2024.04.24更新
印刷物を出しっ放しにすると、人に見られたり、盗まれる可能性がある。他の印刷物に混じることもある。
そんな事態を防ぐのがセキュリティプリントだ。
自分が印刷物を回収しなければならない仕組みだからだ。
印刷物が混じることによる情報漏えいは多く起きている。
なぜ他の印刷物に混じるかといえば、
印刷を指示した人が取り忘れているか、すぐに取りにいかないからだ。
このような現象を防ぐために、セキュリティプリントの機能を使うのだ。
いま、多くの企業ではコピー、プリント(印刷)、スキャナ、FAXの機能が一体となった複合機を使用しているが、その複合機には多くの場合セキュリティプリントの機能が付いている。
(メーカーによっては機密印刷機能と呼ぶ)
この機能は、印刷指示を送っても印刷されず、複合機の中に蓄積され、
印刷するとき、複合機の前まで行き暗証番号などを入力しなければ出力されないといった機能である。
つまり、自分が複合機の前まで行かない限り、印刷した文書は出てこないという仕組みだ。
だから取り忘れも生じないし、取り忘れによる他の書類への混入も起きない。
印刷物を出力するときは、本人がプリンターの前まで行かなければならない。ここがミソだ。
設定方法もパソコンの印刷設定で「プリント種類」から「セキュリティ」を選択するだけであり、非常に簡単なところが魅力だ。
この機能をみなさんの会社でもすでに利用しているかもしれないが、まだということならば必ず導入してもらいたい。
だが、こんなに簡単で有効な手段にもかかわらず、あまり情宣されていない。
FUJI XEROXホームページより
情報セキュリティに詳しい人なら知っているが、情報セキュリティ対策用の製品(ソフト・システム)やサービスは一般的なものから高度なものまで幅広く存在しキリがない。
重要なことは、そうした機能を職場で導入するとき、その機能を完全につかいこなせるか検討することだ。
その点、セキュリティプリントは簡単な設定で誰もがつかえる機能であり、費用もかからない。
利用しない手はない。
ただ、注意しなければならないことが二つある。
一つは、私が見た限り、セキュリティプリントを導入した場合でも、全員が全員、その機能を使っていないということだ。
それでは意味がない。
セキュリティプリントを利用していない人が出力指示をすると、すぐに印刷物が出てくるため、混じるという現象を防げないのだ。
また、その人の取り忘れの問題も解消しない。
つまり部署全体のリスクは残ったままになるということだ。
セキュリティ対策を実行するときは、全員が実行して、はじめて意味あるものになる。
もう一つは、セキュリティプリントを利用している人でも、多数の事案をまとめて出力する人がいるということだ。
このことを形態どおり「まとめ印刷」という。
このことが、なぜいけないのか、みなさんの頭で少し考えていただきたい。
そう、それでは自分が打ち出した印刷物の中で、混じり合ってしまう可能性があるからだ。
また、出力した印刷物自体、区分けされているわけではないから、区分けの確認が不十分だと、区分けした事案に他の事案が紛れ込んでしまうことがある。
他の事案が紛れ込んだまま取引先に届けてしまうと情報漏えいになる。
実務ではよく起きていることであり、それでは何のためにセキュリティプリントを導入しているかわからなくなってしまう。
この二つの注意点は、新たな機能を利用する際、目的を全員が共有し、実行することが必要なことを意味している。
綾小路 亜也
⑫ 印刷物の取り忘れを完全に防ぐセキュリティプリント から
※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント
①セキュリティプリントは印刷物の取り忘れを防ぐ有効な手段
②セキュリティ対策を職場で実施する場合は、目的を共有することが大事
他社宛ての書類が混じったまま、得意先に提出してしまったことを考えてみよう。
実務で多く起きている情報漏えい事故だ。
関連記事:もう一つ書類が混じる場所は机の上です
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