2024.07.20更新
ビジネスで手土産を渡すタイミングって、よくわかりませんよね。挨拶のあと、すぐに渡す人もいれば、帰り際に渡す人もいるからです。
じつは、手土産は最初に渡した方がよいケースと、最後に渡した方がよいケースがあります。
1.挨拶のすぐあとに渡した方がよい場合
(1)転勤後最初の得意先訪問
(2)帰省や旅行などで留守中迷惑をかけたと思うとき
(3)差し入れ的要素が強いとき
手土産を渡すことが訪問の主な目的になっている場合です。
(1)転勤して最初の得意先訪問のときの手土産には「これからよろしくお願いします」という意味があります。
手土産を持ったまま、会話に入るのは違和感があります。
こんな場合は、挨拶のあと、すぐに手土産を渡すことです。
手土産から前任地や出身地がわかり、話がはずむことも期待できます。
(2)帰省や旅行が終わった際の手土産には、「留守中ご迷惑をおかけしました」という意味があります。
この場合も目的がハッキリしていますから、挨拶のあと、すぐに手土産を渡すことです。
こうした手土産には自分も相手の気持ちもスッキリさせる効果があります。
また手土産から帰省先、旅行先がわかり、話がはずむことも期待できます。
(3)取引先との関係ができているときや、できつつあるときの差し入れ的な手土産は、さらに相手との関係を深める効果があります。
この場合も、取引先を喜ばせること、日頃お世話になっているお礼の気持ちが訪問の目的ですから、挨拶のあと、すぐに手土産を渡すことです。
2.帰り際に渡した方がよい場合
(1)お詫び訪問
(2)役職者による表敬訪問
(3)契約のお礼
(1)訪問前にお詫びの内容を相手が十分に承知・納得しているときは、挨拶のすぐあとに手土産を渡してもよいと思いますが、それ以外の場合は手土産を渡すタイミングは慎重に考える必要があります。
お詫び訪問の趣旨は、なぜそのような事態が起きてしまったのか、そのことについてどう考えているのか、そのうえでどう対処するのか、説明することです。
そんな説明もなしに、挨拶のあと、すぐに手土産を渡すと、「これで帳消しにしようと考えているのか」と思う人はきっといます。
手土産を突っ返されるときはたいがいそんな場合であり、火に油を注ぐことにもなりかねません。
相手からすれば、手土産を受け取ってよいものかどうか、説明を聞いてみないとわかりません。
説明を終え、相手の考えを聞いたうえで辞去する際、重ねて「この度はたいへんご迷惑をおかけしました」と言い、手土産を渡すことが筋だと思います。
現実には、説明を尽くしても、相手は納得せず手土産を受け取らないことも多くあります。
この場合は、手土産を持ち帰ることです。
お詫び訪問の際は、手土産を渡し丸くおさめたいという気持ちを捨てることが必要です。
(2)上役が取引先を表敬訪問することは、ビジネスの世界ではよくあることです。
このようなケースでは、相手方も役職者が出てくることが多いと思います。
また、役職者同士の面談ということでアポを入れていることも多いはずです。
こんな場合、挨拶のすぐあとに、手土産を渡すことには少し違和感があります。
上役が訪問する趣旨は、日頃のお礼と、あまりお会いできない相手の上席者と面談することです。
面談が終わり、「今後ともよろしくお願いいたします」と言い、辞去する際に手土産を渡すほうがスマートです。
こうしたケースでは、こちら側の役職者、相手方役職者の地位が高ければ高いほど、帰り際に渡す傾向が強くなります。
すでに双方の上席者が親密な場合、たまに、挨拶のあとに手土産を渡すこともありますが、
そうでない場合は、挨拶のあと、すぐに手土産を渡すと訪問が軽くなります。
役員、支店長、部長などの役職者は面談し、相手のことを知ることが仕事です。
双方の役職者はそのことを望んでいます。
もっとも、上役が訪問するときは、日頃お世話になっている部下が同席することがよくあります。
こんなときは、部下が手土産を持つことが多いです。
(3)人や企業を紹介してもらった、ちょっとした契約をいただいたといったケースでは、お礼を述べたすぐあとに、手土産を渡してもかまわないと思いますが、相手が検討を重ねた結果、契約をいただいたというケースは少し考える必要があります。
相手が望むものは、手土産をもらうことではなく、契約後の納得感です。
手土産を渡して、さあ終わりと思われないことが必要です。
そんなときは、お礼とともに、相手の納得感を充たすような会話を少しして、フォローも約束し、帰り際に手土産を渡したほうがよいと思います。
3.手土産のタイミングを考える意味
私たちは手土産を、渡す立場で考えがちです。
しかし、手土産の趣旨からすれば、
手土産をもらう立場で考えることが必要です。
つまり、手土産を渡すということは、ビジネスの本質である相手の立場になって考えることに他ならないのです。
私は35年間サラリーマンを経験し、いまもビジネスの現場にいます。
35年間を振り返れば、いつも手土産を渡すタイミングに悩んでいました。
とてもビジネスマナーの本に書いてあるように、「挨拶のすぐあと」とは思えなかったのです。
しかし、次第に手土産を渡すタイミングをつかむようになってきました。
渡すということに重点を置くのではなく、その場の空気を考えるようになってきたからです。
たとえば、応接室に相手が笑顔で入ってきたときは、その場で手土産を渡しました。
あるいは、「今日は暑いですね」などと言って相手が入ってきたときも同様にしました。
しかし、相手になにか話したい様子が窺えるとき、こちらから相手に伝えたいことがあるときは、帰り際に渡しました。
手土産を渡すタイミングに迷い続けていたことはムダではありませんでした。
迷いながら、ビジネスの本質に一歩ずつ近づいていったからです。
ビジネスは自分より、相手がどう思うかで決まります。
また、ビジネスにおいて重要なことはその場の空気です。
そんなことが、次第にわかってきたのです。
ビジネスマナーの本に書かれていることが、必ずしも正しいとは限りません。
ビジネスマナーの本に書かれていることと、実際のビジネスとは異なるということもよく言われるています。
重要なことは、ビジネスマナーの本に書かれていることを題材にして、自分の頭で考えることです。
最近のビジネスマナーの本は、人と違った存在になることをめざしているような気がします。
しかし、ビジネスマナーの本に書かれていることを鵜呑みにし実行しても、人と違った存在にはなれません。
自分の頭で考えていないからです。
自分の頭で考えた人が、人と違った存在になるのです。
綾小路 亜也
(参考)
手土産を渡すタイミングについて書かれているビジネスマナーの本
関連記事:紙袋ごと渡しても大丈夫か?
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