著者は伝え方が出世の武器になるという。
伝え方と出世ー大いに関係がありそうだ。
しかし、一般のビジネスマンやビジネスウーマンは、どのような伝え方が出世に結びつくのかまではわかっていない。
この本には、正直、一般的によく言われていることも書かれている。
だが、出世の研究をしている私からすれば、出世へのエッセンスもたしかに詰まっている。
どのような伝え方が出世に結びつくのか、一緒に考えてみたい。
1.既成事実にとらわれずに、将来の考えを伝える
著者は、先に「あるべき姿」を掲げ、現在の状況を照らし合わせて、その間にはどれだけの差があるか、何をしなければならないかを導き出せという。
足し算ではなく引き算の思考をするということである。
この伝え方は出世に直結すると考える。
なぜならば、組織からすれば、出世させるということは、会社や部署の未来をその人に託すということだからである。
私も同様のことを下記記事にしているので、参考にしていただきたい。
「ポストを射止める人はちょっとだけ未来形」
https://shinyuri-souken.com/?p=60505
2.「目的→結論→理由→目標」の4ステップで伝える
目的は、上司のところに何をしに来たのか、ということである。
ここが明確でないから、上司が「だから何なんだ!」と怒鳴るのである。
ところが、世のビジネス書は口をそろえて、結論から話せという。
ビジネスマナーの本も完全に追随している。
しかし、いきなり結論から話される上司のことも考えてもらいたい。
ビジネスの現場でいつも上司から怒鳴られている人は、いきなり結論から話している人である。
また、いきなり結論から話すことは、上司に心の準備を与えないということでもあり、ビジネスマナー的にもおかしいのである。
ビジネスの世界で、うまく上司に報告する人は、みな、著者がいう目的から入っている。
このことは、私たちも目にしていることである。
私も、この事実に以前から注目していた。
私は記事や著書では「目的」のことを「件名」と読んでいる。
下記記事を参考にしていただきたい。
「『できる社員』は結論から話すのではなく、件名から話す
https://shinyuri-souken.com/?p=27392
拙著『なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか』にも記載した内容である。
3.「過去」→「現在」→「未来」という時間の流れに沿った、メリハリのあるストーリーを構築する
ビジネスプレゼンというと、「背景」「課題」「解決」「効果」が定番である。
この本では偉い人へのプレゼンを想定しているが、どちらが、インパクトがあるだろうか?
経営者が知りたいのは「未来」である。
それは、著者がいうように、企業経営の根幹だからである。
4.情報集めのプレゼンから、自分の考えを述べるプレゼンへ
私たちは、いつからデータ重視になったのだろうか?
プレゼントいうと、いかに多くの客観的資料を集めるかが鍵だと思い込むようになった。
しかし、そこには「私は」という主語がない。
著者はプレゼンテーションとは、「まず主観があって、それを支えるために客観的な情報が必要になる」と述べている。
そして、「人は情報では選ばれない、自分の意見によって選ばれる」と、出世の極意のようなものを示している。
5.結論の中では理由を述べない
多くの人は「AだからB」と、理由と意見をセットにしているのではないだろうか。
そうすると、著者がいうように、言葉が多くなり話が冗長になる。
著者は次のように伝えるべきだとしている。
「とにかくBが重要です」→「なぜならAだから」→「たとえばCをする場合に」
つまり、理由は付け加えるということである。
6.意見を出すことと、結論を決めることは、同時におこなわない
このことは、私たちが会議でよく経験していることである。
意見を出すことと、結論を決めることを同時におこなうから、著者がいうように議論があっちに行ったりこっちに来たりする。
だから、まとまらないし、何のための会議かわからなくなってしまうのである。
ところが、私たちはどこで覚えたか、会議は意見を出し合いながら、まとめるものだと思い込んでいる。
意見を出すことと、まとめることは、別なのである。
どうだっただろうか?
結論から話す、「背景」「課題」「解決」「効果」といった組み立て、データ勝負のプレゼン、「AだからB」といった話し方、意見を出し合いながら結論を出すということ、みんな、私たちが体で覚えたというよりは、そういうものだと思い込んできたものではなかっただろうか。
そこには、ビジネス書やコンサルタントたちの影響も強くあったのかもしれない。
しかし、その方法だと人に伝わらないのである。
出世は、現実の世界で生まれるものであり、けっして理論や理屈の世界で生まれるものではない。
この本には、現実の世界で通用する伝え方が書かれているので、それを実際に試してもらいたい。
試してみた結果、自分なりの感覚、手応えをつかむだろう。そして、自分なりにアレンジすることだ。
その繰り返しこそが、出世への道なのである。
『出世する伝え方』
◆新百合ヶ丘総合研究所の出世本四部作
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