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終わった人
内館 牧子 講談社 2015-09-17 |
いま話題になっている小説を紹介したい。
(本のあらすじ)
東大法学部を卒業し、メガバングに入行した田代壮介は63歳で定年の日を迎える。
田代はメガバンク入行後、エリート街道を歩み、役員候補と言われたがライバルに負けた。
その結果、49歳で子会社に出向となり、51歳で転籍し、定年の日を社員数30人の子会社の専務取締役で迎えることになる。
翌日から、予定のない日が始まる。
しかし、妻の千草は43歳の時にヘアメイクの専門学校に通い始め、国家試験もパスし、美容室で働いている。いまの仕事に夢中なのだ。
田代は、一人の時間を持て余す。
田代はフィットネスクラブに通い出す。
だが、田代はジジババたちの集まりになじめない。
田代は自分には「仕事」が必要だと思い直し、ハローワークの紹介を受け、社員70人の医療材料販売会社の面接を受ける。
しかし、皮肉なことに東大法学部卒、メガバンクのエリートという経歴が就職を邪魔する。
田代は就職面接に落ちた日、自分というものに気づき、大学院で文学を勉強したいと考える。
そして大学院受験の論文対策の準備として、カルチャースクールに通い出す。
そこで田代は受付の女性に出会うことになる。
また、思いがけず、フィットネスクラブに通う青年起業家から声をかけられる………。
ストーリーはここまでにしておきたい。
この本には、サラリーマンの宿命ともいえる言葉が主人公田代の自問自答によって語られているので、紹介しておきたい。
「散る桜残る桜も散る桜」(良寛の辞世の句)―サラリーマンは終わりの場面を迎えたとき送り出されるが、送る方も、かならず送られる日がやってくる。
「他人にカードを握られている」―サラリーマンは他人が示した道を歩むしかない。
「下り坂にある人間を、他人はハッキリと『下り坂だ』と気極めている」
「会社は個人の献身に報いてくれるところではない。
サラリーマンは身を粉にしても、やめれば何も残らない」
「『余生』という言葉はおかしい。人に『余りの生』などあるわけがない」
「傍から見れば、サラリーマンとして成功したようであっても、『やり切った。会社人生に思い残すことはない』という感覚を持てない」
「『終わった人』の年代は、美しく衰えていく生き方を楽しみ、讃えるべき」
「人生において、生きていて『終わる』という状況は、まさしく適齢でもたらされる」
「『先が短いのだから、好きなように生きよ』ということ」
「思い出は時がたてばたつほど美化され、力を持つ。勝てない相手と不毛な一人相撲を取っていた」
「思い出と戦っても勝てない。『勝負』とは『今』と戦うこと」
サラリーマンは、サラリーマン人生を終えても、なかなか成仏できない。
この本の主人公田代のように傍から見れば成功者であっても、「やり切った。思い残すものはない」とは思えない。
それは、サラリーマンはたえず他人が切ったカードに従い、サラリーマンの「終わり」までもカードに左右されているからだと思う。
そして、出世などの局面で、そのカードが理不尽と思えるときは、いっそう気持ちの上では終われない。
だから、過ぎし日のことが、いつまでも頭から離れない。
しかし、そんな本人の気持ちとは別に、周りの人たちは「終わった人」と見る。
ここにサラリーマンを終えた人の淋しさがある。
サラリーマンを終えた人の気持ちになれば、とてもやりきれない思いになるが、私はこの問題の解はなくはないと思っている。
そのヒントは、主人公が自問自動した言葉の中にある。
主人公が言うように、「余生」という言葉はおかしいのである。まさしく、「人に『余りの生』などあるわけがない」と思う。
そして、サラリーマン人生を成仏させられるかどうかは、サラリーマンを卒業した後の気持ちや行動で決まると思う。
もちろん、余生を楽しんで生きるということも方法の一つである。
また、主人公田代のように新たな仕事に就き(その結果いかんにかかわらず)成仏するということもある。
それを、思い出ばかりに浸っているようでは、やはり成仏できないのである。
サラリーマンにはかならず終わりの日が来る。
そして、終わりの日のために、終わった以降の生の準備しておくことが必要だと思う。
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