営業の常道「あの手、この手」

営業不振になるときには、きまってある特徴がある。
いまやっている手段が行き詰ってしまうことだ。
そして、いまやっている手段以外浮かばないときだ。
つまり、八方塞がりになる状態である。

 

実は、このような状態になるには、背景がある。
それは、ビジネス書の読み過ぎか、人の言っていることを頑なに信じてしまっているからである。
それによって、この業種にはこのような手段しかないと、思い込んでしまっている。

 

たとえば、いまはあまり言わなくなったが、「紹介営業」という言葉が一世を風靡(ふうび)した時代があった。
また、「提案営業」という言葉も流行り、提案しない営業は、まるで営業でないように思われた。
いまの時代は、営業というと、すぐに「SNS活用!」という答えが返ってくるかもしれない。

 

そのいずれも重要だが、いずれもが手段であることを忘れてはいけない。
つまり、手段が重要ではなく、結果が重要だということである。
それを、手段に固執すると、行き詰まる場合が出てくる。

 

たとえば、「紹介営業」は、顧客から紹介をもらい新たな顧客を発見する手段だが、新たな顧客をつかんだら、またその顧客から新しい見込み客を紹介してもらわなければならない。その連鎖は永遠に続くようにも思える。理論上はきっと地球にいる人の数だけ続くのだろう。
しかし、ときには、「紹介」を頼んだ人の中には、いい顔をしない人も現れる。また、毎回、毎回、紹介を頼むことに自分も疲れてくる。
そんな手段に、行き詰まりをみせる瞬間は、かならず訪れる。

 

「提案営業」もしかりである。「提案営業」は、提案を聞いてくれるということが前提になっている。
相手先によほどメリットがある提案でないと、全員が全員、聞いてくれるものではないだろう。また、「提案など大きなお世話だ」と思っている人も多いだろう。そんな提案を嫌がる人が出てくると、「提案営業」も行き詰ってしまう。

 

だが、世の中には、紹介にせよ、提案にせよ、人に嫌がれてもやり続ける不屈の闘志の持ち主もいる。それはスーパーセールスマンやスーパーセールスレディである。

 

 

私は、一般の人が、行き詰まり状態から脱出する道は一つあると思っている。
それは、「あの手、この手」と、考えることである。
「あの手、この手」というと、まったく抽象論のように聞こえるが、その言葉は、手段が複数にあることを認識した言葉である。
ということは、意識は「結果」に向く。私は、そのことが非常に大事だと思う。

 

営業は言うまでもなく、手段を競うものではなく、結果を競うものである。
「あの手、この手」と頭に考えただけで、意識は結果に向く。また、「あの手、この手」があると思えれば、気持ちも楽になる。

 

 

私は、「あの手、この手」と、一番考えてもらいたい人は、企業で働くビジネスマンやビジネスウーマンだと考えている。
起業した人や自分でビジネスを行っている人は、ビジネスに行き詰まった場合でも、モチベーションがある。
企業で働くビジネスマンやビジネスウーマンも、自分のため、組織のためというモチベーションを持っているが、稼ぐという意識は、どうしても自分でビジネスをやっている人には及ばない。それゆえ、行き詰った場合、抜けられなくなる。

 

また、企業で働くビジネスマンやビジネスウーマンは、実のところ、営業のやり方そのものは誰からも教わっていない。
ただただ、前任者の真似をして、毎日、担当した企業に出入りしている。営業のやり方も考え方も、完全に一つに固定されてしまっている。
しかし、勤め先はそんなに甘いものではないから、彼ら、彼女らに数字目標を与える。
そんな状態でも、売り上げが順調に伸びていればいいが、売り上げの伸びがピタッと止まったとき、彼ら、彼女らは、すぐに行き詰ってしまう。
そんな彼ら、彼女らを救う言葉は、「あの手、この手」である。
営業には、「あの手、この手」という要素が必要なことを知るだけで、彼ら、彼女らは行き詰まりから脱出できるのではないかと思っている。

 

重要なことは、「あの手、この手」という言葉は、資源を思い浮かべる力、増収要因を発掘する力にもつながっていくことである。
それは、営業力にほかならない。
興味のある方は、拙著に記載しているので、参考にしてもらいたい。

 

綾小路亜也

 

 

 

 

 

企業で働く 営業女子が輝く35のヒント

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