「できる社員」は折り返しの電話をもらわない

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『なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか』(kindle版)から

 

私は、得意先から折り返しの電話をもらうことについて、なぜビジネスマナーの本が取り上げていないのか、不思議でたまらない。
ビジネスマナーの本を見ると、電話のかけ方や受け方について詳しく載っている。しかし、得意先から折り返しの電話をもらうことについては、ほとんど記載がない。
しかし、得意先から折り返しの電話をもらうことは、ビジネスの世界では最も注意しなければならない。
それは、そこには得意先の感情が存在するからである。

 

実際によくあるケースを見ていこう。
みなさんが、得意先に電話をかける。しかし、相手が電話中だったり、不在だったりすることはよくあるケースである。
こうした場合、電話に出た人はたいてい、「折り返し電話をさせましょうか?」と聞く。
ここで私は、「ええ、お願いします」と答えてはいけない!と言いたいのである。
なぜか?
それは、たいがいの場合、電話に出た人はメモを残すからである。そして、多くの会社ではメモ用紙は所定のフォームで印刷されており、電話に出た人は、そのフォームの「電話を下さい」に○をつけるからである。
今はいくらメール世界だといっても、メモの世界はいっこうに衰えず残っている。たぶん電話に出た人は、わざわざメールを打つよりも、さっとメモを書いた方が早くて楽だからだろう。また伝達漏れも少ないからだろう。

 

問題はこのメモから生じる。
電話を終えた得意先、あるいは外出先から戻った得意先はそのメモを見る。そのメモには「電話を下さい」と書かれてある。
そのメモを見た得意先は、その瞬間、絶対にいい気はしない。憤りを持つ人も多いのではないだろうか。
それは、ほとんどの場合、得意先側からは用がないからである。それだから、「用があるのは向こうにもかかわらず、電話をよこせとは、なにごとか」と思うからである。
それでも、得意先の中には奇特な方がいて、そんな不愉快な思いを持ちながらも折り返しの電話をかけてくれる人もいる。
すると、受話器から聞こえてくる声は、たいがい、「いやーすいません。来週の水曜日、ちょっとお時間頂戴できないかと思い電話したのです」という内容である。
これでは、いくらみなさんの会社が顧客第一主義を掲げていても、ビジネスのイロハのイの字もわかっていないことになる。

 

それでは、「できる社員」はどうしているのだろうか?
先ほどの電話に出た人が、「折り返しの電話をさせましょうか?」というときに、
「いや、こちらからかけ直します」と答えている。
こう答えると、電話に出た人は多くの場合、電話した相手が、電話を終えたときや外出先から戻ったとき、
「さっき、○○商事の××さんから電話がありましたよ」と伝える。
そのとき、相手方は、「おや、なにかあったんだろうか」と気になるはずである。こうして相手から電話がかかってくるケースは多い。
このケースは、形の上では相手から折り返しの電話をもらってはいるが、「こちらからまた電話をします」と言っている中でもらう電話であり、失礼には当たらない。
相手から電話がかかってきたときは、「すみません、わざわざ電話をいただきまして……」と答えればいいのである。

 

さて、実際のビジネスの現場では、こちらから電話をかけ直しても、また相手が電話中だったり、不在だったりすることも多い。それは、みなさんもよく経験していることである。
そんなとき、どうするか?
きっと、電話を取り次いだ人は、気の毒がって、いっそう「折り返し電話をさせましょうか?」と聞くはずである。
そのときには、
「電話があった旨をお伝えください」と言ってもらいたい。
すると、相手から、たいてい、「何度も電話をいただいて……」と電話がかかってくることになる。これは、相手も何度も電話をもらっていることを気にしている証拠であり、もちろん失礼に当たらない。
ビジネスの世界では、「どちらに用件があるのか」がきわめて重要である。相手なのか、それとも、こちらなのかということである。
そして、こちらに用件がある場合は、相手から折り返しの電話をもらってはいけない。
ここのところを、「できる社員」は正しく区分けし、ソツがないのである。
(抜粋)

 

 

なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか

なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか

本の目次

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