「なぜ結果-原因の順で報告するか」を理解する

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前回、報告のタイミングについてお話した。 これからは、報告の仕方について共に考えていきたい。
その最初が「『なぜ結果-原因の順で報告するか』を理解する」である。
あなたは、「結果-原因の順」と聞くと、「それは多くの本でも書かれていることだ。また多くの人にそう言われてきた」と高をくくるかもしれない。
しかし、厳密に言えば、多くの人や多くの本は、「結果-原因」のところを「結論」としている。
なぜ、「結果」にしたかは、後述する。

 

実社会においては、こうした世に言われていることの検証が大切である。
こうした言葉や格言に出会ったら、すぐに鵜呑みにするのではなく、あなた自身の頭で実際に起きている現象と照合することが重要である。
さて、この「結果-原因」の順番は、これは議論の余地はないだろう。その順序で報告した方がいい。

 

しかし、なぜ、この順序がいいのか、もう一度あなた自身の頭で考えてもらいたい。
それは、あなたはこの順序を頭ではわかっているつもりだが、ついこんな報告をしてしまうからある。
「昨日、××商会さんを訪問し、経理課の富田課長にお会いしました。富田課長に、『あの件、いかがですか?』と聞いたのですが、富田課長は、すでに田島部長に稟議を回したそうです。ところが、田島部長は、昨日から、静岡に出張しているため、決裁をもらえなかったそうです。 そのため、この契約は、今月間に合わなくなりました」
見事な「原因―結果」の報告である。
あなたは、いつもこんな報告をして、上司からいらいらされ、「早く結論を言え」と言われていないだろうか?

 

なぜ「結果-原因」の順がいいかというと、報告を受ける側は、結論を待たなくていいからである。
それは、第1章で述べた「人はたえず待っている」に通じるものがある。
人は、待つことが大変つらいのである。だから、人は、こうした報告を聞いていると、結論を待つのがつらいのである。
そのため、せっかちな上司は、いつも「結論を言え。結論を」と言うのである。
しかし、問題は、ここからである!
ここで議論を終了してしまったら、意味はない。
私には、もう1つ「結果-原因」の順で報告しなければならない理由があるような気がしてならないのである。
それをお話ししたい。

 

その理由とは、なんだろう?
先ほどの例を「結果-原因」の順で言えば、 「××商会さんの契約は今月入りません。責任者である田島部長が出張で決済が取れなかったためです」 ということになる。
つまり、結果が思わしくなかったのである。
他にも結果が思わしくない報告例をあげると、
「△△電気の今川課長には会えていません。今川課長は、今週一週間お休みとのことでした」
「部長からご指示いただいた件はまだできていません。私も出張が重なり、忙しかったためです」
「〇〇への予約はまだ取れていません。昨日電話を掛かけたのですが、ずーっと話し中でした」
のようなケースが浮かぶ。
おわかりだろうか?
この4つの例を、順番を変えて「原因―結果」の順で話してしまうと、「言い訳」に聞こえるのだ。「言い訳がましく」聞こえるのだ。
だから余計に、報告を受ける側がいらいらするのではないだろうか。
だから、あなたは、こうした思わしくない報告をするときには、「言い訳がましく」聞こえない結果から入る必要があるのである。

 

しかし、こんな思わしくない報告は、意外に「結果ー原因」の順で報告することは難しい。
それは、逆にいい報告をする際のことを考えてみればよくわかる。
いい報告のときは、自然に、「契約取れました!」「会えました!」「大丈夫です!」「予約取れました!」と結果から入っているではないか。
つまり、報告の順序は、本来は気持ちの表れ方で決まるのである。
だから、思わしくない報告のときは、「原因」から入ってしまうのが当たり前なのである。結果から入りにくいのである。
それにもう1つ。
われわれは、学生時代から「原因は、なにか?」と言われ続け、社会人になってからは、いっそう、「原因、原因」と言われている。
すなわち、頭に原因を探す回路が埋め込められてしまっているのだ。
だから、思わしくない報告のときは、まず、原因を探す動きを取るのである。
そこを、世の中では、いとも簡単に「結論から話せ」というけれど、結構難しいのである。
その理由をしっかりと頭に刻み込んでいないと、頭は知らずに元の回路に戻って「原因」から説明してしまうのである。

 

最後に、言葉の使われ方について述べておく。
世の中、「結論から話せ。結論をまず言え」と言うけれでも、「結論から言えば……」が堂々と通るのは、報告文書、そして人から意見を求められたときである。
上司に、いきなり、「結論から申し上げます。××商会さんの契約、今月入りません」と報告したら、それはそれで受けいれられるが、多くの人は、「な、なんだ。こいつは」と思うかもしれない。
この「結論から申し上げます」の部分を言わなかったとしても、ちょっと唐突感がある。
穿った見方をする人は、「契約も取れないで、なんだその言い方は。それでは開き直りじゃないか」と思うかもしれない。

 

そこで先ほどの4つの例をもう一度見ていただきたい。
実は、4つの例は、「結論」と言うよりは、「結果」なのである。
それを、いきなり「結論から言いますと……」と言われたら、正直、違和感がある。
そして、多くの口頭説明の場合、「結論」ではなく、「結果報告」と言った方が、受けいれやすいだろう。
また、あなたも、報告しやすいはずだ。
この「結論」と「結果」の峻別を行うと、報告しやすくかつ受けいれやすくなるので、ぜひ試してもらいたい。

 

参考までに、「結果」あるいは、その他の言葉を用いた報告例を挙げておく。先ほどのケースである。
「ちょっと、××商会さんの今月の工作結果についてご報告したいのですが……」
「ちょっと、△△電気の今川課長への本日の訪問結果をご報告したいのですが……」
「部長にご指示いただいた件の現在の状況についてですが……」
「ご指示いただいた予約のですが……」
と、結果報告に入る前に、このような言葉を添えて、報告をスムーズにするのだ。
報告は、入り口が大事である。
ここで拒否反応を受けると、先に進まないのである。

 

今回取り上げた議題は、世に言われていることの検証である。
世に言われていることを、言葉通りに受け止めるとろくなことにはならない。
やはり、自分自身で咀嚼し、自分にフィットするかどうかを考えることが重要である。

 

 

ポイント
①なぜ「結果-原因」の順がいいかというと、報告を受ける側は、結論を待たなくていいからである。
 しかし、それ以上にもっと重要な理由がある。
 それは、思わしくない報告の場合、「原因―結果」の順で話してしまうと、「言い訳」に聞こえるからだ。
②そして、世の中「結論、結論」と言うが、多くは「結果」報告である。
 口頭説明の場合、「結論」ではなく、「結果報告」と言った方が、受けいれやすいだろう。

 

 

 

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