机の上に置くのは1事案 ー どんな時、書類が混ざるか?

2024.04.25更新

 

他社宛ての書類を届けてしまったという情報漏えいが多く発生しています。「誤送付」(誤渡し)といいます。
書類が混ざったことが原因です。

その多くは机の上で発生しているのです。

 

「書類が混ざる」を防ぐには、机の上に1事案だけ置くことです。

これを「机上1事案」といいます。

 

どんな場合に書類が混ざるか、そのメカニズムを見ていきましょう。

 

たとえば、ある事案を処理しているときに取引先からの電話を受けます。

照会に答えるために、取引先の事案をキャビネットから取り出し机の上に広げます。

机の上に二つの事案が重なります。

そのとき、書類が混ざるという現象が起きるのです。

 

あるいは、取り出した書類をよく確認しないで戻すと、戻した事案に処理していた事案が混じることがあります。

に処理していた事案に取り出した事案が混じることもあります。

 

社内の他部署からの電話に答えるとき、上司から質問され資料を取り出すとき、処理途中に他の事案のことが気にかかり書類を取り出したときにもこのような現象が起きます。

 

書類が混ざるのは、処理している事案の上に、取り出した事案を重ねるときに生じやすいのです。

 

机の上で書類が混じる

 

それでは、どのようにしたらよいのでしょうか?

 

書類を重ねないことです。

 

電話を受けたとき、上司から質問を受けたときなどに書類を取り出すときは、

現在処理している事案をサッと机の片側に寄せ、用件が済んだら取り出した書類をすみやかに戻すことです。

 

慣れないとむずかしい動作かもしれませんが、このことは体で覚えてください。

 

職場の人に徹底を図るには、机の上で書類を重ねないと言うより、

「机上に置くのは1事案」と言ったほうがわかりやすいかもしれません。

あるいは、「処理するものは、1事案のみ机に置く」と言い換えてもよいです。

机上に置く事案が1事案だけなら、書類の混ざりようがないからです。

 

「机上1事案」は聞きなれない言葉かもしれませんが、

情報セキュリティ対策に注意を払っている会社では言われていることです。

 

ただし、「机上1事案」を推奨している場合でも、

どのようなときに書類が重なるのか、重なった結果どのようなことになるのか、みんなで理解することが必要です。

 

机上には一事案のみ置く

 

社内の情報管理がなかなか改善しないのは、従業員に腑の腹に落ちる言葉で説明していないからです。

 

従業員にわかりやすく、徹底しやすい言葉を組織のリーダーや会社は考える必要があります。

意識を促す抽象的な言葉より、「机上1事案」のように具体的な行動を促す言葉のほうがよいです。

 

組織で共有化された言葉が情報漏えいを防ぐのです。

 

 

作業中、トイレや他部署に書類を届けるなどの用事で、ちょっと席をはずすときがあります。

 

そんなとき、机の上の書類をどのようにすればよいのでしょうか?

 

理想を言えば、書類箱に入れることですが、ちょっとした間だから現実的でないかもしれません。

 

そのときは、書類の表が見えないように裏返しするか、

座ったとき真正面にある浅くて大きい引き出しにいったん移すことです。

 

この浅くて大きい引き出しに移す方法は、

今蔵ゆかりさんが書いた本などに紹介されています。(注)

そのためにはこの引き出しをカラにする必要がありますが、

知っておくとたいへん便利な方法なので、ぜひ試してください。

 

(注)『みんなに必要とされている人の『ひと工夫』の習慣』今蔵ゆかり クロスメディア・パブリッシング 

および『最新ビジネスマナーと今さら聞けない仕事の超基本』石川和男・宮本ゆみ子 朝日新聞出版 で紹介されている。

 

 

情報セキュリティの行動指針にクリアデスクとクリアスクリーンがあります。

 

みなさんもこの言葉をご存じかと思います。

クリアデスク、クリアスクリーンとも離席時の話です。

 

クリアデスクは、離席時に書類や記録メディアなどを机の上や周辺に放置しないことであり、

クリアスクリーンは離席時には必ずコンピュータのログアウト(ログオフ)やスクリーンロックを行い、

第三者が操作したり、画面を盗み見されたりしないようにすることです。

 

クリアデスク・クリアスクリーンとも職場に浸透してきた言葉ですが、

ビジネスマナーの本にその記載がないのはさびしい限りです。

 

 

クリアデスク・クリアスクリーンは職場の情報セキュリティの意識を高める絶好の取り組みです。

 

問題は進め方です。

取り組みを職場の人に告知しただけでは効果は出ません。

交通安全運動のように、職場の人全員の運動という形で実行することが、ポイントです。

 

情報セキュリティ対策がなかなかうまく進まないのは、

みんなでやるという取り組みができていないからです。

 

難しい対策より、みんなで実行する取り組みを考えることが重要なのです。

 

綾小路 亜也

 

 

情報セキュリティ時代のビジネスマナー

⑪ 机上に置くのは一事案  から 

 

 

※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント 

 

①机上に複数の事案を置かない

 

②離席時には書類や記憶媒体を放置しないクリアデスク、コンピュータのログオフやスクリーンロックを行うクリアスクリーンを職場で展開する

 

 

 

 

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印刷物の取り忘れを完全に防ぐセキュリティプリント

 

 

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情報セキュリティ時代のビジネスマナー

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