2025.07.08更新
会話が途切れ、沈黙が生まれたとき、プライベートな質問に飛ぶことがあります。「ご家族は?」「出身校はどこですか?」といった質問です。
これらの質問は、いままでの話の延長線上にはなく、会話を続けなければならないと思ったときに出る質問です。
沈黙が生まれたときは、沈黙を受けいれ、相手が話すのを待つことが最善の方法に違いありません。
しかし、それがなかなかできないのです。
その沈黙がたとえ十秒だとしても、ビジネスパーソンにはいたたまれない時間なのです。
私も沈黙の時間に悩んだ一人です。
私は話が途切れるのには、原因があるような気がしてなりませんでした。
最近、ようやくその答えが見つかりました。
私の頭は、会話のなかで、たえず次の質問を探していたからです。
質問を見つけようとすると、質問は尽きてしまうことがわかったのです。
このことについて、私が考えたことと同趣旨の記述があります。
和田裕美さんは、著書『一言変えるだけで! もっと人に好かれる話し方(大和書房)』のなかで、
「大事なことは、『何かを聞いてやろう』とか、『質問で仲良くなろう』とか計算しないことです。純粋に、相手や相手のされていることに、興味をもって聞くことです」と述べています。
会話例が二例掲載されていますが、シーンは、初対面で名刺をいただいたあとです。
名刺を見て「めずらしい名前ですね」とか、「何の会社ですか?」とか質問したあとの会話です。
そこからの会話は、すべて相手が話したことへの質問になっています。
話の軸が相手から一歩もズレていません。
「何かを聞いてやろう」ということではないのです。
この方法だと、話が永遠に続き、質問が飛ぶことはありません。
このことは、キャリアコンサルタントの資格をとった人は実感しているはずです。
キャリアコンサルタントの資格をとるためには、クライエントから相談を受ける場面を想定した実技試験に合格しなければなりません。
そのためにキャリアコンサルタント養成講座は実技演習に力を入れますが、ほとんどの受講生は、クライエントへどのような質問をしたら胸の内を明かしてくれるだろうかと考えます。
クライエントがまだ話しているのに、頭の中はたえず次の質問を考えているのです。
そうすると、不思議なことに質問は途切れ、沈黙の時間を迎えてしまいます。
もちろん、相手が考えたり、言葉にできないために訪れた沈黙ならば、その沈黙を尊重しなければなりません。
しかし、それは質問が途切れたための沈黙とは本質的に異なります。
受講生たちはそうした失敗を繰り返したのち、やがてクライエントの言葉を追跡し始めます。
クライエントが語った言葉のなかから問いかけを行うようになるのです。
これが「言語的追跡」である。(注)
このような会話ができたら、プライバシーへ踏み込むことはありません。
会社のこと、部署のこと、仕事のことに徹する会話を続けることは、最初のうちはキツイですが、相手が話したことに興味をもち、相手が話したことからズレなければ、話は途切れません。
綾小路 亜也
(注)カウンセリングの主流となっているマイクロカウンセリングでは面接の際のコミュニケーション技法を単位ごとに組み立て、「マイクロ技法の階層表」という枠組みを作っている。
その底辺にあるのが「かかわり行動」である。
「かかわり行動」には、視線の合わせ方、身体言語、声の調子、言語的追跡の4つのパターンが含まれている。
(『マイクロカウンセリング技法―事例場面から学ぶ―』福原眞知子監修 風間書房)より
㉒ 会話を続けようと思うと、プライベートな質問に飛ぶ から
※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント
①話が途切れたとき、何か質問しようと考えると、プライバシーに踏み込んだ質問が生まれる
②相手が話したことを追跡すれば、質問は飛ばない
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