『リッツ・カールトン 超一流サービスの教科書 (日経ビジネス人文庫)』
CHAPTER01「脚立に乗った営繕係」に載っている営繕係の行動を考えてもらいたい。
営繕係が視界の端で、ある女性と息子ふたりの姿をとらえた。プールからあがってきたらしくタオルを身体に巻き、水滴を垂らしている。女性は両手にたくさんのバッグを抱え、ロビーに入るドアをうまくあけることができない。どうしたらいいのか戸惑っている様子だ。脚立に乗っていた営繕係はその様子を見て工具を置き脚立をおりると、ロビーを横切ってドアのところに向かい、笑顔でそのお客さまのためにドアをあけた。
「お帰りなさいませ」彼が話しかける。「バッグをお持ちしましょう。プールはいかがでしたか? ふたりのお坊ちゃんたちはたっぷりお楽しみになりましたか? 何階にいらっしゃいますか?」彼は行き先のボタンを押してエレベーターからおりると、さきほどの脚立のところにもどった。
みなさんは、この話を読んで「これぞリッツ・カールトンのサービスマインドだ!」と思うかもしれない。
しかし、この営繕係の行動では、不十分! と考えるのが、リッツ・カールトンのサービススピリットである。
なぜか?
この営繕係は、ドアをあけられずに往生していたお客さまのいらだちに気づいてから行動したからである。
営繕係は、先を読んで(お客さまがそうなることを予測して)、お客さまが意思表示する前に、行動しなければならなかったのである。
私たちは、いま、本や記事、あるいはセミナーなどで普通に「お客さまの視点に立って」という言葉を耳にする。
また、私もビジネスマナーの本を書いているが、ビジネスマナーの世界でも、相手への「思いやり」「気づかい」が大事だと耳にタコができるほど聞かされている。
しかし、重要なことは、その中身である。
「お客さまの視点に立つ」ということはどういうことなのか、相手への「思いやり」「気づかい」ということは、どういうことなのかを適切に認識しない限り、それは、その言葉をまくら言葉のように使っているだけで、そこから先、一歩も進まない。
それを教えてくれるのが本書である。
私は、リッツ・カールトンの核は、お客さまの状況に対する「先読み」と、スタッフに裁量を委ねている点にあると考える。
(注:スタッフが自由に用途を決定できる金銭的な裁量を委ねている。お客さまひとりあたり2000ドル)
もちろん、スタッフ教育などのシステムにも裏付けられていることは間違いない。
目次
CHAPTER01 脚立に乗った営繕係
CHAPTER02 顧客満足の4つの要素
CHAPTER03 技術としての言葉
CHAPTER04 リカバリー
CHAPTER05 リピーターになりたくなるシステムをつくる
CHAPTER06 先を読んで商品とサービスを提供できる
CHAPTER07 スタッフ
CHAPTER08 リーダーシップ
CHAPTER09 価値があるかどうかを見抜く
CHAPTER10 オンラインでお客さまの心をつかむ
CHAPTER11 こんにちは/さようなら
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