一流の人に学ぶ自分の磨き方
スティーブ・シーボルド かんき出版 2012-03-23 |
前もってことわっておくが、私はこの「一流の人」という言葉が嫌いである。
しかし、今、ビジネス書では「一流の人」という名前がついた本が非常に多い。
そして、こんな名前のついた本を読むと、きまって後味の悪さのようなものを感じるのである。
そこには、「一流の人と、そうでない人とは、こんな『差』がありますよ」と、「差」を「売り物」にしているような気がするからである。
また著者自身も、なにか、その「差」を楽しんでいるような気がしてならないからである。
そこで、「外国では、この『一流の人』はどう取り扱われているのだろうか」と知りたくて選んだのがこの本である。
この本は、最初から最後まで徹底して一流の人と二流の人を比較している。
しかし! 全然、日本のビジネス書とは、読んだ後の後味が違うのである。
すっきり受け容れられるというか、俄然、元気も出るのである。
その違いはどこから生じるのだろうか?
それは、日本のビジネス書は、一流の人と二流の人との相違を、どこか、仕事術、行動、外見に持っていく傾向があるのに対し、この本は、一流の人と二流の人の相違を、そんなことより、もっともっと深い内面の相違に求めているからだと思うのである。
この本の著者は、ジュニアのテニス選手として7歳から18歳まで全米を転戦し、プロに転向した。プロの世界で世界のトップ10を目標に猛練習に励んだが、その望みを果たせず、一転、一流の人の研究に人生を捧げることになった。
この本に書かれてあるどの一流の人と二流の人の相違も、「そんな違い、きっとある」と思うが、その中で、より著者が言いたいと思うところを私の判断で紹介しておきたい。
「一流の人は自分が他人と比べて有能かどうかではなく、自分がどの分野でどのように能力を発揮できるかを考える」(P30)
「一流の人は仕事で充実感を得る。彼らは自分の大好きなことを見つけ、能力を最大限に発揮する。つまり、行為の結果ではなく、行為そのものから充実感を得るのだ」(P38)
「一流の人は幸せを直接的に追い求めることができないことを知っている。彼らは幸せが充実感の副産物であることを理解し、幸せの追求ではなくビジョンの実現に意識を向ける」(P44)
「一流の人にとって勝利とは、昨日の自分を超えることを意味する。彼らは他人より優れていたいという欲求を超越し、自分をもっと磨くことに意識を向けてみる」(P59)
「一流の人は代償を払って努力を積み重ねる」(P66)
「一流の人にとって成功とは、ビジョンに向かって前進することだ。目標を達成すれば、彼らはそれを祝うが、本当の成功とはお金や所有物を得ることではなく、目標に向かってまい進することだと理解している」(P121)
「一流の人は成功には代償が付き物であることを知っている」(P214)
「一流の人は栄冠を勝ち取るためには苦しみに耐えなければならないことを知っている。彼らは価値のあるものが簡単に手に入らないことを成長の過程で学んでいる」(P217)
どうだろうか? 非常にわかりやすいのではないだろうか。スパッと腑に落ちるのではないだろうか。
つまり、一流の人は、結果など追っていないのである。日々、努力という代償を払い、頑張っている、自分を磨いているだけなのである。
彼らが求めているものは、充実感なのである。
それを日本のビジネス書は、結果から入ろうとする。
つまり、先に一流の人が存在してしまっているのである。それも、一流という響きを持った人が存在してしまっているのである。
もっと言うならば、本の前提として、ステイタス、一流の人同士の付き合い、一流の人としての会話、動作、身のこなし、住まい、暮らし、服装………が、先に存在してしまっているのである。
だから、「そのような人になるためには、こうしなさい」と言っているような気がするのである。
ここが、私が「一流」という言葉の大嫌いな理由である。そして、私は、「そんなわけない」と心の底で思っていた。
そして、私はこの本を読んで、スカッとしたのである。
そして、思ったのである。「一流の人、一流の人」って、言う人こそが、一流の人ではないのである。
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