2024.11.27更新
口頭による情報漏えいは、従業員の意識の問題と考えられています。しかし、どう意識を持てばよいか、誰もわからないのです。
口頭による情報漏洩を、情報持ち出しの一形態と考えると、糸口が見えてきます。
従業員が情報を持ち出していることに気づけば、情報漏えいは減るということです。
そのために、まず口頭による情報漏えいはどんなときに起きるか考えてみましょう。
一つは、電車や居酒屋・飲食店で話したことが、他の人に聞こえ、情報漏えいしてしまうケースです。
最近は共用ビルの喫煙コーナーでの会話が問題になっています。
またオフィスのエレベーターの中での会話やトイレなどの共用部分での会話が漏れてしまうこともあります。
会社のことを外で話したり、社外秘のことを口に出すから、情報漏えいが起きるのです。
もう一つは、顧客を前に、つい他の顧客の情報や自社の機密情報などを漏らしてしまうケースです。
これらの発生原因に対しては、いままで「注意しなさい」としか言いようがありませんでした。
情報漏えい対策は、もっぱら個人の対応に委ねられていたのです。
興味深いことは、不特定多数の人がいる場での情報漏えいは、奇しくもマナーの欠如と一緒になって起きていることです。
電車や居酒屋・飲食店での会話は、大きな声で話しているから人に聞かれるのであって、そんな大きな声での会話は周りの人に迷惑です。
オフィスのエレベーターの中での会話やトイレなどの共用部分での会話は、来訪者を不快にし、喫煙コーナーでの会話も他のくつろいでいる人には耳障りなものです。
また道路で、携帯電話で大きな声で話すことは他の通行人にとってははなはだ不愉快なものです。
これらはすべて他人のことを顧みないことによって発生しており、マナー違反なのです。
それゆえ、『情報セキュリティ時代のビジネスマナー』は、情報漏洩をマナーという観点から捉えています。
共用の場で情報漏えいは起きている
公共の場や共用部分での会話、道路での携帯電話での業務連絡はなかなか減らないと思います。
その理由は、このような場で話している人は、自分たちの会話に「情報」が含まれているとは思っていないからです。
情報漏えいの会話事例は思わぬところにあります。
電車の中での従業員同士の会話を聞くと、たいがい上司の悪口です。
その会話から、従業員たちが何に不満を持っているかということ、従業員を取り巻く人間模様までも固有名詞でわかってしまいます。
会社の業務内容やその会社でいま論点になっている内容が筒抜けということです。
しかし、従業員たちはあくまでも上司の悪口を話しているのであって、他意はありません。
飲食店での会話も同様です。
自分たちが語っているのは、会社の会議や組織の在り方、ひいては会社の未来だと考えています。
しかしその会話から、会社が取り組んでいることがわかってしまいます。
道路での携帯電話をつかった業務の話も、自分は連絡をとっているにすぎないと考えています。
しかし、その会話から取引先名がわかってしまいます。取引先との親密度までわかります。
オフィスの共用部分での会話も、「忙しい?」「うん、最近〇〇の件で忙しくて……」といったように、社員間でコミュニケーションをとるために話していますが、その会話から、会社で問題になっていることがわかってしまいます。
口頭による情報漏えいがいっこうに減らないのは、自分たちが話している内容に「情報」が含まれていると思っていないからです。
そうなると、なおさら手の打ちようがありません。
どうしたらよいのでしょう?
「情報の持ち出し」という概念を使ってもらいたいと思います。
外出先や共用部分での会話は「口頭による情報の持ち出し」なのです。
「持ち出し」が腹に落ちていれば、「そんなところに情報を持って行ってよいのか?」「その情報は許可された情報なのか?」ということが頭をかすめます。
すると、社外や共用部分での口頭による情報漏洩は減ります。
また、顧客を前にして、知り得たことが口に出かかったとき、「その情報は持ち出してよい情報なのか」ということも頭をよぎります。
それにより高騰による情報漏えいは減ると考えるのです。
綾小路 亜也
⑳ 口頭による情報の持ち出し から
※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント
①話している内容も情報
②情報が口に出かかったとき、持ち出してよい情報か確認する
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本の目次スマホで読む方法
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