世界No.2営業ウーマンの「売れる営業」に変わる本
和田 裕美 ダイヤモンド社 2003-09-21 |
この本の表紙を見ると、いかにも女性向けに書かれたようなイメージを持つが、そうではない。女性、男性を問わず書かれたものである。
本の最初に読者からの感動と感謝の声が載っているが、その数は男性、女性半々である。
また、本の第五章を営業のカンセリングルームにあてているが、質問者も男性、女性半々である。
さらに言えば、ここで男女の区別をつけるのはおかしいが、ビジネスマンの中にも熱烈な和田裕美ファンがいるのである。
なお、著者は英会話教材のブリタニカのセールスでフルコミッション営業で世界第2位の実績を上げたことで有名である。
さて、本自体は2003年に第一冊が発行されたが、今でもまったく中身の魅力は失われていない。むしろ新鮮なのである。
そして、何よりも読みやすい。表現に飾り気がなく、著者の素地が表れているから、読者は著者の言うことを信用し受け入れるのである。
つまり、著者の人間性に惹かれ、著者を好きになってしまうのである。
最初の読者からの感動と感謝の声の中で、37分で一気読みした人の感想が書かれてあったが、ほとんどの人が一気読みしたのではないだろうか。
それほど、おもしろく、しかも核心を突いているから、グイグイと引き込まれるように読破してしまうのである。
そのグイグイと引き込まれる原因の一つに、第一章の「ダメダメ営業がデキル営業に大変身!」がある。
ここでは、3人のセールスマンの話が紹介されている。
1人は年齢46歳のいわゆる風采の上がらない「ケムンパス」とあだ名がついているおじさん、2人目は決定的に無口で表現力に乏しい元暴走族のトップ、そして3人目は元クラブ勤めの美しすぎて人が親しむことができない女性である。
著者は実況中継風に、その人たちに対する指導をおもしろくおかしく書いている。
そして、彼らを持ち味を生かした形で変身させてしまうのである。
その結果に対して、著者は、「すべての人が同じ道順で売れる営業マンに変身したわけではないのです」、「本当言うと営業には教科書ってないんです」(P98)と書いているのである。このくだりを読んで、読者は「これは本物の本だ!」と一遍に虜になってしまうのである。
その「本物」の一端をご紹介したい。
「『すべての商品は問題解決のために生まれた!』ということを忘れないでください」(P80)
決めるのはお客さん
「実は最も有効な方法は、こうした障害物は営業マンが取り除くのではなく、買う側が自分で、ひとつひとつ乗り越えてもらうことなのです。人は自分で納得して、はじめて動くのです。だから、自分で乗り越えないといけないのです。お客さんが自分で問題に気づき、自分で解決しようと思ってもらうことが大切です」(P96)
(注)障害物とは、買う側のお金の問題や時間の問題などのさまざまな不安要素
「私は、ちょっとコンプレックスを持っている人の方が営業で伸びるのでは思っています。 ………
コンプレックスがある人ほど何かの商品を持たせると説明がうまい。自分以外の誰かを認めたり、褒めたりすることに慣れているからかもしれないです。そして努力家も多いのです。そんな人は、いつのまにか知らないうちに主役になっています」(P107~)
目標の立て方を間違っていませんか?
「スポーツの世界でも音楽の世界でも、トップクラスにい続けるのは大変なことです。……目標がトップクラスを維持することであっても、目標を毎回達成することであっても、ひとつのことを守ればいいのです。それは『決して達成しないこと』です」(P109~)
「この鈴木さんの場合、本来の営業の仕事をしなくても、他の用事を言いつけられ、そちらをきちんとこなしたことで、『数字は出ていないけど、仕事はしている』という錯覚に陥っているのです。営業というのは常に数字で評価される厳しい職場です。営業以外のことで、会社に貢献したりすると、それを数字の上がらない言い訳にしてしまい、『まあ、いいか』という具合になってしまいます。彼にとって道に迷っている方がとっても居心地のいい場所になってしまうのです」(P115)
「本当に営業が必要とされているのは”別にいらないけれど、あってもかまわない”という優柔不断ゾーンにいるお客さんたちです」(P122)
「本当のクロージングというのは、相手を追い詰めて断れないようにするというようなものとは正反対で、いかにプレッシャーが少ない状態にもっていくことができるかが重要なのです。……
いざ決断の段階になると、誰もが『言いなりにはなりたくない』という心理になることに私は気がつきました。
こうした心理は『自分の意見で動きたい』「自分の意見に従いたい』ということの裏返しだったのです」(P143)
「できるだけ自分にとって得な考え、自分にとって都合のよい方向に物事をとらえるようにします。
お財布を落としたときは、『これで誰かが飢え死にせずに済んだ。いいことをしてよかった』とか、電車の中で足を踏まれたときには『昨日はいていた新しい靴でなくてよかった。なんてラッキーなの!』とか」(P154)
「ものごとを完璧にこなすのも重要ですが、意外に『早くて大体できている』という程度で許されるものも多いものです」(P160)
どうですか? 何か、「結局こういうことだよな」という納得感を感じませんか?
これも、著者が自分でつかみ取った経験があるからだと思います。
それにしてもシリーズでお伝えしている女性作家の営業の本、ズバリと言っていないですか?
今までみなさんが読んできた男性ビジネス書作家の本とはちょっと違うような感覚を感じませんか。
もしかすると、男性の方が「格好つけ」なのかもしれないと思っています。
(参考)「できるだけ自分にとって得な考え、自分にとって都合のよい方向に物事をとらえる」は、拙著『サラリーマンの本質 』の終章「『よかった』と思う」と同記述なので驚きました。これが、ビジネスマンの生き抜くコツなのでしょうか?
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