「おしぼり」を出す気持ちで、来訪者を迎える

2024.09.02更新

 

天候の影響を受けながら、人混みを歩いたり、電車を乗り継いだりして、訪ねてくれた人のことをとかく忘れる。そんな人を、おしぼりを出す気持ちで迎えたい。

しかし、自分が忙しいときは、そんな人にぞんざいな態度をとることもある。

「相手の気持ちになれ」と言うが、なかなか難しいことなのだ。

 

どうしたら、訪ねてくれた人の気持ちになれるだろうか?

そんなことを考えていたとき、ふと「おしぼり」のことが頭に浮かんだ。

 

それまでは、「おしぼり」は飲食店に行けば自然に出るものだと思っていたし、特段、意識することもないまま手を拭いていた。

 

「おしぼり」の起源は、「室町時代(江戸時代との説もある)、旅(は)籠(たご)で水桶と手ぬぐいを用意し訪れたお客様の手足の汚れを拭(ぬぐ)い、旅の疲れを癒(いや)したことがその始まり」(「東日本おしぼり協同組合」HPから)ということでだいたい一致している。

 

おしぼりで汚れを拭い、疲れを癒したということだ。

 

手の汚れを拭うという目的はいまでも変わっていないし、「疲れを癒す」ということは、店まで来たことへの疲れ、今日一日の疲れとも置き換えられる。

 

つまり、お店が出す「おしぼり」には、「わざわざお越しいただきありがとうございました。お疲れだったでしょう。ごゆっくりしてください」という意味が込められていることになる。

 

 

 

この気持ちは、べつに飲食店だけに限ることではない。

 

天候に左右されながら、人混みの中を歩いたり、電車に乗ったりして、あなたを訪ねてくれた人にも感謝の気持ちを投げかけたいものだ。

 

社内だって、出張までしてあなたの部署を支援するために訪ねてくれる人がいる。

その人にも感謝の気持ちを伝えることが必要だ。

 

だから、「お茶を出すんだ」と言う人もいるかと思う。

お茶は歓迎の意を示すものだから、わざわざ訪ねてくれた人への感謝の気持ちが十分に込められていればそれでいいと思う。

しかし、もし形式的にお茶を出しているのなら、「おしぼり」を出す気持ちになってもらいたい。

 

 

人と人との関係は、形で「差」が出るより、「気持ち」で「差」が出る。

 

出世は、最終的には人の気持ちの総和で生まれれるものである。

 

人の気持ちを考えられる人が出世することは、間違いないことなのだ。

 

綾小路 亜也


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