「いい意見」とは、その場にマッチした意見

2024.10.29更新

 

私たちは、注目を浴びる意見が「いい意見」と思っている。しかし注目を浴びるには、場に合っていなければならない。出席者にも合っていなければならない。

まず、関心を呼ぶことが必要なのだ。

 

たとえば、会議でみんなの関心を呼ぶには、

「みなさんもやったと思いますが、私も試してみました。その結果、……」

「みなさんもお悩みかと思いますが、私もその点に悩み続けました。私はこう思うのです。……」

「こんなところがおかしいと思っている人もおられますが、私は……」

といった部分が大事だ。

 

持論を展開しても「そうですか」で素通りしてしまう。

役員会、部長会、課長を中心とした会、若手職員の会とでは、出席者の関心は自ずと異なる。

それぞれの会の出席者が関心を寄せる内容になっていなければならないのだ。

 

 

その意見は出席者に合っているか?

 

それでは、たえず、まわりの人の関心が湧くように意見を言わなければならないのかといえば、そんなことはない。

 

企業には月次報告書があり、そのなかで自分の意見をありのままに書いてもいいし、意見書や報告書のなかで存分に言ってもいい。

そんな意見が上の人の目にとまったということは、実際によくある話だ。

また、上の人と一対一の場面、議論することが目的となっている会議では徹底的に、自分の意見を言えばいい。

 

つまり、意見にはその場にあった言い方があるのだ。

 

 

私たちは、「出世する人」というと、はなから「いい意見」を言える人と思い込んでいる。

 

もちろん、知識が深く考え抜いているから「いい意見」を言えるという側面はある。

しかし、「出世する人」は、それだけで「いい意見」になるとは思っていない。

その場にいる人の関心を考え、その場の人に伝わるような意見を述べているのだ。

また、ときには柔軟に、ときには毅然と言っている。

意見を言う場も考えているのだ。

 

 

私は、「出世した人」を見てきたが、「苦戦してきた人」も多く見てきた。

「苦戦した人」には共通点がある。

どんな場でも、同じトーンで自分の意見を述べていることだ。

 

自分の意見を貫き通すことは大事だが、「この場で言うことではないだろ」と思うことも多々あったのだ。

きっと私のまわりの人も同じように感じていたと思う。

 

 

その意見は場に合っているか?

 

もう一つアドバイスを送りたい。

最近の本によく書かれていることだが、「出世した人」や地位を得た人はものすごく体調管理に気をつかっていることだ。

体調管理に気をつかっているから、「いい意見」を生むということもぜったいにある。

 

会議は生き物だ。話し合っている内容も方向性も、目まぐるしく変わっていく。

そんなとき、体調がよくないと頭がついていかない。

 

会議で「いい意見」を言うためには、会議の進行に頭がついていくことも必要なのだ。

頭がついていくと、絶妙なタイミングで意見を言える。

その意見は内容も長さも会議の進行にあっている。

そんな意見も、人には「いい意見」と映る。

 

綾小路 亜也

 

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