コロナがエリートたちを直撃したことはたしかだ。
まず、彼らの活動フィールドである打ち合わせや情報交換の場が激減した。
リモートでも打ち合わせは可能だが、彼らの打ち合わせには、互いに空気を読める環境が必要だった。
また、彼らには互いの本音を探り合ったり、情報を交換し合う非公式の場が必要だったが、飲み会も自粛せざるを得なくなった。
彼らが存在感を発揮するリアル会議も減ってしまった。
リモート会議でもひと味違う発言はできるが、リモート会議はリアル会議に比べ時間が短くなる。
会議自体も効率的に進められるため、エリートたちの発言もどこか場に合わなくなった。
彼らの活動フィールドと強みを発揮する場は、どんどん失われている。
追い討ちをかけたのが、「成果で評価する」という社会風潮だ。
あなたは、「成果で評価する」という話を聞いて、「えっ、いままで成果で評価されていなかったの?」と驚くかもしれない。
そう、昇進は成果で決められていなかった。
言わずもがなかもしれないが、評価には「成果評価」と「行動評価」(能力評価)があり、給与は成果評価を基に、昇進は行動評価を基に決められる。行動評価には目標を達成する行動も含まれるが、それよりは、分析力、洞察力、問題解決力、企画立案力、創造力、折衝力、傾聴力、人材育成といったものが重んじられる。
ただ、これらの能力は基準が曖昧で、評価者によって差が生じる。先入観によっても左右される。
これらの能力を有していると思われるエリートが、昇進に関しては圧倒的に有利だったことは間違いない。
ところが、コロナ後、そうは問屋が卸さなくなった。
エリートたちにも、結果が求められることになったからだ。
エリートたちは「結果? 成果?」と首をかしげることになった。
もともと彼らは「本籍○○部、本業は調整」といったような人たちだった。
彼らを見て、いったい、どこの部署の人かわからないような感覚になったのも、そのせいだ。
ここに不満もあった。
彼らの関心は、打ち合わせや調整にあり、本籍での仕事にはなかった。
打ち合わせや調整で高い評価を得られるならば、本籍での仕事にしゃかりきになる必要がなかったからだ。
問題は、エリートたちが結果を出せるかということだ。
「彼らは優秀だから、きっと結果を出せる」という考えも成り立つ。
しかし、優秀だから結果を出せるわけでもなく、打ち合わせや調整が得意だからといって、成果をあげられるわけでもない。
結果という実体を作り出すには、日々の積み重ねが必要だからだ。いわばランニングしたり、バッティング練習や守備練習をしたり、実戦を積み重ねたりすることが大切なのだ。
そんなことを考えると、エリートたちがにわかに結果を出すことはきわめてむずかしいと言えるのではないだろうか。
加えて、いま、多くの本に「パラダイム」「パラダイムシフト」「フレームワーク」という言葉が登場するようになった。
「パラダイム」はものの見方であり、「フレームワーク」は枠組みだ。コロナ後は、いままでと同じものの見方、枠組みでは生き抜くことができないということだ。
いままで、同じものの見方や枠組みをもつ人が集まり、結論を出し、尊重し合ってきた。その典型がエリートたちだ。
人はそんな方法に飽き飽きしてきたし、それでは生き抜くことができないことに気づいたのだ。
いま、エリートたちはまさに八方塞がりだ。
綾小路 亜也
コロナ後、苦境に立たされるエリート から抜粋
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