ヒューマンエラーの代表例は、情報漏えい

2024.04.28更新

 

情報漏えいというとインターネットを介したサイバー攻撃などをイメージするが、
情報漏えいの原因の多くは、「紛失・置忘れ」「誤操作」「管理ミス」であることがわかっている。
つまり、情報漏えいの多くはヒューマンエラーによって起きているということだ。

情報漏えいの原因の多くはヒューマンエラー

ヒューマンエラーとは何かを考えると、情報漏えい防止の糸口が見えてくる。

 

ヒューマンエラーの専門家である小松原 明哲氏は著書『ヒューマンエラー』(丸善出版)のなかで、次のように述べている。

 

ヒューマンエラーは「『すべきことが決まっている』ときに、『すべきことをしない』あるいは『すべきでないことをする』」、つまり「期待されていることを果たせなかった」といえるかもしれない」

 

 

ヒューマンエラー 第3版

 

「紛失・置忘れ」「誤操作」「管理ミス」は、どんなケースなのか?

 


「紛失・置忘れ」は電車や飲食店などの外部の場所で、パソコンや書類を紛失してしまった、置忘れてしまったというケースである。

 

「誤操作」はあて先間違いにより、メール、FAX、郵便を誤送信してしまったというケースであり、

 

「管理ミス」は引っ越しなどで個人情報の行方がわからなくなったり、個人情報の受け渡し確認が不十分で、受け取ったはずの個人情報を紛失してしまったケースだ。


(日本ネットワークセキュリティ協会 漏えい原因の定義より)

 

 

「紛失・置忘れ」はまさに情報の移動中の事故であり、その多くは取引先に書類などを持参するとき、あるいは取引先から預かった書類などを持ち帰るときに発生している。

 

つまり、取引先に書類を届ける、取引先から預かった書類を会社に持ち帰るという行為が完結しなかったことを意味している。

 

誤メール、誤FAXも、本来のあて先への送信が完結しなかったことを意味する。

 

書類の紛失も、書類の保管や相手への返却が完結しなかったのだ。

 

まさに、小松原氏の言葉どおり、「期待されていることが果たせなかった」のである。

 

 

ヒューマンエラーは何かが欠けていた時に起きる

 

このように考えると、情報漏えい防止の糸口が見えてくる。

 

期待されていることが果たせるようにすればよいからだ。

 


情報を持って移動するときは、ビジネスバッグを肌身離さず持ち、メールやFAXを送信するときは十分にあて先を確認し、書類を預かるときはシッカリ確認し、管理するということだ。

 

 

しかし、いままでと同じ方法ではダメだ。

 

いままでの方法では、「期待されていることが果たせない」ことを現実の情報漏えい事故が示しているからだ。

 

また、いままでと同じ方法をとると、いっそう意識の高揚を促すといったように、意識の問題として処理されてしまう。

 

 

たとえば、電車の網棚への置忘れは防ぐには、ビジネスバッグを肩に掛けるといった方法が必要だ。

バッグを手に持っていると、無意識のうちに、網棚に乗せるという行為が生まれてしまうからだ。

 

誤メール・誤FAXを防ぐには、あて先と送信書類(添付ファイル)の突き合わせを行わなければならない。

いままでの方法だと、送信書類(添付ファイル)自体の間違いに気づきにくいのだ。

 

 

このように、どうすれば「期待されていること」が確実に果たせるかと考えれば、情報漏えいは防げる。

 

そして、相手が「期待すること」を考えるーこれはビジネスマナーのスピリットではないだろうか?

 

ビジネスマナーのスピリットに立ち返ると、情報漏えいは防げるのだ。

 

綾小路 亜也

 

 

上記記事は、拙著情報セキュリティ時代のビジネスマナーの内容を要約したものです

 

 

 

 

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