「なぜ結果-原因の順で報告するか」を理解する

2018.07.09記事を更新しました。

前回、報告のタイミングについてお話しした。 ここからは、報告の仕方について共に考えていきたい。
その最初が、「なぜ結果-原因の順で報告するかを理解する」である。
あなたは、「結果-原因の順」と聞くと、「それは多くの本でも書かれていることだ。また多くの人にそう言われてきた」と高をくくるかもしれない。
しかし、厳密に言えば、多くの人や多くの本は、「結果-原因」のところを「結論」としている。
なぜ、「結果」にしたかは後述する。

 

実社会においては、こうした世に言われていることの検証が大切だ。
こうした言葉や格言に出会ったら、すぐに鵜呑みにするのではなく、あなた自身の頭で実際に起きている現象と照合することが重要である。
さて、この「結果-原因」の順番は、これは議論の余地はないだろう。その順序で報告した方がいい。

 

しかし、なぜ、この順序がいいのか、もう一度あなた自身の頭で考えてもらいたい。
それは、あなたはこの順序を頭ではわかっているつもりだが、ついこんな報告をしてしまうからだ。
「昨日、××商会さんを訪問し、経理課の富田課長にお会いしました。富田課長に『あの件、いかがですか?』と聞いたのですが、富田課長はすでに田島部長に稟議を回したそうです。ところが、田島部長は昨日から静岡に出張しているので、決裁をもらえなかったそうです。 そのため、この契約は今月間に合いませんでした」
見事な「原因―結果」の報告である。
あなたは、いつもこんな報告をして、上司からいらいらされ、「早く結論を言え」と言われていないだろうか?

 

なぜ「結果-原因」の順がいいかと言うと、報告を受ける側は、結論を待たなくていいからである。
それは、第1章で述べた「人はたえず待っている」に通じるものがある。
人は待つことがつらい。だから、人はこうした報告を聞いていると、結論を待つのがつらくなってくる。
それで、せっかちな上司は、いつも「結論を言え。結論を」と言う。
しかし、問題はここからである!
ここで議論を終了してしまったら意味はない。
私には、もう一つ「結果-原因」の順で報告しなければならない理由があるような気がしてならない。
それをお話ししたい。

 

その理由とはなんだろう?
先ほどの例を「結果-原因」の順で言えば、 「××商会さんの契約は今月入りません。責任者である田島部長が出張で決済が取れなかったためです」 ということになる。
つまり、結果が思わしくなかったのである。
ほかにも結果が思わしくない報告例を挙げると、
「△△電気の今川課長には会えていません。今川課長は今週一週間お休みとのことでした」
「部長からご指示いただいた件はまだできていません。私も出張が重なり忙しかったためです」
「〇〇への予約はまだ取れていません。昨日電話を掛かけたのですが、ずっと話し中でした」
のようなケースが浮かぶ。
おわかりだろうか?
この4つの例を、順番を変えて「原因―結果」の順で話してしまうと、「言い訳」に聞こえるのだ。「言い訳がましく」なってしまう。
報告を受ける側は、いっそう、いらいらする。
だから、あなたはこうした思わしくない報告をするときには、「言い訳がましく」聞こえない結果から入る必要がある。

 

しかし、こんな思わしくない報告は、なかなか「結果ー原因」の順で報告することは難しい。
それは、逆にいい報告をするときのことを考えると、よくわかる。
いい報告のときは、自然に、「契約取れました!」「会えました!」「大丈夫です!」「予約取れました!」と結果から入っているではないか。
つまり、報告の順序は、本来、人の気持ちの表れ方で決まるのだ。
だから、思わしくない報告のときは、「原因」から入ってしまうのが当たり前なのだ。結果から入りにくいのである。

 

それにもう一つ「原因」から入ってしまう理由がある。
私たちは、学生時代から「原因はなにか?」と言われ続け、社会人になってからは、いっそう「原因、原因」と言われる。
頭に原因を探す回路が埋め込められてしまっているのだ。
だから、思わしくない報告のときは、まず、原因を探す動きを取る。
そこを、世の中では、いとも簡単に「結論から話せ」というけれど、けっこう難しいのだ。
その理由をしっかりと頭に刻み込んでいないと、頭は知らず知らずのうちに、元の回路に戻って「原因」から説明してしまう。

 

 

最後に、言葉の使われ方について述べておく。
世の中、「結論から話せ。結論をまず言え」と言うけれでも、「結論から言えば……」が堂々と通るのは、報告文書、そして人から意見を求められたときだ。
上司に、いきなり、「結論から申し上げます。××商会さんの契約、今月入りません」と報告したら、多くの上司は「な、なんなんだ。こいつは」と思う。
「契約も取れなかったのに、なんだその言い方は。それでは開き直りじゃないか」と思う人も多いだろう。

 

そこで先ほどの4つの例をもう一度見ていただきたい。
実は、4つの例は、「結論」と言うよりは「結果」なのである。
それを、いきなり「結論から言いますと……」と言われたら、正直、違和感がある。
そして、多くの口頭説明の場合、「結論」ではなく、「結果報告」と言った方が受けいられやすいだろう。
また、あなたも報告しやすいはずだ。
この「結論」と「結果」の峻別を行うと、報告しやすくかつ受けいられやすくなるので、ぜひ試してもらいたい。

 

参考までに、「結果」あるいは、その他の言葉を用いた報告例を挙げておく。先ほどのケースである。
「ちょっと、××商会さんの今月の工作結果についてご報告したいのですが……」
「ちょっと、△△電気の今川課長への本日の訪問結果をご報告したいのですが……」
「部長にご指示いただいた件の現在の状況についてですが……」
「ご指示いただいた予約のですが……」
と、結果報告に入る前に、このような言葉を添えて、報告をスムーズにするのだ。
報告は入り口が大事である。
ここで拒否反応を受けると、先に進まない。

 

今回取り上げた議題は、世に言われていることの検証である。
世に言われていることを、言葉どおりに受けとめると、ろくなことにはならない。
自分自身で咀嚼し、自分にフィットするかどうかを考えることが重要である。

 

 

ポイント
①なぜ「結果-原因」の順がいいかというと、報告を受ける側は、結論を待たなくて済むからである。
しかし、それ以上にもっと重要な理由がある。
それは、思わしくない報告の場合、「原因―結果」の順で話してしまうと、「言い訳」に聞こえるからだ。
②そして、世の中「結論、結論」と言うが、多くは「結果」報告である。
口頭説明の場合、「結論」ではなく、「結果報告」と言った方が、受けいられやすいだろう。

 

 

 

 

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