『悪いヤツほど出世する』

悪いヤツほど出世する 悪いヤツほど出世する
ジェフリー・フェファー 村井 章子

日本経済新聞出版社 2016-06-23

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リーダーシップについて書かれた本や研修の中のリーダー像と、実際のリーダーとは違う。
このことに気づいた方がいいというのが、本の中身である。

 

リーダー教育産業は「リーダーは信頼を得よ、最後に頼られる人であれ、真実を語れ、人に尽くせ、控えめであれ、思いやりと理解と共感を示せ」と感動と高揚でリーダーの行動を変えられるとするが、そこには数字の裏付けもなければ、効果検証もない。

 

また、著者によれば、リーダー教育は「知識も経験も資格もない人が、元気よく教えている」だけであり、またリーダー教育には「参入障壁」がないので、どんな人でもリーダーシップについて本を書くことができるし、講演をしたり、コンサルタントになることができると指摘する。

 

そして、著者は、そんなリーダーシップ教育は、「サクセスストーリーを熱く語り、このとおりにすればきっと成功できると安請け合いをする」と言う。きっと受け売りなのだろう。

 

このように著者は、よほど我慢に耐えかねたのか、リーダーシップ教育産業に手厳しく矛先を向けるが、 しかし、ここがこの本の原点なのである。

 

それは、著者の言葉で言えば、「リーダーシップ教育で教えられたことを鵜呑みにしていると、職を失ったり昇進の機会をふいにしかねない」からであり、 そして、実際にリーダーの地位にあり、その地位を維持している人は、リーダーシップ研修のリーダー像とは異なるからである。

 

ここで、この本の帯の「ジョブズも、ゲイツも、ウェルチも、みんな『いい人』ではなかった!」という文言が燦然と意味あいを持ってくる。

 

そこで、名門スタンフォード大学ビジネススクール教授であり、組織行動学の権威でもある著者は、事実の裏付けを徹底的に実施する。
それにより、本書は331ページの大著となり、紙面のほとんどは事実(実話)とデータに割かれている。

 

ちょっと読むのにひと苦労するが、重要なのは「事実」である。
読者のみなさんには、「事実」をつかむという気持ちで頑張って読み進んでいただき、ぜひこの本の総括的な章である第8章までたどり着いてもらいたい。

 

そして、第8章の中で「組織の現実と向き合うための、6つのヒント」を、ぜひ参考にしてもらいたい。

・「こうあるべきだ(規範)」と「こうである(事実)」を混同しない

・個人の言葉ではなく行動を見る

・ときには悪いこともしなければならない、と知る

・普遍的なアドバイスを求めない

・「白か黒か」で考えない

・許せども忘れず

 

私は、この本には2つの重要なことが示されていると思う。

 

一つは、リーダー教育産業に見るように、<あるべき像>を示し、高揚させることは著者が言うように誰でもできるが、受講者側も気持ちがいいということである。
双方気持ちがいいものだから、終わりがない研修となる。ここにリーダー教育のマジックがある。

 

しかし、本当に問題を解決しようとするならば、「事実」を知らなければならないということになる。

 

二つ目は、実際のリーダーと<あるべき像>は違うということの自覚である。
特に、リーダーの言行は一致しないということに気づくことが重要である。

 

しかし、厄介なのは、リーダーは、リーダーとしての言葉を話し続けているうちに、自分でもすっかり、そんな理想像になっている気になってしまうことである。また聞いている方も、そんな言葉を信じてしまう。

 

見極めなければならないことは、「事実」はどうかということである。ーここも、行動という「事実」に着目する必要がある。

 

この本にはアメリカ企業でのリーダーのふるまい、転身例などの話が膨大に記載されているので、読者のみなさんは、日本人の考え方や行動とは違うと思うかもしれない。
実は、この本の中でも「日本は社員に対する文化的な規範がアメリカとは異なっており、リーダーには名誉あるふるまいが求められる」と記載されている。

 

たしかに、日本人とアメリカ人とでは考え方、行動様式の差異は存在する。しかし、「事実」はどうなのかを知ることは、すべての問題解決のキーであり、そこに普遍性も存在すると思うのである。

 

考えてみれば、これだけ「事実」を重んじる時代に、ことリーダーや出世において、「事実」はどうなのかが語られないできたこと自体不思議である。

 

最後に本の目次を紹介しておきたい。
第2章~第6章までの見出しに着目してもらいたい。
「謙虚」「自分らしさ」「誠実」「信頼」「思いやり」ーこれは、リーダーのあるべき姿として言われ続けられていることである。
そして、本書では、このリーダーのあるべき像に各項目別に事実はどうなのかを示している。

 

本の目次

序章  リーダー教育は、こうして失敗した
第1章  「リーダー神話」は、百害あって一利なし
第2章  謙虚――そもそも控えめなリーダーはいるのか?
第3章  自分らしさ――「本物のリーダー」への過信と誤解
第4章  誠実――リーダーは真実を語るべきか?(そして語っているか?)
第5章  信頼――上司を信じてよいものか
第6章  思いやり――リーダーは最後に食べる?
第7章  自分の身は自分で守れ
第8章  リーダー神話を捨て、真実に耐える

 

 

 

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