2024.06.29更新
これからのリーダーに求められるものは寄り添う力だ。
今、エリートより、人の気持ちに寄り添える人が選ばれている。
人の気持ちに寄り添う、心に寄り添うとは、どういうことだろう?
人の気持ちを理解することだろうか。
そうだとしたならば、そうたやすく人の気持ちを理解できるだろうか。
あなたの職場を見ても、みんな、役職も異なれば、雇用形態も異なる。
給与も違えば、経験年数も違う。
そればかりではない。
生活基盤も異なれば、育ってきた環境も異なる。
性格や考え方も価値観も誰一人として同じ人はいないのだ。
人の気持ちを理解するには、人の話に耳を傾けてみることが大切に違いない。
いま流行りの傾聴だ。
だが、ほとんどの場合、「傾聴する」という言葉で終わってしまう。
「傾聴」という言葉では解決できないのが、人の気持ちだ。
自分は傾聴しているつもりでも、多面評価で、部下から「聞いてもらえない」という残念な結果が出るのもこのためだ。
部下が「聞いてもらえない」と思うのは、自分の気持ちをわかってもらえないからだ。
会社社会では、「話を聞く」―「気持ちをわかってもらえない」といった現象が輪のように回っている。
なぜ、話す側は気持ちをわかってもらえないと思うのだろうか?
それは、人の話を聞くとき、(それは違うな)(それは少しあまえだな)などと、
自分につぶやきながら聞いているからである。
つまり自分の枠組みで聞いているということだ。
そのことが、聞く姿勢や表情、質問に現れるから、話す側は自分の気持ちをわかってもらえないと思う。
人の気持ちをわかる人になるには、どうしたらよいだろうか?
じつは、「人の気持ちに寄り添う」を言い換えると、「相手の枠組み」で話を聞くことなのだ。
相手の枠組みで聞けば、
(それは違うな)(それは少しあまえだな)などと思うことはなくなり、
相手の気持ちや感情を理解できる。
相手は、自分の枠組みで聞いてもらったことにより、自分の気持ちをわかってもらえたと思う。
このことを知ると知らないとでは、話を聞く際、大きな差となる。
現実にポストを射止めるには、さまざまな関門がある。
あなたへのヒアリングも行われるし、人事部や役員のチェックも行われる。
日頃の言動も確認され、あなたを取り囲む人の意見も聴取される。
このことについて、あなたに考えてもらいたいことがある。
会社は最終的に、何を不安に思い、何を確認したいのかということだ。
会社が抱く究極的な懸念は、昇進させたとき、さまざまな人と上手くやっていけるかどうかということなのだ。
そんな会社の懸念を払しょくするために、
あなたには、どんなときも、どんな場合も、「職場の人の気持ちに寄り添っていきたい」という言葉を使い、
実際にそのとおりに行動してもらいたい。
そんな言葉を口癖にし、行動する人を、会社はより大きなポストに就けるだろう。
考えてみれば、エリートたちほど独自の枠組みをもった集団はいない。
そんなものの捉え方に、嫌な気分を味わったこともあるはずだ。
しかし、これからはエリートたちの価値観や枠組みを、他の人がどう受けとめるのかということが焦点となる。
エリートたちはいままでの姿では、けっして出世できない時代になったのだ。
これからの時代は、さまざまな人の価値観を受けいれ、その人たちの枠組みで考えられる人、すなわち人の気持ち、心に寄り添える人が出世する。
それを、あなたに期待したい。
綾小路 亜也
エリートより、人の気持ちに寄り添える人が出世する から抜粋
エリートの弱点を突く!
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