2024.10.08更新
ビジネスで「ここだけの話」と言う場合、「オフレコにしてください」という意味ですが、聞いた人は内容を漏らしてしまいます。
なぜでしょう?
それはハッキリ「秘密にしてください」と言われるより、受け取り方が軽いからです。
聞いた方は「秘密の話」というよりは、「大っぴらにできない話」「公に言えない情報」と捉えるのです。
そして、そんな情報を得たことに喜びを持ちます。
結果、自分の中に仕舞っておけず、人に話してしまうのです。
そこには、そんな情報を得た自分への承認欲求のようなものも存在します。
では、なぜ話す方は「秘密」という言葉を使わないのでしょうか?
それは話す方も、効果を狙っているからです。
「ここだけの話」は二人の場合、私とあなたということになります。
複数の人がいる場合は、私とこの席にいる人ということになります。
その場にいる人が限定しているということです。
そんななかで、「ここだけの話」という言葉を使われたら、親近感が湧くはずです。
なにか秘密を共有しているような感覚になります。
これが「ここだけの話」と前置きする人の狙いなのです。
「ここだけの話」は親近感が湧く言葉
考えてみれば、本当に秘密の話なら、そう簡単に人に話すはずはありません。
仮に伝えた場合も、「この件は秘密厳守でお願いします」と釘を指すはずです。
にもかかわらず、「ここだけの話」という言葉が使われるのは、内容が伝わることを半ば容認しているからです。
内容が伝わってしまうことより、親近感を作り出すことを優先したと言えます。
そんな感覚が話す方、聞く方双方にあるから、「ここだけの話」は漏れてしまうのです。
ビジネスの世界には「ここだけの話」を口癖のように使う人がいます。
しかしあまり言うと、話の価値がなくなります。
セミナーでも「ここだけの話」がよく登場します。
この言葉を使うことにより、価値を提供し、受講者の満足感を高めているのです。
考えてみれば、多数の受講生が参加するセミナーの場で「ここだけの話」はほとんど意味がありません。
秘密厳守を前提にしていないことは明らかです。
セミナーでも「ここだけの話」が使われる
そう考えると、「ここだけの話」は相手への親近感を図った言葉と言えそうです。
話の価値を共有しようとしているのです。
しかし「ここだけの話」が安易に使われると、話の内容も、「ここだけの話と言う人」も信用できなくなります。
本当に内緒にしてもらいたいときは、「ここだけの話」という言葉は避け、ハッキリ「秘密でお願いします」と伝えることです。
綾小路 亜也
「ここだけの話」は価値の共有を図った言葉?
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