2024.09.18更新
情報セキュリティ時代においては、たえず書類の所在を明らかにしながら業務を進める必要がある。
そのときのポイントがある。
それは、取引先などから書類を預かったときに必ずやってもらいたいことである。
そのことを実施していれば、書類が見当たらなくなったときに、必ず書類のありかがわかる。
書類のありかについて、池井戸潤氏が書いた短編小説『手形の行方』を題材に取りあげたい。
ある銀行員の話であり、内容は次のとおりである。
「ある男性行員が取引先から集金した手形を集金袋に入れ、昼ごろ支店に戻ってきた。
その行員は別件の振込み処理をしたのち、集金袋を自席の引き出しに入れ、昼食を済ませたあと再び外出した。
支店に戻ってきたのは午後三時ごろである。
そのとき手形が見当たらないことに気がついた。
こうなると、机の引き出しに入っている書類を全部出して一枚ずつ調べるのはもちろんのこと、可能性のあるところはすべて確認しなければならない。
それだけでは済まない。
ゴミ箱から業務用車の床下に至るまで、何度も何度も、人を替えて捜さなければならないのだ。
そんな捜索は連日連夜続けられた。取引先から支店までの経路もあたった。
手形は意外なところから出てきた……」
書類が見当たらないとき、この銀行の支店が行ったような捜索を、日本国中の会社が行っている。
ご承知のとおり池井戸氏は都市銀行出身であり、実際にこうした光景を何度も見てきたに違いない。
この小説の男性行員の何がいちばん問題だったのだろうか?
それは、支店に戻ってきたとき、すぐに預かったものを確認しなかったことである。
その行為がなかったために、手形の捜索範囲を絞れなかった。
それゆえ支店内はもちろんのこと、取引先から支店までの経路など、可能性のあるところは、すべて確認しなければならなくなったのだ。
仮に支店に戻った時点で手形がないことがわかったならば、支店内の捜索はする必要がなく、取引先から支店までの捜索に専念できたのである。
書類探しに疲れ果ててしまうのは、出てくるという確信を持てないまま捜しているからである。
仮に紛失場所は会社内しかないと確信できれば、捜索にも身が入るし、徹底度も違ってくる。
そんな確信がなくしたものを発見するのだ。
帰社後の書類確認は、書類のありかを明らかにする重要な行為であり、この行為が書類をなくした個人と組織を救う。
書類を紛失するということはあってはならないことだが、会社内で見当たらないというのと、会社外でなくしたというのとでは取引先の反応は違う。
問題は、会社内で書類をなくしたと確信した場合に、それをどう取引先に証明するかである。
「帰社後、私がたしかに見ました」ではあまりにも心細い。
当然ながらもっと具体的な描写が必要である。
たとえば、「その日預かった書類をカウンターに置きました。3枚の書類があり、左から〇〇、△△、そして本件の順でした」と言えば信ぴょう性が増してくるが、それでもなくした本人の言葉だから証拠としては希薄である。
そのとき、ほかの人もその書類を見たというならばグッと信ぴょう性は増すが、所詮、「見た」という記憶にすぎない。
どうすればよいか?
預かった書類を、業務日誌なりパソコン内に記録として残すことである。
スキャニングを活用してもいい。
そうしておくと、確認の時点ではたしかにその書類が存在していたことを裏付け、取引先への証明になる。
ぜひ実施してもらいたい。
綾小路 亜也
⑨ 帰社後の確認が書類のありかを示す から
※情報セキュリティ時代のビジネスマナーのポイント
①帰社後、ただちに預かった書類を確認する
②預かった書類は記録に残し保存する
預かった書類をスキャニングするのも有効な手段
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