2024.10.31更新
異動の周期は3年が最も多いと言われています。今の職場で3年目を終えようとするとき、異動したいと思いますか、残りたいと思いますか?
というのは4年目の居心地はたいがいよいからです。
もちろん自分の意思に従うことが大事ですが、そのとき、「どちらが自分の将来にとってよいか」考えることをおすすめします。
過ぎ去った3年を考えてみましょう。
1年目はとにかく部署の業務と人間関係に慣れることに必死だったと思います。
2年目に入ると、組織の一員となった自分を確認できました。
3年目は自分らしさも出て、自分の存在感をハッキリと確認できたのではないでしょうか。
そして迎える4年目。
職場の人や得意先の人との飲み会などの懇親会も頻繁に行われ、街の光景も生活の一部になっています。
3年目までのどこか緊張した生活、人間関係とは明らかに異なります。
そんなことから、3年目を終えようとするビジネスマンは、さらに居心地がよくなることを考えて4年目を希望することも多いのではないでしょうか。
4年目が、さらに自分を取り巻く環境がよくなり、業務も進展するということならば、その4年目は意味あるものになります。
自分が今いる環境が大好きということならば、その4年目は満足感をさらに高まるでしょう。
自分の将来にとって、どちらがよいか?
しかし、それ以外にも考えなくてはならないことがあります。
特に出世や昇進などのキャリアアップを目標としている人の4年目は、もう少し深く考えなければなりません。
『働く君に贈る25の言葉』の著者として知られる佐々木常夫氏は「一つの部署には長くて3年」と決めていたといいます。
その理由を、「そこから先はそれほど伸び代がなくなる」からと説明しています。
(『出世のすすめ』佐々木常夫著 角川新書 から)
この話には、佐々木氏が3年で区切りをつけられたいう側面があります。
しかし、出世や昇進を考えるとき、「一つの部署は3年」は当たっているのです。
一つの部署から次の部署に移る期間のことを、『出世はタイミングで決まる!』のなかで「異動ピッチ」と呼んでいますが、
佐々木氏のように、一つの部署を3年で回すことができれば、多くの部署を経験でき、多くの人に出会えます。
もちろん、現実には自分の希望だけで異動が決まるわけではありません。
また、自分の希望より組織の事情が優先することもあるし、自分が組織のことを思うときもあります。
しかし、自分のキャリアを自分が主体となって考えたとき、3年でいまの職場を去るのか、それとも、もう一年と考えるかは、十分に検討しなければならない問題なのです。
キャリアアップのためには?
その際の判断基準として、充実感を目安にしたらいいと考えます。
それは、「一日が充実している」「気持ちも充実している」ーそんな感覚はたいがい3年目に訪れるからです。
4年目に、いっそう充実感を味わえる要素(やり残した仕事・課題達成がその期に到来するなど)が明らかなときは、4年目に入ればよいと思います。
しかし、そんな要素がなく、もっぱら居心地のよさだけを考えているのならば、今の充実感を持ったままで、次の職務に向かったほうがよいと考えるのです。
3年目を終えようとするときは、まさに決断時期なのです。
もう一つ、充実感を判断基準にする理由があります。
人間はのちに過去を振り返ったとき、そこに充実感があったかどうかを問うからです。
緊張感をもって、ものごとに対処していたとき、そんな日々はとても充実していたように思えます。
充実感は、皮肉にも、あとでわかるものなのです。
このことから、緊張感を持ち続けられるときは今の職務を続け、緊張感が薄れてきたときはその職場の旅立ち時と言えるかもしれません。
充実感を判断基準に
4年目の居心地については、『出世はタイミングで決まる!』の一大テーマでした。
出世に苦戦している人を見ると、一つの部署での在席期間が長いからです。
それゆえ、本のなかで、
「出世する人の異動ピッチは短い」「経験部署が多い人ほど抜擢される」「重宝される人より、惜しまれる人になる」「もう一年と思うときが、出るタイミング」「同じ職務を連続すると、勝負どころで力を発揮できない」などの項目で重ねて説明しています。
これらの項目のなかで、心情的にビジネスマンやビジネスウーマンが理解しやすいのは、「もう一年と思うときが、出るタイミング」ではないかと思います。
「もう一年」と考えるのは、今の職務に充実感を覚えている証拠ですが、同時に、今の職場の居心地がよくなってきているということでもあります。
そのとき! 自分に目標があれば、その目標と照合してください。
現場で一生懸命頑張っているときは、往々にして目的を忘れてしまうことが多いからです。
ただ、入社間もない社員は、次の職場を考えるより、会社や上司から「卒業!」と言われるまで、今の職場で頑張っていただきたいと思います。
綾小路 亜也
4年目の居心地はいい
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