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「上の者を出せ」と言われても、できる限り頑張る理由は?
2024.11.15更新
クレーム対応で「上司を出せ」「責任者を出せ」「店長を出せ」「社長を出せ」と言われたら、どうしますか?
そんなクレーム対応にも原則があります。
事情を一番知っている人が持ちこたえるということです。
その理由を考えていきましょう。
クレームで「社長を出せ」と言われたら、社長を出すでしょうか?
きっと連絡さえしないでしょう。
しかし、「上の者を出せ」と言われたら、迷うのではないでしょうか?
クレーム対応の原点はここにあります。
仮に「上の者を出せ」と言われ、先輩の社員を出したとしましょう。
しかし、お客は先輩社員を指さし「お前じゃ話にならない。責任者を出せ」と言うでしょう。
今度は、課長が対応します。
すると、お客は課長に向かって「お前はここの責任者か? どうなんだ。課の責任者? それじゃ話にならん。店の責任者を呼べ」となるでしょう。
それではと、店長を出します。
そうすると、お客は「お前が店長か? オレが言ったことを社長に伝えろよ。そして社長をオレのところに連れて来い」となります。
すなわち、誰が出ても、お客は「お前じゃだめだ」と言い続ける可能性があるのです。
そうなると、本当に社長を出さなければならないような状況になります。
しかし、どの世界に「はい、わかりました」と社長を出す会社があるでしょうか。
だから、サラリーマンは苦しみ、悩むのです。
トラブル対応に時間をかけるのです。
たえず「責任者を出せ 」と言い続ける、心理はどのようなものでしょうか?
それは「早く要求を呑んでもらいたい」「この問題を早く解決してほしい」ということです。
だから、より裁量権を持つ人を出せと言い続けるのです。
しかし、仮に社長が出た場合、本当に問題が解決するでしょうか?
社長は実務のことをまったく知りません。
それに社長が出たら出たで、さらなる要求が出る可能性だってあります。
つまり、社長が出たからといっても問題は解決するとは限らないということです。
そう考えると、この問題は、際限なく上に上にと行く前に、誰かが持ちこたえなければならない問題ということになります。
その「誰か」とは、事情を一番知っている人です。
それは、初期対応をした人です。
これが、クレーム対応の大原則なのです。
実際には、上の人を出して解決する場合も多くあります。
それは、お客が「まあ、この人が出てきたなら仕方がない」と矛を収めてくれた場合です。
役職がまさに利いたということです。
しかし、上の人が出たからといって解決する保証はどこにもありません。
また、上になればなるほど実務に疎くなります。
実務に疎いがゆえに、かえって「何もわかってないじゃないか!」とお客の感情を逆なでする可能性だってあるのです。
そう考えると、上の人が出て解決を図る場合でも、その前に、事情を一番よく知っている人ができる限りの説明をしておかなければならないことになります。
上の人が出て解決した場合は、この下地があったのです。
しかし、あなたは「それはわかったけど、お客は自分の話など一切聞こうとはしない。そんなときは、どうするんだ?」と言うかもしれません。
そんなときに、相手に伝える言葉があります。
それは、「私は会社を代表してお話ししているんです」という言葉です。
このことも、クレーム対応で非常に重要なことです。
実際に若い社員がこの言葉を言うことは、難しいということはわかっています。
それが言えないときは、ぜひ、自分の心に向かって「私は会社を代表している」と言ってください。
この「自分は会社を代表している」という気持ちは、相手に伝わります。
この気持ちがトラブル解決の大きなポイントになるのです。
サラリーマン社会では、トラブル対応を、上司も周囲の人も見ています。
そこでの頑張り、持ちこたえ方というものを見ているのです。
そこを「上の者を出せ」と言われて、「はい、わかりました」と安易につないではダメなのです。
上の人に速やかに報告することは不可欠ですが、
上の人を出す場合でも、一番の当事者である自分が、説明の限りを尽くす、お詫びの限りを尽くす、相手の理解を得るために全力を尽くすということが必要です。
そんな気持ちがあると、トラブルは解決に向かいます。
綾小路 亜也
ポイント
①トラブルは、誰かが持ちこたえないと際限なく上に上にと行く。
②一番持ちこたえなくてはならない人は、一番事情を知っている人である。
③自分は会社を代表して対応しているという気持ちが必要であり、それは相手に伝わる。
その気持ちがあると、トラブルは解決に向かう。
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