2024.09.06更新
酒の席での話は、次第に批判的になり、突っ込みも鋭くなる。失言もしがちだ。そんな酒の席の話を、上司は覚えている。
その証拠に、後日、上司から「あのとき、言ったじゃないか」という言葉が飛び出る。
そうなると、酒の席の話では済まない。
実際によくあるシーンを見ていこう。
あなたは耳を疑った。
上司と打ち合わせをしている時、上司から「おまえ、この前、そう言ったじゃないか」という言葉が飛び出たからだ。
「この前」とは、二人で飲みに行った時のことを指している。
その時、あなたは酔った勢いで口が軽くなった。
普段心の中にしまっていることも口にした。
あなたは「どうせ酒の席の話だし、上司もだいぶ酒を飲んでいた。そんな話覚えているわけないだろ」と思っていた。
ところが、上司は、あなたが言ったことを覚えていたというより、脳裏に刻んでいたのだ。
上司と打ち合わせしている時、飲んだ時に言った話が出た
このことは、サラリーマン社会ではよくある話だ。
たしかに酒の席では口が軽くなる。
途中まで言葉を選びながら用心していても、酒が進むにつれ、心に思っていることを言ってしまうことが多い。
だから、上司は部下の本音を聞きたいときや情報を取りたいときに酒に誘うのだ。
そのことにより、上司と部下との距離が縮まる場合もある。
わだかまりが消えることもあるし、上司の意外な一面を見ることもある。
しかし、あなたと周りの人が繰り広げている飲み会の光景を考えてもらいたい。
たいがいが、会社のこと、職場のこと、上司のこと、先輩のこと、同僚のこと、部下のことを話題にしている。
「会社がやっていることはおかしい」
「あいつには、つくづくまいっている」
「この間、あいつはこんな態度をとった」
などと、組織や人に絡む話を多くしているはずだ。
酒の席での話は、次第に仕事の話に移っていくのだ。
そして、上司と二人で飲んだ日も、会社のこと、職場のこと、職場の人について、かなり突っ込んだ話をしたのだ。
サラリーマン社会では不思議なことに、上司も飲んでいるのに、上司は飲んだ席での話をよく覚えている。
これは理屈の世界ではない。
上司はそこでの話を頭に刻み、時には「しこり」として持つ。
こんな話をすると、「まったく、嫌な世界だな」と思う人と、「そんなこと、どうでもいいじゃないか」と思う人がいるが、サラリーマン社会では、こんな場で上司から変な「しこり」を持たれて、上司との関係もおかしくなる人も多くいる。
それだから、ここで取りあげたのだ。
この問題について、一緒に考えていこう。
ここで、まず思うことは、飲んだ席では、あまり突っ込んだ話をしない方が無難だということである。
酒のせいでタガが緩み、話が一線を越えてしまうからだ。
「シラフの時に話そう」という言葉があるではないか。
その言葉には、「冷静に話しましょう」という意味もあるが、話が一線を越えないようにする言葉ではないだろうか?
もう一つ考えなければならないことがある。
会社や職場の人の話をするとき、どうしても、話が批判的な方向になりやすいということだ。
酒の力で、鬱積したものが解放されるからだろう。
しかし、人の話をするときは、注意が必要だ。
聞き手と話題にしている人との関係は、当事者にしかわからないからだ。
人は意外なタイプの人を好むことがある。
バリバリ型の上司は、やり手タイプの部下が好きかというと、そう単純なものでもない。
むしろ、こうした上司は、心の底で自分とは違ったほんわりした部下が好きなことが多い。
要は、人と人との関係は、よくわからない世界ということだ。
わからない世界だから、あまり人のことで、突っ込んだ話をしない方がよいのだ。
酒の席は批判的な話になりやすい
そうは言っても、酒が入ると、どうしても人の話がしたくなる。
そんなとき、ちょっと覚えておきたいコツがある。
そうしたときは、意識的に「ほめる話」をする。
「ほめる人」を探すのだ。
ここでも酒の勢いが手伝い、「ほめる話」も大げさになっていく。
それでもかまわない。
それは、どこまで行っても「ほめる話」だから、大きくなっても、誰も嫌な気分にならないからだ。
あなたが話した「ほめる話」もやがて、対象とした人の耳に届くだろう。
そんなとき、やはり、ほめられた人は嬉しいのだ。
あなたに協力的になってくれるかもしれない。
つまり、「ほめる話」はどんなに酔った席の話だとしても、一利はあるかもしれないが、一害もないということだ。
人をほめる話を出す
どうだろう? 酒の席での話は難しいということを、わかっていただけたと思う。
そして、「突っ込んだ話をしない」「人の悪口を言わない」と言ってはみても、よほど意識しないと、できないことも頭に入れておいてもらいたい。
かく言う私も、ずいぶん失敗した。
しかし、一方で上手くくぐり抜ける賢い人もいる。
あなたもそんな人の顔が浮かぶはずだ。
その人たちは、酒の席で明るく振る舞うが、けっして「込み入った話」には立ち入らない人たちなのだ。
そんな人は、嫌な言葉になるが、偉くなることが多い。
減点がないからだ。
酒の席での話は、根に持たれることがある。
酒の席での話で済まないのがサラリーマン世界だ。
くれぐれも、こんなところで減点されることだけは避けてもらいたい。
綾小路 亜也
『ビジネスマンが見た出世のカラクリ 出世はタイミングで決まる!』で、
出世する人は、飲み会で上司の話に加わらない現象を取りあげました。
ポイント
①酒の席での話は、会社のこと、職場のこと、職場の人に対して批判的な方向になりやすい。
②だから、あまり突っ込んだ話をしない、あまり人のことを話題にしない方がいい。
③それは、意識的に実行しなければならないほど、難しいことである。
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