部下がきちんと動く リーダーの伝え方 (アスカビジネス)
吉田 幸弘 明日香出版社 2015-10-15 |
「伝える」と「伝わる」は違うことを、みなさんは知っている。
それは、みなさんは、きっと、「うまく伝わっていない」痛い経験をしているからである。
ここに、私は、『伝え方が9割』が大ベストセラーになった理由があると思っている。
しかし、そんな私たちだが、会社などの組織で、部下への伝え方で、また同じようなことを失敗を繰り返している。
そして、そんな失敗を繰り返すたびに、この本の著者がかってそうだったように、部下に無性に腹が立ってくるのである。
成績が悪いのも、時間がかかるのも、トラブルが多いのも、組織がうまくいかないのも、みんな部下の方に原因を求めてしまう。
そして、部下にスポットを当てれば当てるほど、腹が立ってくるのである。
しかし、この本の章立てを見てもらいたい。
第1章 分かりやすく伝える方法
第2章 ミスが起こらない伝え方
第3章 伝えるために信頼関係を築く
第4章 部下を動かす上手な伝え方
第5章 困った部下への伝え方
第6章 部下をやる気にし、成功へ導く褒め方
第7章 部下との関係が悪くならない叱り方
第8章 「報連相」がうまくいくコミュニケーション術
その章立てを見て、みなさんは、どう思われるだろうか?
きっと、頭では、「なるほど、予想通りの内容……」と理解するのではないだろうか。
しかし、頭では理解しているかもしれないが、その通りにできているかどうかは、まったく別問題である。
そして、おそらく私も含め、実際にできていない……。
そして、「実際にできていない」と思えたなら、もう一度、章立てを見てもらいたい。
そうすると、部下に「伝わる」とは、この1章~8章までの内容ができて、はじめて部下に「伝わる」のではないかと思えてくる。
多分、これが、本書の狙いなのではないかと思うのである。
だから、本書は、これでもかこれでもかというように、丁寧に丁寧に55項目にわたり説明しているのだと思う。
しかも、本書は、著者が、実際にビジネス社会において、上司として体験してきた失敗談、失地回復を求めた手段をベースにしている。
ここに、「現実性」があり、「具体論」がある。
そして、それがこの本の真骨頂だと思うのである。
さて、私が、特に参考になった内容を挙げておきたい。
08 分かりにくい言葉を使っていないか注意する
・「『広い』や『早く』などの形容詞を使って伝えるときは、数字を使ってはっきりさせる」
・「重点的に」、「丁寧に」も曖昧な表現であり、具体的な行動を起こせない言葉である。
09 曖昧ワードは数値を使って「はっきりワード」に変換する
この項目の別表に曖昧ワード例が掲載されている。
「営業力アップ」、「既存顧客に重点を置く」、「注意の徹底」、「積極的に行動する」、「認知の徹底」
みなさんも思い当たる表現ではないだろうか?
私たちは、こんな表現をして、部下に下しているのだと思う。
13 仕事の「全体像」をきちんと伝える
本書では、「『指示書』など全体の仕事が見えるものを使うといい」としているが、 私も、その通りだと思っている。
それは、実際、部下は、上司から指示された内容を、要約し理解することは難しいからである。
また、理解不足により、部下の迷いという無駄な時間も生じるし、解釈の相違により、まったく意図とは異なる作業をしてしまうことがあるからである。
私は、「指示書」という堅苦しい内容でなくてもいいが、1枚のペーパーは必要だと思っている。
部下と話し合い、そのペーパーに書き込みなどを加えていくと、部下はゴール内容をより思い浮かべやすいと思う。
27 「なぜ」をきちんと説明する
本書では、「なぜ新規顧客の開拓を強化するのか」を例に挙げているが、私は、世の中で新規開拓が進まないのは、この「なぜ」が不足しているからだと思っている。
43 部下を叱るときの5つのポイント
「なぜ」ではなく、「何」と聞く
× なぜ期日通りにできなかったんだ
〇 期日通りにできなかった要因は何があるのかな
これは、私も含め、ほとんどの上司ができていないことだと思う。
「なぜ」、「なぜ」で部下を追い詰めるのではなく、「何が?」と聞く方法があった! とハッとした例である。
この本のだいたいのイメージをつかんでいただけただろうか?
私は、実は、この本を読んで改めて思い知ったことがある。
それは、部下への「伝え方」が悪いと、組織として「成果」が出ないということである。
それは、考えてみれば当たり前でもある。
部下が迷う、その意味が分からない、また間違えって理解するということは、非効率きわまりないということになる。
そして、そんな組織に目標に向かう求心力などあろうはずがない。
ということは、逆に言えば、部下への「伝え方」がうまい組織は、かならず成果が上がるということになる。
成果が上がる組織については、昔から、いろいろなことが言われている。
戦略性やビジョンにその解を求める人も多い。
しかし、そんな戦略性やビジョンも伝える人がいて、受ける人がいる。
そんなことを考えると、ものごと、けっこうシンプルであり、
成果が上がる組織-それは、部下への「伝え方」がうまい組織である
と言うことができるかもしれないと、この本を読んで思ったのである。
たえず、部下のことに悩み、そして組織の進め方に悩むながら成果を求めるみなさんに、ぜひ読んでもらいたい本だと思っている。
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