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「終わりよければすべてよし」に持っていくには、何が必要か?
2024.11.12更新
誰しも「取り返しがつかない失敗をした」という経験を持っている。そんな時、大事なことは「終わりよければすべてよし」の世界に持っていくことだ。
サラリーマン社会では、事態の終わり方がとても大事なのだ。
そのためには、何が必要か?
書類を紛失した。
重要な手続きを失念した。
会場の手配を忘れてしまった。
大きな契約を落とした。
重要得意先を怒らせた。
そんなときは、夜も眠れず、悶々とする。
しかし、「取り返しのつかない失敗をしてしまった」と思った場合でも、
みんなにオープンにし、事態の収拾を図れば、「取り返しのつかないこと」になることは滅多にない。
ただし、そのためには一つだけ条件がある。
自らも、収拾に向け、死に物狂いで頑張るということだ。
起きてしまったことは仕方がない。
あとは、どれだけ頑張れるかということだ。
窮地で必死に頑張れば、事態は収まるところに収まる。
サラリーマン社会には不思議な現象がある。
大失敗をし、最悪の事態を防ごうと必死に頑張り、収まるところまでこぎつけた人は、かえって評価が高くなるという現象だ。
事態がひと段落したあとで、会社の上層部や上司はこんな言葉を交わす。
「あいつ、よく頑張ったな」
「ええ、本当によく持ちこたえてくれました。あいつの知らない一面を見たような気がします」
大失敗をした人の必死の頑張りが、会社上層部の記憶に焼き付くのだ。
「粘りのある人物」として記憶にインプットされるのである。
その結果、抜擢されることさえある。
実際、会社の上層部の人は、絶体絶命のピンチを経験し、そこでの頑張りが評価された人が多い。
このことは、日本掲示新聞の「私の履歴書」を読むと、窺える。
大会社のトップを経験した人は、よく自分が引き起こしてしまった失敗や絶対絶命とも呼べるピンチを書いている。
この部分は真実だろう。
そうした経験をし、克服したからこそ、その人は評価されトップに上り詰めたのかもしれない。
障害を乗り越えた人は出世する?
みなさんに考えてもらいたいことがある。
「取り返しのつかない」と思われる失敗例を挙げたが、上手くカバーしたとしても、元の状態に戻ることはないということだ。
重要な書類を紛失したり、手続きを忘れた場合、カバーに全力をあげても、企業にとってはやはりダメージが残る。信用も失われるだろう。
会場の手配を忘れた場合も、その後にいくらみんなで手分けして会場を手配したとしても、当初イメージした会場より劣るだろう。
大きな契約を落としてしまった場合も、落としてしまった契約は俄かに戻ることはない。
たとえ取り返したとしても、たいがいは落としてしまった額よりはかなり少額であり、落としてしまった額を上回ることはないだろう。
大きな取引先のトップを怒らしてしまった場合も、俄かに機嫌が直るということも考えにくい。
つまり、いままでの議論に水をさすようだが、必死の頑張りや取り返しは、受けたダメージに比べればかなり小さなものだということだ。
にもかかわらず、なぜ、そんな頑張りが評価されるのだろう?
それは、サラリーマン社会は共同社会だからだ。
見えなかった共同社会としての側面が顔を出すのだ。
先ほど述べた「取り返しのつかない失敗」は、多くの場合、みんなと利害が一致する事例なのだ。
だから、失敗をしてしまった場合はオープンにする必要がある。
実際、こうした場合は、あなたの周りの人は手を貸してくれるだろう。
だから、自らも頑張らなくてはならないのだ。
そして、最悪の事態を防げたとき、組織には安堵感が漂う。
それは組織全体で最悪の事態を防げたことを意味しているからだ。
共通の安堵感が次に向かうものは、最悪の事態を防いだ人への評価である。
サラリーマン社会は利害一致の共同体
詰まるところ、サラリーマン社会は、事態の終わり方が極めて重要だということになる。
「論点」は、失った内容より、事態の終わり方に向かうことが多いのだ。
そう、サラリーマン社会は、「終わりよければすべてよし」の色彩が強い社会なのだ。
最後に、「取り返しのつかない」ことになることは滅多にないと述べてきたが、一つだけ「取り返しのつかないこと」になるものがある。
それは健康だ。
健康を第一に考えてもらいたい。
綾小路 亜也
ポイント
①サラリーマン生活では「とんでもない失敗をしてしまった」と思った場合でも、事態をオープンにし収拾を図れば、取り返しがつかなくなることは滅多にない。
②そのためには、一つだけ条件がある。それは、自分自身も死に物狂いで頑張るということだ。
③不思議なことに、失敗をした人でも、窮地での頑張りによりかえって評価されることがある。
④サラリーマン社会は、事態の終わり方が極めて重要だ。
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