持ち出し管理を始めてみるとわかるが、持ち出しを許可したものの返却が遅れることがある。
返却予定日を過ぎても戻らないケースだ。
これは要注意なのだ。
返却がない理由として、まだ使用中のこともあるし、持ち出した人が持ったままになっていることもある。
もしかしたら持ち出した人の自宅にあるかもしれない。
いずれにせよ、持ち出し許可したものの返却が遅れることは、会社や組織の管理下に戻っていないことを意味している。
注意しなければならないことは、こういうときに限って紛失が起きることだ。
自宅で盗難にあうこともある。
つまり、持ち出し期間が長くなると、紛失などの事故が起こりやすくなるのだ。
このことは考えてみれば当然だ。
持ち出すこと自体、紛失・置忘れ、盗難などの脅威にさらすわけだから、持ち出し期間が長くなれば、それだけ脅威にさらされる期間も長くなるからだ。
持ち出し管理は返却があってはじめて完了するものである。
返却が遅れることは紛失や盗難などの元になるので、持ち出しを許可した人は、返却が遅延している持ち出しがあるかたえずチェックし、あったならば、すみやかに返却を求めてもらいたい。
なお、返却遅延以外の理由で持ち出し期間が長くなる場合もある。
それは持ち出し承認を受けてから実際の使用まで時間が空いたときだ。
つまり使用までの間、持ち出した人の手元にあることになる。
この場合も手持ち中に紛失などが発生するおそれがあるので、手持ち期間が生じないように、承認を与える際、実際の使用日を確認することが大切だ。
持ち出しに関しては、前もって持ち出し承認を受けておくということは不可である。
申請者が使用日より早めに持ち出し許可を求めてきたときは、いったん申請を却下し、使用日の直前に改めて申請するよう指導してもらいたい。
持ち出し管理を続けているうちにわかることがある。
持ち出した人についてである。
持ち出したものの返却が遅れる人はたいがい決まってくるからだ。
そこに、その人の業務の特徴のようなものがうかがえる。
考えなければならないことは、持ち出し管理というシンプルなルールさえ守れない人が、他のコンプライアンス上のことも守れるかということである。
持ち出し管理は、人に対する貴重な情報も提供するのだ。
「持ち出し」について記載があるビジネスマナーの本の内容を紹介しておきたい。
岩下宣子さんが監修した『仕事で恥をかかない ビジネスマナー』(日経文庫)の「ITツールの取り扱いのマナー」の項目で、会社のデータを自宅に持ち帰って作業する人について、「そもそも、会社はそのようにして作業することを許可しているのか、確認が必須」と述べたうえで、可能だとしても、正規の手続きを経ることの徹底を呼び掛けている。
会社のデータを持ち帰ることは、「持ち出し」であり、正規の手続きは持ち出し許可のことである。
浅井真紀子さんが書いた『社会人のための 基本のビジネスマナー』(ナツメ社)には、「社内で使用しているパソコン、USBは、原則として社外へ持ち出さないこと。社外会議で必要な場合や残務処理を自宅で行う場合など、特別なケースは上司の許可を得る」と、社外持ち出しは原則禁止であること、持ち出す必要があるときは許可を得なければならないことを明確に伝えている。
なお、パソコンやUSBメモリに限らず、書類も、許可なく社外に持ち出してはいけない。
綾小路 亜也
⑲ 持ち出し期間が長くなると、紛失が起きるという法則 から
※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント
①持ち出したものの返却が遅れたり、使用するまで間隔が空いたりすると、紛失などが起こりやすくなる
②返却までシッカリ見届けて、はじめて一連の持ち出し管理は完了する
情報を軸にした 新しいビジネスマナー
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