『伝え方が9割』

伝え方が9割 伝え方が9割

佐々木 圭一

ダイヤモンド社 2013-03-01

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わたしたちは「伝え方」という言葉を聞くと、たしかに、「伝え方」が上手い人と下手な人がいると思うだろう。
そかし、その巧拙の差は、どこにあるかと聞かれれば、おそらくズバリと答えることができないのではないだろうか?
そして、おそらくその巧拙の差を、伝える人が持つ人間性や雰囲気、経験など……に持っていくのではないだろうか。

 

しかし、伝え方は技術なのである。
そして、この本の内容をひと言で表現するならば、「相手の頭の中を想像する」技術なのである。

 

この本は、驚くほどシンプルである。別な表現で言えば、「伝え方」には驚くほどシンプルな原則が存在するから、本の内容自体も驚くほどシンプルになっているということになる。しかし、驚くほど本質的で、強烈である。

 

この本は、下記に要約される。

 

「イエス」に変える3つのステップ

 

1.自分の頭の中をそのままコトバにしない

 

2.相手の頭の中を想像する

 

3.相手のメリットと一致するお願いをつくる

 

「イエス」に変える7つの切り口

 

1.相手の好きなこと
2.嫌いなこと回避
3.選択の自由
4.認められたい欲
5.あなた限定
6.チームワーク化
7.感謝

 

「強いコトバ」をつくる5つの技術

 

1.サプライズ法
2.ギャップ法
3.赤裸々報
4.リピート法
5.クライマックス法

 

賢明なみなさんなら、上記内容を見ていただくだけで、もうおわかりになると思う。
相手に「イエス」と言わせることができないのは、自分の頭の中にあることを、そのまま相手に伝えているからである。
相手にお願いするとき、「ちょっと、待った。相手の頭の中を想像してもらいたい」というのがこの本の趣旨である。

 

そして、相手の頭の中を想像するときに、切り口になるのが7つのことである。
また、「強いコトバ」は、「人の感情を動かすエネルギーのあるコトバ」である。
それは、「コトバに高低差をつけてあげれば」生まれ、「高低差とは、そのコトバを見る人、聞く人にとって心を動かすエネルギー」であると本書は言っている。

 

その他、本書で参考となった内容を掲示したい

 

「ふせんマジックを使う!」

 

なんのことかと思われる人が多いかもしれないが、私たちが、本や書類に貼るふせんである。
そのふせんを、立てて使う人がいるのだ。しかも、立てたふせんを切り刻んで、そこにメッセージを書く人がいるのだ。
「受け手はどう思うか?」である。

 

本書は、「ひと工夫のあるふせんを見ると、相手は好印象を持ちます。なぜなら、ひと工夫をするとは『あなたが好きです』と伝えていることだからです」と言っている。
この「ひと工夫をするとは」以降の文が非常に重要に思えてならない。

 

「メールは感情30%増量でちょうどいい」

 

本書は、「理解すべきは、デジタル文字の冷たさ!」と言っているが、それは私も含めみなさんも意識していることとはいえ、改めて自分が書いたメールを見てもらいたいと思っている。
たしかに冷たいのである。取りつく島がないような冷たい表情になっているのである。
本書は、それを解決する手段として、「語尾に感情を加える」と言っている。

 

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打つ相手をよく考えて、語尾変化にチャンレンジしていただきたいと思っている。

 

どうだろうか? この本の概略をつかんでいただけたのではないかと思っている。
ものすごくシンプルな法則だが、私たちの多くができていないことだと考えている。

 

ちょっと本題から外れるかもしれないが、私は、日本人は、ストレートにものごとを伝えるということに、ものすごく躊躇する民族ではないかと思っている。
それは、私たちはよくこんな言葉を耳にしたり、言ったりしているからだ。
「言わなくてもわかってくれよ」、「雰囲気で察知してくれよ」、「そんなこと、わかるだろ」………
そして、「黙して語らず」を信条とするような人もいる。

 

しかし、やはり、伝えなくては相手はわからないのである。
そして、その伝え方にも、やはり効果がある伝え方とそうでない伝え方があると思うのである。
私は、本書は、私たち日本人が、今までとかく避けていて、曖昧模糊となっていた世界を解析した書だと思うのである。
また、溢れるほどの情報化社会におけるメッセージのありかたを示した書だと思うのである。

 

 

 

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2015年11月14日