ゴミ箱に捨てても、書類を消去したことにはならない

2024.03.09更新

 

いまの時代、不要になった書類やデータを完全に消去することが企業の責務になっている。

顧客の信頼はこの部分までを含めたものだということを理解する必要がある。

不要になった書類や仕損じた印刷物をゴミ箱に捨てるような企業とは、顧客は心配でビジネスを続けようと思わない。

 

 

顧客へのビジネスマナーを考えるとき、書類やデータの消去までがビジネスマナーの範囲である。

 

 

キーフレーズは「消去」


個人情報保護法に「消去」という言葉が記載されている。

 

個人情報保護法一九条はデータ内容の正確性の確保等を定めた規定だが、

そこには「個人データを正確かつ最新の内容に保つとともに、利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するように努めなければならない」と記載されている。

 

 

消去」とは具体的にどのようなことを指すのだろうか?

 

岡村久道氏は「焼却、溶解、復元不可能な程度に細断可能なシュレッダーの利用という方法がある」と述べている。
(『個人情報保護法の知識〈第4版〉』日経文庫より)

 

一般的に考えれば、岡村氏が述べるとおりである。

「消去」規定は、個人データに関する規定とはいえ、不要となった書類を廃棄するときは、このような「消去」という概念が必要であり、顧客も求めている。

「ゴミ箱に捨てた」では、まったく話にならないのだ。

 

 

 

この「消去」が問題になるのは、取引先からの預かり書類を紛失し、社内で捜索した結果、出てこなかったときだ。

 

そのとき、紛失側の常套句は「捨てたと思われる」である。

だが、取引先は「第三者の手に渡らなかった」ことを証明してもらいたいのだ。

 

そう、「捨てた」ことと「第三者の手に渡らなかった」ということとは、まったく別問題なのである。

 

 

この点について、「ウチは不要書類をシュレッダーにかけているから大丈夫」と答えることは可能だが、

その言葉は本当にすべての書類をシュレッダーにかけたているかまで証明するものではない。

それでは取引先の疑義は消えない。

 

 

そんな疑義をはらす方法が一つある。

それは費用が若干かかるが、廃棄業者に廃棄処分を依頼し証明書を発行してもらうことである。

 

そうすると、廃棄業者は、回収日・処理日を記したうえで、処理した写真が掲載された証明書を発行する。

このような形ならば、顧客は「第三者の手に渡らなかった」ことを確信するに違いない。

 

 

この廃棄証明書の取り付けについても、私が見た限り、まだまだ知られていない。

 

情報漏えい対策にはどのような手段があるか知っておくことは必要だが、どこに手段が書かれているかわからないことが多い。

 

廃棄証明書について記載しているレポートを二つ紹介しておきたい。

 

一つは、日本ネットワークセキュリティ協会のレポートである『出社してから退社するまで中小企業の情報セキュリティ対策実践手引き』である。

 

このレポートは中小企業向けに書かれているが、その内容は大企業でも十分共有できる内容であり、身近なセキュリティ対策を考えるうえで役に立つ。

 

もう一つは、経済産業省が発行した『秘密情報の保護ハンドブック ~企業価値向上に向けて~』であり、企業の不正防止対策を検討するうえで参考になる。

 

両者ともフリーでダウンロードできるので、ぜひ参考にしてもらいたい。

 

顧客は、いま、情報をどうエンディングしたかも知りたがっていることを、忘れてはならない。

 

綾小路 亜也

 

情報セキュリティ時代のビジネスマナー

⑬ 捨てた書類が第三者に渡っていないことをどう証明するか?  から

 

 

※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント 

 

①情報は「消去」する

 

②「消去」したことを証明するには、廃棄業者に依頼し、「廃棄証明書」を取り付けるのも有効な手段

 

 

 

 

令和のビジネスマナー

情報セキュリティ時代のビジネスマナー

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