ゴルフというのは、私みたいに下手な人だけでなく、ときとして、うまい人でも大たたきすることがある。
あせればあせるほどうまくいかない。コースの罠にもはまる。また、アンラッキーも重なる。つまり、悪いことが容赦なく襲ってくるのである。
そして不思議なことに、そういうときに限って、同じパーティーの人は絶好調でナイスショットを連発するのである。
そして、大たたきした人は、「もう二度とゴルフなどやるものか」と憤り、風呂場に向かうのである。
さて、こういう傷ついた人が、みなさんの接待の相手だった場合、みなさんはプレイ後に、その人にどんなことを話しかければいいのだろうか?
たぶん、「あまりゴルフのことは話題にしない方がいいな」と思うのではないだろうか。
しかし、同時に、「それでは、あまりにも不自然だよな」とも考えるのではないだろうか。
毎回、ゴルフをするたびに、こうした傷ついた思いをしてきた私の結論を言う。
今、みなさんが考えたことはあたっているのである。
積極的に今日のゴルフのことに触れられることも嫌だが、さりとてまったく触れられないと、妙な気づかいを感じて、それはそれでかえって落ち込んでしまうのである。
そして、そんなとき、私は、私の経験から、できればゴルフ場にはたいへん申し訳ないが、不可抗力の世界に持って行くことをおすすめしたい。
「ピンをあんなところに切っていたら、誰だってはまりますよね。今日自分は、アイアンの距離が出なくて、手前手前からいくハメになったから、それが幸いしましたが……」とか、「今日のバンカー、カチカチでしたね……」とか、「ちょっと、フェアウェイが狭すぎますよね。これじゃ、ロングヒッターは、はまってしまいますよ」と言ってもらいたい。
できれば、「○○さんは、フェアウェイウッド、距離がでますからね。すいません、こんなコースを選んでしまって……」と言ってもらいたいと思っている。
もっと言うと、明るく笑いながら「今日は、○○さん、えらい目にあいましたね」と言ってもらってもかまわないと思っている。
そうすると、今日、大たたきした人も、自分が入り込める隙間をもらったような感じになり、話がしやすくなると思うのである。
そして、そんなことから、顔に表情が戻り、「今日は、えらい目にあった」などと笑いながら言うかもしれないのである。そうして元気を取り戻すのではないかと思うのである。
こんなゴルフの話だが、そこには、ビジネスの本質のようなものが隠されている。
それは、気づかいである。ゴルフ接待は、得意先とスコアを競うものではない。
ゴルフで一日を共にするということは、ゴルフをとおして、人となりを知り、自分も知ってもらうということであり、その目的は親しくなるということである。
だから、ゴルフ接待の成功とは、「また、この人とやりたい」と思ってもらうことにある。それは、相手がこちら側の人となりを受けいれてくれた証拠だからである。
これは、べつにゴルフに限る話ではない。宴席でも同じである。「もう一度この人と飲みたい、この人と話したい」と思ってもらうことが、接待の成功なのである。
そして、ビジネスも同じだと思う。
業務知識、プレゼン能力、処理能力がいくら高くても、顧客に人となりを嫌われたら、ビジネスは終わりである。
実は、お客さまが求めているものの究極は、人となりなのである。たしかに最低限の業務能力は必要だが、それ以上に見られているのは人となりである。これは、上司とて同じである。
特に、ここで取り上げた例のように、お客さまがピンチのときや、傷ついているときに、その対応の仕方を見て、人は好き嫌いを決めているのである。
綾小路 亜也
『なぜ「できる社員」はビジネスマナーを守らないのか』
㉟ ゴルフ接待で相手のスコアが悪かったとき、どうすべきか? から
本の目次
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