2022.11.17更新
企業で働く営業女子は、以前と比べようがないほど、層が厚くなってきている。
営業女子の課題であったロールモデルとなる先輩も徐々に増加している。
実際、営業の第一線でポイントゲッターとして活躍している営業女子は多い。
しかし、ポイントゲッターである営業女子が営業部門の管理職になっているかといえば、そうとは言えない。
このことを本腰を入れて考えなくてはならない。
いま、日本は女性の管理職割合が伸び悩んでいる。
2018年度の雇用均等基本調査によれば、全国の企業・事業所での課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は11.8%にすぎない。
「2020年までに、指導的地位にいる人の3割を女性にする」との政府方針からは、かけ離れた数値だ。
このような状況を受け、「2020代の可能な限り早期」に3割達成という政府の新方針が示されたが、新方針達成もたいへん危ぶまれる。
この調査には、産業別の女性管理職割合が付属表として掲載されているが、職種別には調査が行われていない。
したがって女性の営業管理職の割合は不明だが、私たちが想像する以上に低い割合であることが推定される。
(このことは後述する)
職種別に見て、営業は携わる人は多い。
ポストも多いということだ。
つまり、営業という職種で女性の管理職割合を高めていかなければ、目標はいつまで経っても、絵に描いた餅となる。
この現実に、女性活躍を推進する関係者は着目していただきたいと思う。
また、調査を進めるうえでも、女性がどの職種で管理職に登用されているのか検証することは必要と考える。
現場で活躍する営業女子を活用する目的は、単に女性の管理職割合を高めることではない。
彼女らが、企業を、日本を強くするという視点をもつべきである。
ポイントゲッターとなった彼女らのノウハウを、みんなで活かす時機が来ている。
営業女子が管理職になる道
女性の活用が進まない要因として、古くから環境などの外部的要因と、女性自身が持っている内部的要因が存在することが言われてきた。
内部的要因は、管理職になることに不安や負担を覚えるということである。
つまり自信をもてないということだ。
営業部門の管理職となれば、部下に営業を教えなければならない。ーここで「営業の」管理職という重圧が襲ってくる。
このことに対して、いままで「管理職になるということは組織を運営することであり、求められているものは部下育成能力や管理能力である」と説明してきた。
もちろん正論である。
しかし、「営業の」管理職という位置づけは、当人にとって重いのだ。
そこには、営業的なスキル、経験が必要という意味が込められているはずである。
だが、そうとらえると、「自分に、部下に教えられるだけの営業スキルやノウハウはあるのだろうか?」と考えてしまう。
ここに、営業女子が営業管理職にチャレンジできない一因があるような気がしてならない。
営業管理職にチャレンジすることをためらう営業女子に、次のように問いかけられないだろうか?
あなたは、なぜ営業でやってこれたのだろうか?
なぜポイントゲッターになれたのだろうか?
それには、ビジネスの応対ができていたこと、相手との約束が守られていたことが背景として存在する。
つまり、顧客との間に信頼関係が構築できていたのだ。
このことは、あなたも体感していることである。
だから、あなたは営業に向かったのだ。
もう一つ要因はないだろうか?
それは、あなたは自分の営業スタイルをもっていたのではないだろうか?
営業スタイルというと、むずかしく聞こえるが、営業活動と社内での業務のバランスである。
たとえば、朝いちばんにメールを確認し、電話での要件を済ませたのち営業に向かい、午後3時過ぎに帰社し、顧客からのリクエストに応え、社内での折衝もこなすといった、営業を中心とした一日のスタイルである。
このバランスがあなたにフィットしていたから、あなたは営業でやってこれ、ポイントゲッターにもなれたのではないだろうか?
また、そんな一日のなかで、仕事の進め方もいろいろ覚えていったはずである。
営業というと、営業スキルという言葉が浮かぶかもしれないが、
じつは、自分の営業スタイルを構築できている人が成果をあげているのである。
あなたが営業管理職になった場合、自分が経験し、身に付けたものー具体的には、ビジネスの応対、相手との約束の遵守、一日のスタイル、仕事の進め方を部下に話せばよいではないか。
このことは、あなたの部下となる人は、いちばん知りたがっていることである。
こう考えると、「自分も営業管理職にチャレンジできる!」と自信が湧いてくるはずだ。
そう、あなたは、自分だけの経験とノウハウを身に付け、部下に指導するものをもった人なのである。
もし、それでも「営業スキル」にこだわるならば、
何をもって営業スキルというのかということ、じつは営業の考え方、資源のとらえ方が非常に重要だということは伝えておきたい。
詳細は『企業で働く 営業女子が輝く35のヒント』を参考にしていただきたい。
女性管理職の割合について
冒頭で2018年度の雇用均等基本調査によれば、
全国の企業・事業所での課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は11.8%だったことをお話しした。
この調査には付属表があり、専業別に、企業規模別に、女性管理職割合がわかる。
(付属第8表「役職別女性管理職割合」参照)
産業別に、女性管理職割合の高い順から並べると、
医療,福祉(49.3%)、宿泊業,飲食サービス業(23.1%)、生活関連サービス業,娯楽業(22.2%)、教育,学習支援業(21.9%)、サービス業(他に分類されないもの12.7%)、卸売業,小売業(12,7%)、金融業,保険業(10.6%)と続き、その他の業種は一桁である。
企業規模別にみると、女性管理職割合は、
10~29人が22.5%、30~99人が13.4%、100~299人が8.3%、300~999人が5.4%、1000~4,999人が5.9%、5000人以上が7.1%となっている。
上記から言えることは、産業別には、女性の活躍がイメージできる医療,福祉などの比率が高く、企業規模別には、小規模企業で割合が高いということだ。
このことは、業種と業種の規模がだいたい一致しているからだと考える。
逆から言えば、大企業では、女性管理職の実数は多いかもしれないが、女性管理職登用が進んでいないことを表している。
この報告には、残念ながら、女性管理職の職種というものが報告されていないので、営業部門の女性管理職割合はわからない。
しかし、医療,福祉、宿泊業,飲食サービス業、生活関連サービス業,娯楽業、教育,学習支援業などの業種で管理職割合を底上げしていること、
大企業での女性管理職割合が少ないことを考え合わせれば、営業部門の女性管理職割合が低いことは推測できる。
営業部門の女性管理職候補者の育成は急務なのである。
綾小路 亜也
(厚生労働省「平成 30 年度雇用均等基本調査」の結果概要より)
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