知っておきたい「人事異動の決め方」 ー そのからくりは?

2024.10.23更新

人事異動は誰が、いつ決めるのか。
「人事異動のからくり」を知れば、何がキーとなるかわかる。人事異動の裏側を覗いてみよう。

 

1.人事部によるヒアリング

次年度の人事異動に向けた準備は、人事部からのヒアリングから始まる。

 

夏を過ぎた頃から行われるのが一般的だ。

その対応に当たるのは、課などを束ねる部長クラスの責任者である。

 

ヒアリングには意味がある。

人事部にとっては、社員が期待どおりの活躍をしているのか、過去に問題があった社員のその後について、確認できるからだ。

現場組織にとっても、要員上の問題や、人事部に知ってもらいたいことを伝えられる機会になる。

 

 

ヒアリングの目的は、ズバリ何か?

 

人物像の共有だ。

この共有があるから、人事異動案が作れるのだ。

 

次年度の人事異動に向けた動きは、早くから始まっていることを心にとめてもらいたい。

 

 

夏を過ぎた頃から、人事ヒアリングが行われる

2.自己申告書の内容確認

社員への自己申告書の提出は、毎年10月頃に行われるのが一般的だ。

 

記入された自己申告書は、直属の上司→部署の責任者→人事部といった回り方をする。

 

直属の上司は記入内容に基づき面談を実施し、コメントを付し、部署の責任者に送付する。

部署の責任者は直属の上司の意見を基に、自らもコメントを付し、人事部に送る。

 

 

会社が一番知りたいものは、何だろう?

 

それは、現職についての考えだ。

今の職場に残りたいと思っているのか、それとも出たいと思っているかということだ。

 

特に部署での在籍期間が長くなっている社員について、意向を知りたいはずだ。

また、在籍期間が短いにもかかわらず異動を希望する社員については、その理由を知りたいに違いない。

 

 

重要なことは、管下職員を束ねる部署の責任者は、

ここで転出させる人と、残す人の大枠が見えてくるということだ。

 

そして転出させる人については、社員の希望部署を確認する。

希望部署が適性、評価にマッチしているかということだ。

同時に、家庭の事情、勤務地なども考慮し、コメントを付す。

 

 

企業で働くビジネスマンが忘れてはならないことは、

ほとんどの人事異動は、自らが記入した自己申告書がベースになっているということだ。

 

だから、自分の意思、そして自分の姿をハッキリと示し、人が納得するような希望部署を書くことが大事だ。

 

コロナ後の「たった一つの出世の掟」で自己申告書への記載にこだわったのも、そのためである。

 

 

部署の責任者は、異動を希望しているか、確認する

3.部署責任者による「人事異動案」の作成

年明け早々、部署責任者は「人事異動案」の作成に着手する。

 

フォームは人事部より送付される。

 

みなさんは、「人事異動案」は人事部が作成していると思っているかもしれない。

しかし、ほとんどの企業では、人事異動の原案は現場の部署責任者が作成している。

 

部署責任者のここでの判断は、転出させるか、残留させるかの判断だ。

 

在籍期間が長い社員を残す場合は、必ず理由を書かなければならない。

組織の状況などだ。

また、在籍期間が短い社員を転出させる場合にも理由が必要だ。

直属の上司の意見や、適性などである。

 

 

部署責任者には、もう一つ重要な作業がある。

転出させる社員の「後任者像」を要望するということだ。

部署責任者が書いた「後任者像」は、人事部は必ず参考にし、この「後任者像」を基に転入者を決めていく。

 

 

ここで、なぜ部長クラスの部署責任者が人事異動案を作成しているかということを、考えてみたい。

 

それには、管下組織から送られてくる自己申告書を横断で見ることにより、組織の戦力が見通せることがある。

また、管下組織内で、職員を入れ替えるなどして、要員や戦力のバランスをとることもできるからだ。

いわゆる部内異動である。

 

 

部署責任者は、転出者と残留者を区分けする

4.昇進者の申請

転出者のなかには、昇進候補者もいる。

 

「昇進」は役職が上がるということだ。

課長や部長などになって、出ていくということである。

 

昇進候補者も部署責任者作成の「人事異動案」に記載されるが、別の流れをとる。

昇進には「昇進申請書」が必要だからだ。

 

「昇進申請書」は部署の責任者が作成し、人事部に送付する。

人事部は昇進の可否を決定する。

 

その結果、昇進して転出するケース、昇進しないで転出するケース、現在の組織で持ち上がるケース、昇進しないで残留するケースが生じる。

 

 

すなわち、昇進は誰が決めるかと言えば、

部署責任者が「昇進申請書」を作成しない限り、昇進は生まれない。

「昇進申請書」が人事部に提出されても、昇進が実現するとは限らないということだ。

その意味で、昇進の決定権者は人事部である。

 

 

また、昇進すなわち出世はいつ決まるかと言えば、

年度末の結果を待たず、かなり早い時期に決まるということである。

 

このことは、昇進候補者になった場合、強く意識してもらいたい。

 

 

昇進は別な流れをとる

5.人事部による異動案の作成

部署責任者が作成した「人事異動案」「昇進申請書」を基に、人事部は実際に発令する異動案の作業に取りかかる。

 

ここから先は、現場には見えない。

 

人事部の主たる作業は、各部署から送られてきた転出者の集計と、部署への当てはめ作業だ。

ある部署からの転出者を、他の部署の転入者に当てはめるということである。

 

どの部署が適任かを、過去の経歴、評価、適性、ヒアリングからの情報、受けいれ部署の責任者が示した「後任者要望」などを参考に決定する。

 

この作業は需要と供給の突き合わせとも言える。

 

同時に、昇進者も決定していく。

昇進者が決定するということは、現在その任についている人を異動させなければならない。

ここで、また作業が必要になる。

 

 

この一連の作業の結果が、人事異動なのだ。

 

6.人事異動発表前の調整

人事部が転出者と転入先の突き合わせを進めていくと、上手くマッチングできないケースが出て来る。

 

そんなときは、人事部から部署責任者に電話が入る。

代替案の提示だ。

 

また、ある部署が要望する人材が、現在挙がっている転出者から上手く捻出できないとき、特定の職員を転出できないか打診することもある。

 

じつは、こんなことが人事異動発表直前まで行われているのだ。

 

人事異動発表前に、人事部から部署責任者に電話が多いのはこのためだ。

 

 

7.企業で働くビジネスマンが大事にしたいもの

人事異動決定までの流れを見てきたが、企業で働くビジネスマンにとって、何が大事なのだろう?

 

私は8年間にわたり、部署の責任者として人事部と交渉を続けてきた。

そこで実感したことは、「自分がどんな人間か」を示す必要性だ。

 

どんな人間かわからなければ、需要も喚起できないし、適正に供給もされない。

つまり不満足な人事異動になってしまうのだ。

 

 

そんなことにならないためには、常日頃から、自分をハッキリと表現することだ。

自分が行ったことを人に知ってもらい、そのことを自己申告書なり、自己評価シートに丁寧に記載するのだ。

それは、自分を大事にすることに他ならない。

 

 

私は、コロナ後の「たった一つの出世の掟」の最終項目を次のように結んだ。

 

自分を大事にする人は、会社からも大事にされる と。

 

綾小路 亜也

 

 

 

 

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