定年バカ (SB新書)
勢古 浩爾 SBクリエイティブ 2017-11-07 |
この本を読んで、「よくぞ、言ってくれました!」と、声をあげる定年者はきっと多い。
世の定年本をめった斬りにする著者の主張に共感というか快感を覚えるからだ。
たしかに、机上で考えただけの定年本も多くありそうだし、定年とは全く縁がない若い人が定年者相手に語っていることもありそうだ。
著者は、定年後に言われることは、「『~しなさい』の提唱」と言う。
「資金計画を立てなさい」「運用も考えなさい」「できるかぎり仕事をつづけなさい」「健康管理を怠らないように」「現役時代から趣味をもちなさい」「地域社会に溶け込みなさい(地域デビュー)」「家族(とくに妻)との関係を見直すように」「ボランティアをしなさい」「交友を広げなさい」と、いっぺんに言われる。
それらの言葉は、よく聞くというよりは、かならず聞く言葉ではないか。
しかし、著者の答えは、一つひとつはごもっともなれど、「自分の好きにすればよい」だ!
私も著者の意見に同感である。
定年を迎えると、いろいろな人が、よってたかっていろいろなことをすすめるが、そんな中、なにもしないでいると、なにもしない自分がまるで悪いかのような錯覚に陥る。
心の負担も大きいはずだ。
しかし、本当は、定年者それぞれに思うことや、やってみたいこと、好きなことは違うはずだ。
たとえば定年後のキーワードの一つになっている「孤独」だって、一人が好きな人もきっといる。
「生きがい」だって、定年前にもあったはずであり、定年を機に急にクローズアップされて戸惑う人も多いはずだ。もっと言えば、「生きがい」を持つも持たないも人の勝手である。
また、いきなり、「ボランティアだ」「地域社会だ」「交友関係を広めろ」と言われても、無理な話のように思う。
この本を読むと、定年者を取り囲む環境といったったものが見えてくる。
著者はこんなことを言っている。
「いったい読者は、ハウツー本になにを期待して読むのだろうか。希望、だと思われる。『なりたい自分になる』ことであり、『成功』であろう。書き手はそのことを察するがゆえに、読者にほんとうのことがいえない。無理にでも希望を示したいと思う。そのため不安を確認し、ときには不安を煽り、その後で、こうなればこうなります、と希望を示す」
要は、定年本もハウツー本ではないかということである。
著者の言葉である「不安を確認し、ときには不安を煽り、その後に、こうなればこうなります」がそっくり当てはまらないだろうか?
また、著者は「何もしない自由」の中で、1941年生まれの精神医学者の竹中星郎氏の言葉を紹介している。
定年本をめった斬りにする著者には珍しく、竹中氏の言葉を示唆に富むと評価している。
そこには、なにもしない定年者(老齢者)のかたわらにいる家族や関係者のことが記されている。
定年者がなにもしないでいると、かたわらに居続ける家族がつらいのだと……。
定年者を取り囲む言葉は、定年者のことを思っての言葉だと考えるから、定年者は深刻に受け止める。
しかし、その言葉は、もしかして定年者を取り囲む人たち自身が望む言葉なのかもしれない。
定年者一人ひとりは、きっと、自分のやりたいこと、やりたくないこと、好きなこと、嫌いなことを持っている。
定年者は定年まで一生懸命頑張ってきた人であり、定年者のことを思うなら、好きなようにさせてやることも大事だと思う。
目次
第1章 定年バカに惑わされるな
第2章 お金に焦るバカ
第3章 生きがいバカ
第4章 健康バカ
第5章 社交バカ
第6章 定年不安バカ
第7章 未練バカ
第8章 終活バカ
第9章 人生を全うするだけ
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