「人間の本質」は?:カーネギーの『人を動かす』から

2024.08.02更新

 

社会人となって、世界的ベストセラーである『人を動かす』を読む人は多い。

 

しかし、社会人として経験を重ねたときに、この本を読み返してもらいたい。

 

人間の本質というものが、身に染みてわかるはずだ。

 

この本に出てくる話の「相手」を「自分」に置き換えてもらいたい。
自分も人間の本質ををもった人間であることに気づくはずだ。

 

 

私も社会人になってしばらくして、この本を読んだ。
そのときの印象は、正直、人間関係の話ばかり載っている本くらいにしか思わなかった。
しかも、著者の年代のアメリカを中心にした話だったからピンと来なかったのだ。

 

本は本棚に置きっぱなしになり、その後、引っ越しなどもあり、いつしか本の行方はわからなくなった。

 

ところが、最近、改めて本を購入し、読み返したところ、本に記載されている人間関係の話が妙に沁みるのだ。
それは、自分自身が社会人としての年月を積み重ねたからだと思う。
自分の経験と照らし、本に紹介されている話がわかるようになった。

 

この本の真髄にも気がついた。
この本は人間関係の普遍性を記した本なのだ。

 

いま、人への話し方、伝え方も含め、人間関係の改善を著した本は多くある。
それぞれの本が言うことは、ごもっともだが、どこか技術的なものも感じる。

 

しかし、人間にはもっと根幹的なものが横たわっている。
そのことを、この本は私たちに教えている。

 

 

人を動かす 新装版

『人を動かす』表紙

 

人間の本質とも言えるものを、この本から抜粋してみたい。

 

「およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかなければならない」

(「盗人にも五分の理を認める」から)

 

「人間は、他人ことには関心を持たない。ひたすら自分のことに関心をもっているのだ。 ― 朝も、昼も、夜も」

(「誠実な関心を寄せる」から)

 

「あなたの話し相手は、あなたのことに対して持つ興味の百倍もの興味を、自分自身のことに対して持っているのである」

(「聞き手に回る」から)

 

「人は誰でも他人より何らかの点で優れていると思っている。だから、相手の心を確実につかむ方法は、相手が相手なりの世界で重要な人物であることを率直に認め、そのことをうまく相手に悟らせることだ」

(「心からほめる」から)

 

「議論に勝つことは不可能だ。もし負ければ負けたのだし、たとえ勝ったとしても、やはり負けているのだ。なぜかといえば ー 仮に相手を徹底的にやっつけたとして、その結果はどうなる? ー やっつけたほうは大いに気をよくするだろうが、やっつけれれたほうは劣等感を持ち、自尊心を傷つけられ、憤慨するだろう。

ー 『議論に負けても、その人の意見は変わらない』」

(「議論を避ける」から)

 

「相手は間違っているかもしれないが、相手自身は、自分が間違っているとは決して思っていないのである」

(「人の身になる」から)

 

 

この抜粋から、何が読み取れるだろうか?

人は、自分の重要感を認めてもらいたいということだ。

この本には、「自己の重要感」という言葉が多く登場する。

人の重要感を認めることで、人は動くのだ。

 

 

 

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2021年3月21日