ちょっと直球ですね」は自分の意見とも、意見でないともいえる。

「おっと、直球で来ましたか」くらいのニュアンスだ。


このように表現されると、相手も(そうだな。やめておくか)と引き返すことができる。

また、言葉自体に重みがないので、言ったほうも言葉尻をとらえられることがない。

 

 

こんな表現を用いながら、彼らは調整し合っているのではないかと考えるのだ。

 

 

 

「ど真ん中」という言葉もよく聞いた。

 

エリートの間で話し合うとき、ある部署の中心人物を「ど真ん中にいる人」と表現する。

思わずキャッチャーミットの中心が浮かぶ。

 

たしかに、「Aさんは○○部では中心的存在で、影響力があり、彼の発言にはみんなが従う」といった表現より、

「ど真ん中にいる人」と表現したほうが、Aさんの存在が実感できるし野暮臭くもない。

 

 

こうしたエリートたちの表現は、いくら話し方、伝え方の本を読んでも出てこない。

 

彼らが打ち合わせや調整、コミュニケーションを重ねた結果、生まれてきた言葉であり、彼らだけで共有しているからだ。

 

ケネス・J・ガーゲンとメアリー・ガーゲンは

「言葉は関係性から生まれている」(『現実はいつも対話から生まれる』ディスカヴァー・トゥエンティワンより)と言うが、

その表現がピッタリあてはまる。

 

 

現実はいつも対話から生まれる

 

エリートの表現力をどう受けとめればよいだろうか?

 

彼らの言葉の意味するところを少しだけ考えてもらいたい。

 

私は、『ビジネスマンが見た出世のカラクリ 出世はタイミングで決まる!』のなかで、

「アジリティ」(敏捷性)と「愚直」という言葉を例に挙げ、

この言葉はきっとトップが「行動を迅速にとれ」「愚直に成果を追い求める人が大事」と言ったことが発端になっていると述べた。

 

エリートたちは部署間の調整を進めるなかで、会社の環境やトップの考え方などの情報をいち早く入手するはずだ。

 

彼らが使う言葉から、会社の環境や会社がめざしている方向性を察知してもらいたい。

また、彼らの言葉を頭のなかで反芻すれば、彼らの視点、考え方といったものもわかってくる。

そんな努力を少ししてもらいたい。

 

 

だが、表現の差を能力の差にだけは持っていかないでほしい。

彼らの言葉は、日々の打ち合わせや調整、情報交換を通じて生まれたものにすぎないからだ。

 

綾小路 亜也

 

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